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低反発、高反発、無反発、5種類を使い比べてわかった自分史上最高の枕

2021.02.11

 快適な睡眠のためには、枕選びが大切と言われる。異論はない。自分に合う枕を見つけるには、実際に試してみるといいとも言われる。もちろん、異論はない。だが今は、試せばいいというわけではないと痛感している。

 10何年か前にプレゼントされた、ロフテーの枕をずっと愛用していたが、ある時から違和感を感じるようになった。なぜだろうとネットで調べると、枕には寿命があり3年くらいという。考えてみれば、毎夜の頭の重みで枕はへたっていく。10年以上使っていたら、寿命が来ていて当然だ。

 そんな頃に泊まった大分・別府温泉のホテルの枕が快適で、久しぶりに目覚めが良く、当時、起床するたびに出た首の鈍痛もなかった。朝食後、土産物売り場を覗くと、その枕が販売されている。6000円くらいだったと思う。寝心地がいいと評判の枕で、全国のホテル・旅館で使われているという説明があった。迷わず購入した。

 以降、快適な睡眠が続いた。だが一昨年の秋くらいから、また首の鈍痛が出るようになった。別府で購入してからおよそ3年が経つ。寿命だろう。自分に合う枕に出合ったのだから、同じ枕を買えばいい。だが根っからの新し物好き・違う物好きなので、別な枕を探すことにした。

 2018年の夏にベッドのマットレスに違和感を感じ、買い替えたという記事を書いた。マットレスには高反発と低反発があり、どちらがいいということはなく、あくまでも個人次第だ。僕は3種類試して西川の高反発を購入、満足している。マットレスを選ぶ際に、枕にも高反発と低反発があり、高反発マットレス派だから枕も高反発を好むとは限らないことも知った。

「セブンスピロー」。縦68cm、横90cmと大きい。“頭から背中まで7つの部位を包み込み、しっかり支えることで、睡眠時の肩や首の負担を軽減させることができます”という商品説明に、なるほどと思えるサイズだ。

 低反発マットレスといえば、トゥルースリーパーが有名だ。毎週のように朝日新聞に大きな広告が載っているので、そのブランド名は僕の頭に刷り込まれている。そのトゥルースリーパーのラインナップに、「セブンスピロー」という枕がある。“肩・首・背中まで支える、未体験の眠り”と謳われ、見たことのない大きさ・形状が快眠を想起させる。マットレスでは苦手な低反発ながら、“未体験の眠り”に誘われ購入に至った。一昨年の12月のことだ。購入価格は忘れたが、原稿執筆時(2月4日)に公式サイトで見ると税抜き14800円(送料無料)だ。

横から見た「セブンスピロー」。

 商品が届くや、早速試してみる。やはり低反発枕、僕の好みではない。だが翌朝快適であればいい。さて、一晩を過ごすと? 使用初日からかどうかは記憶に定かではないが、首に鈍痛を感じる日が増えた。日々寒くなっていく時期だったので、枕ではなく古怪我のせいだろうと思った。

 古怪我とは20年ほど前のこと、目覚めると玄関の上がり口で寝ている。左目が開かない。なぜと鏡の前に行くと、額から左目にかけて固まった血がこびりついている。一体何が起きたのか、寝室に行って真相がわかる。

 泥酔した僕は帰宅して就寝、やがてトイレに起きたのだろう。その際に押入れの木製引き戸に額から激突したのだ。引き戸が奥に向かって倒れていた。どれほどの勢いで激突したのか。その日から1ヶ月くらい、首が左に回らなかった。むち打ち症だ。今でも左首下後方に、つまる感がある。

 枕ではなく古怪我が痛みの原因と思った僕は、さる人の勧めで代々木にある整体に通う。この整体の先生はまさにレジェンドな腕前で、施術されると見事に痛みが収まる。だが数日経つと、元に戻ってしまう。週に1度通ったが、3度目くらいに「これは古怪我ではなく、枕が合わないからでしょう。高価な枕は必要ありません。これ、どうです」と、フランスベッドの高反発枕「エアレートピローコンフォート ハードタイプ」を勧められた。

「エアレートピローコンフォート ハードタイプ」。

横から見た「エアレートピローコンフォート ハードタイプ」。

 トゥルースリーパーに替えてまだ1ヶ月くらい、新たに買うのもいかがかという躊躇いはあったが、なにせレジェンドのお勧め、価格も税込6265円(送料無料)だったので買ってしまった。こちらは高反発、やはり枕も高反発が好みで、頭を枕に載せた時の感じ(以降、たぶん造語の枕感と表現)もいい。使用翌日から鈍痛を感じず、2週間ほどで整体に行く必要もなくなった。その後約1年が経ち概ね問題ないが、1週間に1回くらい鈍痛が出る。これは枕ではなく、寝返り等、眠り方の問題だろうと思っていた。

