
自慢話や見下した言い方を頻繁にする人は、『マウントを取る』性格の人なのかもしれません。そのまま聞き流せればよいのですが、言動がきついため強いストレスを感じてしまう人もいるでしょう。マウントを取る人の心理や、対処方法を紹介します。
「マウントを取る」の意味
高圧的な態度を取ったり、相手を排除するような言葉を使ったりする人は、マウントを取る傾向を持った人なのかもしれません。マウントを取るとは、どのような意味なのか説明します。
自分が上だと示す言動を取ること
「マウントを取る」とは、自分の優位性を相手や周囲に示す行為を指します。また、同じ意味で『マウンティング』とも呼ばれます。
例えば、「おまえはそんなこともできないのか」というような相手を見下した発言は、人を精神的に攻撃している状態や、マウンティングと捉えられます。
また、「私はあなたと違って、これができるから」といった、自分の有能さをアピールする発言や行為もマウントを取る行為といえるでしょう。
言動の全てが直接的なものではありません。間接的に優位性を伝えるような言い回しを用いる人もいます。そのため、気づかないうちにマウンティングされていることもあるでしょう。
マウントの由来
マウントとは、格闘技において相手に馬乗り状態になる『マウントポジション』から生まれました。これは、上にまたがった人が一方的に攻撃できる状態です。
あたかも相手の上に立ち、精神的なマウントポジションを取る様が馬乗り状態に似ているため、マウントという言葉の由来になりました。
もともとはネット界隈で使われていた言葉で、そこから世間に広まったといわれています。SNSが発達したことからネット上でマウントを取りやすくなり、多くの人がこの言葉を使うようになりました。
現在では日常生活にも浸透し、会話の中でも使われています。
なぜマウントを取るのか?
マウントを取る人は、いくつか理由があってそのような言動を繰り返しています。そもそもなぜマウントを取る必要があるのか、考えられる理由の一部を紹介します。
みんなが序列を重視していると思っている
マウントを取る人は、序列に対する認識が人一倍強いといわれています。序列を重視すると考えるだけではなく、周囲の人もみんな序列を重んじていると思い込んでいるのです。
優劣を付けたがる人の考え方は、育った家庭環境や幼少期からの性格によって培われるものであり、簡単には変わらないでしょう。
マウンティングしなければ自分が負けてしまうと信じているため、相手を見下す言動をやめられません。そして、自分の順位が低くなる事態をとても恐れています。
「人間とは優劣を求めるものだ」と強く認識していることから、序列を気にしない人との間に考え方のギャップが生じるのです。
自分を認めたい・不安を払拭したいから
「マウンティングして自分は最下層ではないと認めたい」「末端である不安を払拭したい」と無意識に思う人もいるようです。
人間は本能的に、誰かと比べたがる特徴がありますが、このような人は他人を認めなかったり見下したりすることにより、自分が優位に立っていると信じたいのです。
しかし、人によっては優劣を決めることにあまり固執しない人もいます。この違いが生まれる理由の一つとして、マウントを取る人は過去に傷ついた経験をしている可能性が考えられます。
例えば、容姿や能力を馬鹿にされたり、親に認めてもらえなかったりした人は、過去を引きずっている場合があります。
このような過去のトラウマから自分を守るためにも、マウンティングしてしまうのです。
マウントを取る人の特徴
心理的な理由からマウントを取るのであれば、どのような言動を取る人がそれに該当するのでしょうか。マウントを取る人の特徴を紹介します。
承認欲求が強い
マウントを取る人には、『承認欲求』が強いという特徴があります。
心理学者マズローが提唱した『欲求5段階』にも登場しますが、承認欲求は人が求める欲求の中でも4段階目に位置し、ここが満たされなければ劣等感や無力感を感じるといわれています。
マウンティングは劣等感を恐れている裏返しです。マウントを取る人は、他人から認めてもらうことで劣等感を避けようとする特徴があります。
