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手紙やビジネスメールを書く際は、適切な結びの言葉を選択することが大切です。さまざまなパターンを知っておけば、相手やシチュエーションに合わせて上手に使い分けられます。結びの言葉の基礎知識や、例文・注意点を紹介します。
手紙における結びの言葉の基礎知識
結びの言葉を考える際に意識したい基本のポイントを紹介します。以下に挙げることを押さえておくだけでも、より好印象の手紙を書けるようになるでしょう。
相手や内容によって使い分ける
手紙の文章で使う言葉や言い回しは、手紙を送る相手により異なります。上司や取引先に向けて書く文面は、同僚や部下に対する文面より丁寧でなければなりません。
同僚や部下には『よろしくお願いします』で問題なくても、相手が上司や取引先なら、『どうぞよろしくお願いいたします』『ご検討のほどよろしくお願いします』などとする気配りが必要です。
手紙の内容によっても、使うべき言葉は異なります。結びの言葉を考える際は、相手や内容に合わせて上手に使い分けることが大切です。
冒頭の言葉とのバランスが大切
手紙における文面は、基本的に冒頭の言葉・本文・結びの言葉の三つで構成されます。冒頭の言葉と結びの言葉のバランスを考慮し、文章全体の格を統一させることが重要です。
結びを『今後とも何卒お引き立ての程、よろしくお願いいたします』とする場合、冒頭を『いつもお世話になっております』とすると、格がそろわずに手紙の印象が悪くなります。
この場合は、冒頭を『平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます』のように、より丁寧な表現にしなければなりません。
冒頭と結びでは、言葉が重ならないように注意する必要もあります。丁寧な言葉は冒頭と結びの両方で使えるものが多く、同じ言葉を使わない文章にするのがポイントです。
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クッション言葉を使いこなそう
手紙やビジネスメールの文面で役立つ表現が『クッション言葉』です。クッション言葉を使うことで、命令調にとられかねない表現を柔らかい表現に変えられます。
単に『お電話をください』とするより、『お手数をおかけしますが、お電話をください』としたほうが、より謙虚な表現になります。クッション言葉は、結びでも積極的に使える便利な言葉です。
『恐れ入りますが』『申し訳ありませんが』『差し支えなければ』など、クッション言葉はシチュエーションによりいくつかの種類に分けられます。できるだけ多くの言葉を覚え、状況に合わせて使い分けましょう。
手紙やビジネスメールの結びの言葉の例
代表的な結びの言葉をタイプ別に紹介します。手紙を書く際に迷ったときの参考にしましょう。
一般的な結びの言葉
汎用性の高い結びの言葉を覚えておきましょう。どのような内容の手紙でも使いやすい表現です。
- どうぞよろしくお願いします
- 何卒よろしくお願い申し上げます
- 引き続きよろしくお願いいたします
- 今後ともご協力を賜りたくお願い申し上げます
- 今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
相手が上司や取引先なら、丁寧な表現にすることが大切です。『お忙しいところ恐縮ですが』などのクッション言葉を使えば、より柔らかい印象を与えられます。
お願いや感謝を伝える結びの言葉
相手に依頼したいことがある場合は、以下のような結びの言葉を使うのがおすすめです。強引なニュアンスになりがちな印象を軽減できます。感謝の気持ちを伝える言葉も、併せて覚えておきましょう。
- ご検討のほどよろしくお願い申し上げます
- ぜひご一考いただけると幸いです
- 誠に勝手なお願いではございますが、よろしくお願いいたします
- この度は心より感謝申し上げます
- 厚く御礼申し上げます
- ご厚情を賜り誠にありがとうございます
その他目的に合わせた結びの言葉
ビジネスシーンでやりとりする手紙の内容は多岐にわたります。連絡が欲しいときや謝罪するときなど、目的別の代表的な結びの言葉を紹介します。
- ご連絡いただきますようよろしくお願い申し上げます
- ご確認の上、今週末までにご返信いただければ幸いです
- 何か不都合な点がございましたらお知らせください
- この度は多大なるご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます
時候に合った結びの言葉
結びの言葉に季節感を反映させれば、より上品な手紙に仕上げることが可能です。時候に合わせて使える結びの言葉を紹介します。
- 梅の便りも聞かれ始めた昨今、皆様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます
- 例年になく厳しい暑さが続いております。くれぐれもお体に気を付けてお過ごしください
- 紅葉が美しく映える時期になりました。体調を崩されませんようご自愛ください
- 余寒厳しき折、年末に向けてご多忙とは存じますが、ご無理なさいませんようお過ごしくださいませ
結びの言葉の注意点
結びの言葉を考える際に気を付けるべきことを紹介します。相手を嫌な気持ちにさせないための重要なポイントです。
「取り急ぎ」を使うのは控えよう
丁寧に手紙を書く時間が確保できずに、急いで要件を伝えたい場合、『取り急ぎ』という結びの言葉がよく使われます。『取り急ぎご報告まで』などとするのが一般的です。
ただし、取り急ぎという言葉を使うと、「忙しい合間をぬって手紙を書きました」という表現にもとられかねません。相手によっては失礼な印象を与えてしまうため、使わないほうが無難です。
どうしても取り急ぎを使う場合、『改めて後ほどご連絡差し上げます』などの文章を添えるとよいでしょう。取り急ぎではなく、『まずはご報告まで』とするのも一つの方法です。
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文/編集部