さて、前回に引き続き、”世界を知るおススメ小説”の続きである。
筆者自身が、仕事柄もありグローバルな舞台にした書籍が大好きなのだが、読んでいて、
(そうそう、あるある!)
と思わず膝をたたくことがある。
今回は、そんな書籍(小説)をいくつかご紹介してみたい。
3.ケニア
「ナイロビの蜂」
著者:ジョン・ル・カレ
集英社文庫
昨年末、大変惜しまれつつも他界されたジョン・ル・カレ。
スパイ小説の書き手として知られるル・カレだが、彼があまりイギリスに触れない本が何冊があり、これがいずれも味わい深い。
その一冊がこの”ナイロビの蜂”である。
ケニアといえば、別のコラムでも書いた通り、いまアフリカでも屈指のスピードで成長を遂げている国。
でも、人々のメンタリティ・文化の中に、旧宗主国であるイギリスらしい一面を感じる一方、”ザッツアフリカ”な一面も感じる。
そんなところを上手く切り取ったと感じられるのがこの”ナイロビの蜂”である。
ちなみに、同じル・カレの作品の中では、「パナマの仕立屋」という作品もあり、これもおススメである。
”中米のシンガポール”ともいえるパナマシティ。
ここがどうやって成長してきたのか、その点を垣間見れる傑作だと思う。
4.メキシコ
「ザ・カルテル」
著者:ドン・ウィンズロウ
角川文庫
最近でこそ発展著しいメキシコだが、やはり、この国でビジネスをやる以上、マフィアに関係する闇の部分は知っておきたい。
これを見事に表現したのがドン・ウィンズロウの”ザ・カルテル”である。
モデルはかの有名なマフィアの親分だが、メキシコとはどんな国なのか。
特に、複数あるメキシコとアメリカの国境地帯、なぜトランプ前大統領は国境に壁を作ることに躍起になっていたのか。
その点がよく分かる一冊だと思う。
5.コロンビア
傭兵代理店・改『血路の報復』『死者の復活』
著者:渡辺裕之
祥伝社文庫
傭兵代理店・改『死者の復活』
著者:渡辺裕之
祥伝社文庫
渡辺裕之さんの”傭兵代理店”シリーズは第一弾から私は大ファンで、最新刊まで全て読破している。
そんな中、昨年出版されたもので南米コロンビア・エクアドルを舞台にしたものがある。
特にコロンビア。
首都・ボゴタを舞台としているが、小説の要所要所に、治安も改善されまるで雰囲気はヨーロッパともいえる”新しいボゴタ”が描かれている。
これまで、コロンビアといえばガルシア・マルケスの書籍などが代表的なものであったが、ビジネスマンの皆さんが知りたいであろう”新しいコロンビア”、その点では、意外かもしれないが、”傭兵代理店”シリーズはおススメだ!
以上、2回にわたってお伝えしてきた。
もちろん、他にも参考になる書籍はたくさんあるはず。
ステイホームの時間の多い今だからこそ、是非本を読んで来たる日に備えよう!
文/小林邦宏
旅するビジネスマン。これまで行った国は100ヶ国以上。色んな国で新しいビジネスをつくるおじさん。
現在は新型コロナウィルスの影響で海外渡航制限中により国内で活動中。
オフィシャルサイト:https://kunihiro-kobayashi.com/
Youtubeチャンネル:「旅するビジネスマン 小林邦宏チャンネル」
Twitter: @kunikobagp
著書:『なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?』(幻冬舎)