 話は変わるが、リタイアおじさんの朝はノンビリしている。僕が起きてから見るテレビは、ずっとテレビ朝日。「グッド・モーニング」の途中から始まり、「羽鳥慎一モーニングショー」「じゅん散歩」と続く。テレビを見ながら、新聞を読んだり、朝食をとったり。シャワーを浴びるのもこの時間帯だ。

 その「じゅん散歩」に“ものコンシェルジュ”なる通販コーナー、というかCMタイム?がある。便利グッズや寝具、お買い得食品などが紹介され、僕はすっかりお得意様になってしまった。この1年で購入した物は、「Gゼロクッション」「らくらく毛玉取りブラシ」「次亜塩素酸除菌水ジアのチカラ」「SPFスプレー」「スーパーストーンバリア包丁」「パルスイクロス」「あったかプレミアモフモフ寝具」「ボイル本ズワイガニ」「松坂牛の切り落とし」他と、ちょっと度を越している。このうち「Gゼロクッション」と「らくらく毛玉取りブラシ」は、その“使えるぶり”を記事にした。

「整体・トレーナー監修 ボディチューニングピロー エアトラス」。

横から見た「整体・トレーナー監修 ボディチューニングピロー エアトラス」。

 さて話を戻す。昨年12月、“ものコンシェルジュ”で「整体・トレーナー監修 ボディチューニングピロー エアトラス」なる枕が紹介された。“寝姿勢を自然なバランスへチューニング(調律)してくれる枕!”と謳い、番組ではボーリングのボール(=頭)を枕の上で転がし、寝返りのしやすさをアピールしていた。価格は税込6980円+送料810円だ。

 フランスベッドでたまに鈍痛を感じるのは“寝姿勢”ゆえと思っていた僕に、“寝姿勢を自然なバランスへチューニング(調律)”という言葉は響いた。買ってみようか、好奇心&物欲が湧く。冷静な頭は、“フランスベッドを買ってまだ1年、概ね満足なのだから無駄遣いはやめろ!”と警告する。物欲に侵された頭は、“時には鈍痛がする。整体・トレーナー監修だし、この通販で買った商品にはずれはない。買え!”と促す。トゥルースリーパーを買って1ヶ月でフランスベッドも買ったと言う実績を誇る(?)僕は、もちろん買ってしまった。

 しかし到着した枕を手にし、早くも後悔する。柔らかいのだ。頭を載せてみると、枕感は人生最悪。フランスベッドを高反発、トゥルースリーパーを低反発とするなら、これは無反発だ。頭が枕に沈み込む。店頭で試したなら、絶対に買わない。僕の好みに真逆の枕だ。

商品に同梱された説明書。

 だがせっかくだから、とりあえず一晩使ってみることにした。返品も可能だろう(後述するが、返品不可)。頭を支える枕応え(これも造語)のない枕感に、フランスベッドの方がはるかにいいと思いながら寝入った。さて翌朝目覚めると、首に違和感はない。トゥルースリーパーにも、こういう日があった。こんな日もあるさと思いつつ翌晩も使い、かれこれ既に3週間が経つ。未だに枕感は気に入らないが、一度たりとも鈍痛が出ない。こうなると、もうフランスベッドには戻れない。

 では冒頭に述べた“自分に合う枕を見つけるには、実際に試してみるといい”という“正論”は、間違っているのか。3種類の枕を買って、僕に一番フィットした枕は、試したなら絶対に買わない枕感だったのだ。

 “正論”をより正しく言うなら、“店頭で試すのではなく、自宅で1週間くらい使ってみる”、となるだろう。ただし、現実的には難しい。僕には合わなかった「セブンスピロー」は、使用後でも60日間は返品可能だ。だが「ボディチューニングピロー エアトラス」は、使用したら返品できない。フランスベッドも、同様のようだ。世の中、甘くない。

 とはいえこの記事を書いた僕としては、睡眠に悩みがあり、税込6980円+送料810円は無駄金になってもいいと思うなら、「ボディチューニングピロー エアトラス」購入を強くお勧めする。ただし僕は寝つきがよく、横になるやすぐに眠ってしまう。だから不快な枕感を味わうのは、ごく短時間。寝つきが悪かったら、絶対にこの枕は選ばない。

文/斎藤好一(元DIME編集長)

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