ヒューマンスキルの構成要素【管理職】
主に管理職に求められるヒューマンスキルを構成する要素を紹介します。ただし、一般社員でも必要な場面は多々あるので、上記の基本スキルとともに積極的に磨くように心がけましょう。
リーダーシップ
管理者に欠かせない素養として、広く知られているのがリーダーシップです。組織を統率し、部下を適切に指導するためのスキルとして、管理者は必ず身に付けなければいけません。組織の目標達成に向けて推進力を高めるのに必要で、立場が上がるほど高いレベルが求められるでしょう。
また、課長や部長といった役職に就いている人だけでなく、チームで仕事をする際のまとめ役を務める社員も、リーダーシップに関するスキルが必要です。チームメンバーそれぞれが、責任者の感覚で仕事に向き合うことで、全体の生産性が大きく向上します。
ヒアリング能力(傾聴力)
相手の話をよく聞き、何を伝えたいのか正しく理解するためのスキルで、『傾聴力』とも呼ばれます。単に話を聞いていればよいわけではなく、話の全体像と要点を把握し、何が問題なのか、どういった提案をすればよいかを考えなければいけません。
プライベートなシーンであれば、相手の話を聞くだけで問題ないケースもありますが、ビジネスシーンでヒアリングを行う場合、問題解決につながる提案が求められる場面も多々あります。不明点があれば適宜質問をしながら、正確に話を理解できるように努める必要があるでしょう。
ネゴシエーション能力(交渉力)
相手と交渉して自分の意見を通したり、妥協点を見つけたりする能力も、ヒューマンスキルを構成する要素です。
日々、顧客との交渉を経験する営業担当者を中心に、多くのビジネスパーソンに求められるスキルといえるでしょう。話をうまくまとめた上で調整を図る際にも、ネゴシエーション能力は欠かせません。
自分の要望を一方的に伝えるのではなく、相手の要求も受け入れつつ落とし所を探るのは、顧客に対してだけでなく、社内での調整にも求められる能力です。最終的に相手とWin-Winの関係を築ければ、次の機会にはよりスムーズに話を進められるでしょう。
コーチング能力
コーチング能力とは、問題解決につながる気づきや発見、行動を促すスキルです。管理者が部下のマネジメントを行う上で重要な能力で、相手のアプローチの仕方を改善するとともに、自ら成長する機会を与えます。
部下が自発的に必要な知識や技能の習得に努めるようになるには、上司が一方的に答えを押しつけてはいけません。それぞれの性格や強み、理想とするキャリアなどを考慮しつつ、部下が自分なりの答えを出せるように促すスキルが求められます。
ファシリテーション能力
ファシリテーション能力とは、会議やミーティングなどがスムーズに進行するように取り計らうスキルです。全体の方向性を決めるとともに、参加者全員が話しやすい雰囲気を作る能力ともいえるでしょう。
ファシリテーションスキルは会議やミーティングの場面で役立ちますが、管理者が部下と1on1ミーティングを行う場合にも、話を促したり、重要なポイントをまとめたりする力が求められます。チームで話し合いをするケースでも、話のまとめ役に必要なスキルです。
ヒューマンスキルを高めるには?
ここまで説明してきたヒューマンスキルを高めるために、以下の方法でトレーニングをしてみましょう。個人レベルでスキルを磨くのに加えて、研修を受けたり、周囲からフィードバックをもらったりすることも大事です。
研修に参加する
社内で研修を開いたり、外部のワークショップやセミナーなどに積極的に参加したりするのがおすすめです。企業としては、社内の集合研修で基本的な事柄を学ぶ機会を設けたり、外部の専門的な研修を受けられる体制にしたりすることで、社員のスキルを効率的に高められます。
近年はヒューマンスキルに関する研修が数多く開かれているので、具体的にどういったスキルを身に付けられるのかを確認し、自社に合ったもの選びましょう。
福利厚生の一環として、社員が個人的に外部研修を受ける際に費用の一部を負担している企業も存在します。社内の有志で、定期的に勉強会を開くのもよいでしょう。
人事評価の基準として取り入れる
社員にヒューマンスキルを身に付けさせたい企業は、人事評価の基準の一つとして、ヒューマンスキルに関する項目を取り入れる方法があります。
上記のように、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力など、いずれもビジネスシーンで必要な技能ばかりなので、人材評価の基準としても有効です。
特に管理職を評価する場合、リーダーシップやコーチング能力などを評価の基準としている企業は多いでしょう。社員側も、人事評価においてどのヒューマンスキルが重視されているかを理解し、そこを重点的に磨くことでキャリアアップにつながります。
フィードバックを得られる環境を作る
管理者と部下による1on1ミーティングをはじめ、実際の業務の進め方や周囲との関係構築など、ヒューマンスキルの観点から、適宜フィードバックを受けられるようにしましょう。
それまでの業務を振り返りながら、すでに十分に身に付いているスキルと、これから力を入れて身に付けるべきスキルに関して、社員が適切なアドバイスを受けられる環境を作る必要があります。ヒューマンスキルの取得に関して、社員同士が協力し合う環境も大切です。
特に1on1ミーティングを行う際には、具体的にどういったスキルを磨くか、社員が自ら目標を設定するようにしましょう。設定した目標の達成を目指して、学びと実践を繰り返すことが大事です。フィードバックを受けながらPDCAを回すことで、効率的にスキルを身に付けられます。
構成/編集部