低燃費なのにスポーツカーのようにキビキビ走るコンパクトカーが増えてきた。そこで最も旬な、日本とドイツの2台を比較試乗した。
ファミリーカーといえば、ここ数年大人数がゆったり乗れるミニバンやSUVが人気だった。しかし、日本でも欧州でも乗用車の販売ランキング上位には、必ずコンパクトカーがランクインしている。全長4m前後の、リアにハッチゲートを備えたコンパクトカーは、今でも欧州ではファミリーカーの中心的存在であり、メーカー各社はこのクラスの開発に注力している。脱炭素化や電動化という流れの中、伝統的なコンパクトカーもフルモデルチェンジを果たして、日本に投入されている。
フォルクスワーゲン(以下VW)『ポロ』は、数多くある欧州コンパクトカーの中でも特に歴史のあるモデル。初代は1975年にデビューし、これまで世界で累計1800万台以上を販売、世界で最も成功したコンパクトカーともいわれている。同社のベストセラーカー『ゴルフ』のワンランク下に位置する人気モデルだ。
日本に導入されたのは1996年からだが、すでに30万台以上を販売し、おしゃれでカジュアルな雰囲気と国産車に対抗できる戦略的な価格で人気となっている。その最新モデルが今年6月に上陸。6代目となる新型は上級モデルに採用されている先進安全装備や快適装備を搭載しながらベースモデルは257万2000円、ほぼフル装備の最上級モデルでも329万9000円に抑えられている。
迎え撃つのは日産『オーラ』。昨年6月に登場し、今年8月に改良を果たした日産のプレミアムコンパクトカーだ。ベースになった『ノート』は5ナンバーサイズだが『オーラ』は全幅を拡大、グローバル基準に合わせて3ナンバーサイズとなって静粛性や快適性を向上させている。
パワーユニットは同社独自のハイブリッド技術「e-POWER」を採用。この技術によりエコとスポーツを両立させることに成功した。27.2km/Lの低燃費と、0〜100km/hの加速が6秒台というスポーツカーレベルの加速性能を実現している。エンジン+モーターによるハイブリッド車はこういった高い性能を実現できる点が強みともいえる。
一方の『ポロ』も特に高速域に入ってからの操縦安定性や、燃費の伸びが印象的だった。エコモードでもしっかりとした走りが楽しめるのは、高速走行を重視するドイツ車らしい特徴だ。それぞれの特徴を見極めて選択してほしい。
最大の武器はクラスを超えた走りと先進装備
フォルクスワーゲン『ポロ』
Specification
■全長×全幅×全高:4085×1750×1450mm
■ホイールベース:2550mm
■車両重量:1190kg
■排気量:1000cc
■エンジン形式:直列3気筒DOHCガソリンターボ
■最高出力:95PS/5000〜5500rpm
■最大トルク:175Nm/1600〜3500rpm
■変速機:7速AT(DSG)
■燃費:17.1km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:257万2000円
※「R-Line」
ヘッドライトはLEDマトリックスを採用。新型はヘッドライトからフロントグリル下部を縁取るようにLEDのライトバーがつながっている。全幅は『オーラ』より15mm大きい。
ホイールベースは『オーラ』より30mm短く、全長は40mm長い。さらに全高は75mmも低いプロポーションで『ゴルフ』とも共通したデザインを踏襲。タイヤの扁平率は45でホイールは17インチ。
テールランプは左右独立のLEDを採用、フロントとは異なる印象を持たせている。リアゲートを開く時は大きなVWマークを押す。バンパー下のマフラーは存在感がある。