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求人情報の金額より月給が6万円も低い!求人票どおりの給料を求めた裁判でまさかの結果…

2023.04.29

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。

裁判例をザックリ解説します。

入社面接のあと、手渡された内定通知書を見て「!!!!」Xさんは驚きます。

・求人情報に書いてた金額と違う
月給が6万円も低い

という驚きです。その後、色々と交渉をしましたが折り合わず、白紙撤回となりました。

Xさんが訴訟を提起。Xさんの主張は「求人情報どおりの条件で契約が成立している。白紙撤回になった日からの賃金を支払って欲しい」など。

〜 結果 〜

Xさんの負けです。裁判所は「求人情報とは違う内定通知書を渡すこともありえる。求人票どおりでの契約は成立していない」と判断。

・・・ほんなら求人情報で釣れるがな!

以下、分かりやすく解説します(プロバンク(抗告)事件:東京高裁 R4.7.14)

※ 判決の本質を損なわないよう一部会話風にお届けします。

登場人物

▼ 会社

・経営コンサルティング、不動産売買などを行う会社

▼ Xさん

・男性(当時33歳くらい)

どんな事件か

Xさんが面接を受けて約1ヶ月で白紙撤回になっています。経緯を見ていきましょう。

▼ 求人情報に書かれていた月給

R3.8月
会社が求人サイトに求人情報を掲載。そこには以下の記載が。


月給46万1000円〜53万8000円

みなし残業手当45時間分を含む(11万2680円〜13万1490円)


Xさんはこの求人を見て会社に申し込みました。

▼ 下がってるがな!

9.20
社長との面接が行われました。面接のあとに手渡された採用内定通知書には以下の記載が。月給部分だけを取り出すと、


月40万円(45時間相応分の時間外手当を含む)


6万円以上、下がってますね。

9.22
Xさんが社長にTEL
「基本給40万円に45時間相応分の残業代は含まれるのでしょうか」と質問。

10.1
Xさんと社長がメールのやりとり。出社日は10/21となりました。

▼ やっぱり下がってるよな!

10.7
Xさんは会社に赴きます。労働契約書をもらいました。そこには以下の記載が…。


月給30万2237円

 時間外勤務手当9万7763円(時間外労働45時間に相当するもの)


合計額は40万円です。なので前に手渡された採用内定通知書と同じです。求人情報に書いてた金額から6万円以上も下がったままです。

Xさんは納得できなかったんでしょう。そこでサインせずに持ち帰りました。

その日、取締役本部長がXさんにTELします。Xさんがサインしなかったので気持ちを確認したかったのだと思います。するとXさんは「基本給40万円に固定残業代は含まれるか」などの質問をしました。

▼ 決断してほしい

10.9
取締役本部長が Xさんにメールを送りました。内容は以下のとおり。


・労働条件は採用内定通知書のとおり
 (※ 求人情報の月給より下がった金額ってことです  by林)
・その条件で働くことが難しければ辞退を申し出てほしい
・固定残業代を含まず基本給40万円を希望なら再度選考を行う


10.11
・取締役本部長が再度Xさんにメール
 今後の準備などもあるので明日までに返信してほしいとお願い。

・Xさんが返信
「お話したとおり出社はいたします。ほか手当78,000円の内訳が分からないので教えてください」と返信があった。

・取締役本部長「・・・?」だったのでしょう。「他手当78,000とはどの書類の記載のことか?」をメールで質問。しかし3日ほど返信ありませんでした。そこで「明日までに返事が欲しい」とメールをしましたが返信なし。XさんにTELしたけど応答がありませんでした。

■ 林の雑感
無視しちゃダメですw 裁判官の心証に響きます。

▼ 提出した労働契約書には!

10.21
Xさんは初出社。サインした労働契約書を提出しました。しかし!Xさんは以下の修正を施していました。


月給の302,237を二重線で消して、400,000と書く


私はこの月給を認めてませんよ、という意思表示です。会社側はXさんに帰宅するよう伝えました。 

▼ 白紙撤回

10.22
 取締役本部長がXさんにメール
 会社が提示した給与条件をXさんが了承できないのであれば労働契約は締結されていない状態にあると考えている、会社がXさんに対して行った雇用契約の申込みを撤回する。

白紙撤回となりました。

Xさんが訴訟を提起

Xさんの主張は「求人情報どおりの条件で契約が成立している。白紙撤回になった日からの賃金を支払って欲しい」など。

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