堂安には長友・吉田のマインドを引き継いで!
●MVP…堂安律
MVPは吉田、遠藤、堂安のいずれかで迷ったが、1大会2ゴールという難易度の高い結果を残したこと、ビッグマウスで日本全体を盛り上げたこと、4年後への希望を示したことなどで加味して背番号8を選出した。
森保ジャパン発足時は南野、中島翔哉(アンタルヤスポル)とともに「三銃士」と称された堂安だが、2019年アジアカップ(UAE)を主力として戦った後は長い停滞が続いた。同じポジションの伊東が躍進する中、結果を出せない自分に苛立ちを隠せなかった。
今年3月の最終予選・オーストラリア戦(シドニー)ではまさかの代表落ちも強いられ、彼自身「絶対に本番では点を取ってる」と逆境からの巻き返しを誓っていた。それを有言実行した格好で、そういった強い精神力はガンバ大阪アカデミーの先輩・本田圭佑を彷彿させた。
普段はイケイケのイメージが強いが、クロアチア戦後には報道陣に対し「日本国民のみなさんに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と反省の弁を口にするほど、潔い一面を持っている。しかも同い年のキリアン・エムパペ(PSG)らと自分を比較して「世界のトップに近づけば近づくほど差を感じる」といった重い発言もしてみせた。
そういったカタールでの経験を先に生かしていくしかない。長友、吉田ら偉大な先輩たちのDNAを継承できるのは間違いなくこの男だ。
取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。