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アイリスオーヤマ代表取締役社長・大山晃弘氏に聞く〝なるほど〟を生み出すものづくり

2021.03.07

大山晃弘氏

アイリスオーヤマ株式会社 代表取締役社長
大山晃弘

1978年、宮城県仙台市出身。米国留学後、2003年にIRIS USA INC入社。同社チェアマンを経て、2018年7月、現会長で実父の大山健太郎氏の跡を継ぎアイリスオーヤマ社長に就任。週末には家族のために料理の腕を振るうマイホームパパでもある。

多機能な大手メーカーの家電とは真逆を行く、シンプルだけどひと工夫ある「なるほど家電」で、業界に旋風を巻き起こし続けるアイリスオーヤマ。コロナ禍ではいち早く国内にマスクの生産体制を整え、供給不足の解消に尽力した。即断即決で攻め続ける大山晃弘社長は、アフターコロナにどんな商機を見い出しているのかを聞いた。

震災の経験がコロナ禍の即断即決を後押し

──コロナ禍、いち早くマスクの生産拠点を国内に構えるなど、迅速な経営判断が注目を集めました。こうした判断ができた理由を教えてください。

「やはり東日本大震災の時の経験が大きかったと思います。私は当時、被災した角田工場に勤務していましたが、人も場所も整わない中で一番に取り組んだのが、商品を必要としているお客様のもとに、いかに早く届けるかということでした。今回のコロナ禍ではマスクが供給不足となり、混乱に陥りましたが、素早い投資判断をすることができたのは、あの時の経験があったからです。

 もうひとつ、アイリスオーヤマがオーナー企業であることも、即断即決ができた大きな要因です。意思決定のプロセスがシンプルなので、大きな変化があった時に自ら判断して動ける。上場企業が我々と同じようなスピードで動けるかというと、それは難しいのではないでしょうか」

──その即断即決で、近年は家電分野でも大きく飛躍を遂げていますが、家電への進出はどのような経緯があったのでしょうか?

「私が米国法人から日本に戻った2010年当時は、まだシュレッダーや加湿器といった軽家電だけで、それも小売店からの要望に合わせたOEM製品を手がけているという状況でした。技術を確立し、本格的に取り組み始めたのはLED照明からですが、まさにそのタイミングで東日本大震災が起きました。結果として、会社自体が大きく変わる転機にもなりました」

──LED照明は震災後の省エネ意識の高まりで、一気に需要が拡大しました。そこに大きなビジネスチャンスが生まれたんですね?

「まさにそうです。我々のビジネスはいつもそうですが、まず小さく始めて、売れる商品をブラッシュアップしながら、これがいけるとなったら一気に投資をします。LED照明の時も一気に増産に踏み切りました。我々の工場ではプラスチックから金属まで様々な素材を扱っているので、自分たちの生産ラインだけで作れるものが多い。だから〝まずちょっとやってみる〟といったことができるのも、強みと言えるかもしれません。

 よくメディアに取り上げていただくクリーナーも、もともとはOEMから始めたのですが、内製化しモップをつけたら便利じゃないかということでつけてみたり、軽いほうがいいだろうということで業界最軽量を目指したり……。そういう工夫を重ねながら一歩一歩、家電製品を開発してきました」

2022年度に売上高1兆円が目標

2022年度に売上高1兆円が目標

アイリスグループの売上高は右肩上がりに推移。2020年8月には同年の売上高を当初予想の6000億円から7000億円に上方修正した。2022年に売上高1兆円を目標に掲げている。

被災しながらも供給を続ける

被災しながらも供給を続ける

2011年3月の東日本大震災では、主力の角田工場(宮城県角田市)が被災しながらも、いち早く商品の供給を再開し、被災地に物資を届けた。大山社長は当時同工場に勤務。現場で復旧作業の初動指揮を執った。

いち早くマスクの国内生産を開始

『ナノエアーマスク』

『ナノエアーマスク』

国内にいち早く生産設備を設け、不足するマスクの供給に務めた。さらに生産を米国やフランスにも拡大した。『ナノエアーマスク』は2020年のグッドデザイン賞を受賞している。

大山晃弘氏

会社が生き残るためには、
変化に対応し続けなければならない

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