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求人情報の金額より月給が6万円も低い!求人票どおりの給料を求めた裁判でまさかの結果…

2023.04.29

裁判所の判断は?

Xさんの負けです。裁判所は「6万円ほど高い求人票どおりの契約は成立していない」と判断。思考過程はザックリ以下のとおり。

裁判所
「求人票を見てXさんは会社に打診してますよね。コレは【契約の申し込み】なです。んでこの申し込みを【会社が承諾したのか?】が問題なんですが、会社がXさんに手渡した採用内定通知書は求人情報に記載されてた内容と違ってますわな。なので承諾したとはいえないです。なので求人票どおりの契約が成立していない」

ーーー ちょ待てよ!って思いません?たとえば求人票に月給30万って書いてるのに面接いったら「25万だ」って言われたら私なら「キサマ冗談は顔だけにしとけよ」って思うんですが。ねー!Xさん!

Xさん
「・・・。求人情報に月給を記載しておきながら、採用内定通知書にはそれより減額された金額を記載することは信義に反すると思います」

ーーー そ、そうです!「キサマ冗談は顔だけにしとけよ」を法律家っぽく言うとこうなります。裁判官さん、ココんとこどうなんですか!

裁判所
「信義則に反しないです。会社には契約締結の自由があるので、採用面接の内容を考慮した結果、求人情報と異なる労働条件を内容とする採用内定通知書を交付することもあり得ます」

ーーー ほんなら求人でバカ高い月給を書いて【釣れる】やないか!面接いったら月給下がってるって、いやいや、履歴書を書いたり会社まで赴いたりの労力や時間を考えたことあんのか!

裁判所
「退廷を命じます」

ーーー うわぁ〜!(警備員2人につまみ出される)

社員が勝った裁判例

裁判例では社員が勝ったケースもあるんです。「求人票に書かれたとおりで契約が成立してる」って判断されてます(特段の事情がない限りという限定つきですが)

・安倍一級土木施工監理事務所事件:東京地裁 S62.3.27
・千代田工業事件:大阪高裁 H2.3.8
・福祉事業者A苑事件:京都地裁 H29.3.30

言うてた給料と違うがな!

ということで、損害賠償請求が認められたケースもあります。慰謝料100万円を勝ちとりました。(日新火災海上保険事件:東京高裁 H12.4.19)コチラをご覧ください。わかりやすく解説しています。 

求人募集でウソをつくとどうなる?「言うてた給料と全然違うがな!」 と会社を訴えた判例を解説

こんにちは。 弁護士の林 孝匡です。 今回は、裁判例のザックリ解説です。 中途入社した社員が 「言うてた給料と全然ちがうがな!」 と、会社を訴えた事件を解説しま...

さいごに

なんで今回負けたのかよく分からんですね。労働判例というオカタイ雑誌でムッチャ頭の良い人(評論家)が「今回の判断が先行事案に整合的かどうかの検証が求められるだろう」って書いてたので。

もしかしたら「損害賠償請求だ!」という法律構成ならワンチャンあったかもしれませんね。上の日新火災海上保険事件みたいに。期待持たせておいてハシゴ外してるよねってやつ。

▼ 相談するところ

もし納得できない釣り求人に遭われた方がいれば労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。

労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。

今回は以上です。「こんな解説してほしいな〜」があれば下記URLからポストして下さい。ではまた次の記事でお会いしましょう!

取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
webメディアで皆様に知恵をお届け中。「こんなこと解説してくれや!」があれば、下記URLからポストお願いします。
 https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
 https://twitter.com/hayashitakamas1

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