正月に飾る、門松やしめ縄。松の内が明けた際にこれらの処分方法に困ったことはないだろうか。そのような時に参加したいのが、小正月である1月15日頃に全国各地で開催される「どんど焼き」と呼ばれる火祭り行事だ。
本記事では、「どんど焼き」とはそもそもどのような行事なのかをはじめ、実際に参加する場合の注意点についても解説する。ぜひ日本のお正月の締めくくり行事とも言える「どんど焼き」への理解を深め、実際に参加してみてほしい。
どんど焼きの意味と由来
どんど焼きは、1月に日本各地で開催される火祭りのこと。まずはどんど焼きとは具体的にどのような行事なのか、また、一風変わった「どんど焼き」という名前の由来についても解説する。
どんど焼きは火祭りの行事
どんど焼きは、飾り終えた門松やしめ縄といった正月飾りを神社などで燃やす、日本の伝統的な火祭り行事のこと。正月に迎えた歳神様を見送り、一年の幸せを祈願するために旧暦の新年最初の満月の日にあたる1月15日に行われる。
古くなった装飾品をそのままゴミとして廃棄するのではなく、神聖な火で燃やし、満月の力によって浄化することで、一年間の災いや悪運を払うことができると考えられている。また、どんど焼きの火は「穢れを清める」「新しい命を生み出すもの」であり、縁起が良いとされている。
どんど焼きの語源
どんど焼きの言葉の由来は、「どんどん」燃える様子からきている説をはじめ、燃やす時にはやし立てていた台詞「尊と尊と(とうととうと)」が訛ったものとする説、燃やし始めに青竹が弾け「どんっ」と音がすることに由来する説などがある。
また、行事の発祥については、正月飾りを燃やす行事として近畿や北陸周辺で行われていた「左義長(さぎちょう)」だと言われている。左義長は、元々1月15日の夜に行われる平安時代の宮中行事であり、当時は三毬杖(さぎちょう)と呼ばれる青竹を束ね、短冊や扇子を添えて正月飾りなどを焼いていた。
地域によって呼び方が異なる
「どんど焼き」は、地域によって呼び方が異なる。東北では「どんと焼き」、長野県・山梨県では「道祖神祭」、静岡県では「さいと焼き」、関西では「とんど焼き」、九州では「鬼火たき」などと呼ばれている。
どんど焼きに参加しよう
どんど祭りがどのような行事なのか理解した上で、どんど焼きで燃やせるものや、どんど焼きのご利益、参加する際の注意点を見ていこう。
どんど焼きで燃やすもの
どんど焼きでは、正月飾りである門松やしめ縄だけではなく、古くなったお守り、お札、書き初め、熊手、だるまや人形、のし袋などを燃やすのが一般的。ただし、地域によっては「だるまを燃やすのは縁起が悪い」、「燃やすものは正月飾りに限る」などの考え方やルールがあることも珍しくないため、地域のルールに従おう。
また、どんど焼きには、火が落ち着いたタイミングで食べ物を焼いて食べる風習も存在し、餅やまゆ玉、お団子を焼いたり、中にはお酒や豚汁などを温めたりして食べる地域もある。
どんど焼きのご利益
どんど焼きは縁起の良い行事であり、参加することで以下のようなご利益を授かれると考えられている。
・どんど焼きの火にあたると、一年間病気をせずに過ごせる
・どんど焼きで焼いた餅を食べると、災いや厄を免れる
・竹が大きな音で爆(は)ぜると鬼が逃げる
・どんど焼きの火に当たると若返る
・燃やした書き初めが高く舞い上がると、学業が成就する
・どんど焼きから持ち帰った灰を自宅の庭に撒くと縁起が良い
参加する場合の注意点
初めてどんど焼きに参加する場合に、注意したい点は以下の3つ。
1.地域ごとに独自のルールが存在する可能性がある。特に燃やせるものについては事前にチェックしておこう。
2.火の粉が飛んで穴が開いたり、煙の臭いがついたりしても構わない服装で参加する。
3.物を燃やす時に使用する手袋や軍手を持参する。
何よりも、事故や怪我のないように注意しながら行事を楽んでほしい。
日本各地で有名などんど焼き
日本各地では、さまざまな特色のあるどんど焼きが開催される。最後に東京、神奈川、北海道で開催されるどんど焼きについて紹介しよう。
東京
東京では、1月の中旬までの土曜日にどんど焼きが行われることが多い。都内最大規模となるのは、台東区「鳥越神社」で毎年1月8日に開催される「とんど焼き」だ。子どもが主役となる鳥越神社のとんど焼きでは、勢いよく燃え上がる火の周りを、青竹を持った子ども達が「とーんど、とーんど」の掛け声とともに地面を叩きながら歩く。
神奈川
1月15日に近い日曜日にどんど焼きが開催されることが多い神奈川県。有名なのは、横浜市金沢区「海の公園」で開催されるどんど焼きだ。どんど焼き以外にも、祭囃子や獅子舞が披露されたり、地元の飲食店の出店があったりと、家族で楽しめるお祭りとなっている。
北海道
北海道では1月15日に近い土曜日または日曜日に開催されるどんど焼きが多い。旭川市「護國神舎」には、神棚を燃やせるどんど焼きがある。神棚は祈願後に焼納するため、焼納料として1,000円~2,000円を納める。
※データは2022年12月下旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部