また、周囲から注目を浴びていたいなど、自己顕示欲が強い人もマウンティングする傾向があるでしょう。特に年収や学歴、実績や経験などを誇示しやすいようです。
自信がない
自信がない人や、自己否定感の強い人もマウントを取る傾向にあります。相手を相対的に下位に置くことで、自分は優秀だと思い込んだり、自己肯定感を高めたりするのです。
自信がないため、マウンティングして「自分よりも下がいる」と認識し、自信を付けているのでしょう。
また、相手を見下すだけでなく、自分のだめな部分を隠そうとして、現実とは異なる誇張した話をする場合もあります。
やたら自慢話をしたり、多くのブランド物で身を固めたりするといった行動は、自信のない自分を隠したい心情の表れといえるでしょう。
自己中心的な性格
マウントを取る人には、傲慢で自己中心的な性格である人もいます。本当に自分が周囲よりも優秀だと信じているので、自分が優先されるべきだと思い込んでいるケースさえあるのです。
このような人は、態度が高圧的で自分さえよければよいと、本気で思っています。
また、自分は常に一番であり、周囲は自分に付いて来て当然だと認識しているので、他人が自分より評価されることをとても嫌います。
この認識が自己中心的な態度に走らせたり、マウンティングさせたりするのでしょう。
マウントの具体例
マウントの取り方には、一般的に見て順位が分かりやすい事柄に対し、見下したり自慢したりする傾向が多いようです。マウントの具体例を見ていきましょう。
仕事や学歴などを自慢する
マウンティングが絡む確率の高い話題に、仕事や学歴があります。客観的に見て、優劣を付けやすい事柄といえるでしょう。
仕事内容や企業の知名度、年収に関する自慢話が始まったり、有名大学や難関校出身であると明かしたりすることで、マウントを取るのです。
どちらも自分が有能であると遠回しに伝えているため、間接的なマウンティングといえるでしょう。
仕事や学歴は、人との競争があって決まる要素が強いものです。有名企業に勤めていたり、高学歴であったりする人にとっては、これほど自慢しやすい話はありません。
余計なアドバイスをしてくる
親切心からアドバイスする人もいますが、マウンティングしたいがために相談してもいないのにアドバイスする人がいます。
人に教えるという優しい行為を利用し、自分の立場を優位に見せる手法です。マウント目的のアドバイスの場合、上から目線で知りたくもない情報を一方的に伝えるという特徴があります。
何か助言が欲しいから話をしたわけではないのに、いちいち余計な助言をしてくる人には注意しましょう。
何かと否定してくる
何を話しても、すぐに否定したがる人がいます。これは話を否定することで、自分を優位に見せようとするマウンティングの可能性があります。
このような人は少しも共感してくれないので、話題を展開できません。コミュニケーションを取ろうとしても面白くないため、話す気もなくなってしまうでしょう。
何もかも否定してしまう人の心理には、自分の意見が一番正しいという前提があり、自分を超える考えなどこの世にないと思っているのです。
普段の会話ならまだしも、意見交換の話し合いで有意義な時間にするのはとても難しいでしょう。
マウンティングされたときの対処法
職場や交流の場にも、マウントを取る人は少なからずいるでしょう。嫌な言動でマウントを取られたとき、どのような形で自分の身を守るべきか、悩む機会もあるかと思います。
マウンティングされたときの対処法を紹介します。
適当に聞き流す
常に顔を合わせなければならない人や、付き合っていかなければならない人には、適当に聞き流す対応も一つの手段です。
自分の上司や会社の先輩であった場合、不用意に波風を立てると損害を被る場合もあります。こういう人だと割り切れるのであれば、あまり相手にしないで過ごしてもよいでしょう。
逆に「すごいですね」とおだてて、満足させれば話が短くて済むこともあります。マウントを取る人は承認欲求が強いので、うんうんと話を聞きながら聞き流すだけでも喜ぶ人もいるでしょう。
SNS上でマウントを取る態度に出る人がいれば、無視して過ごすのが効果的です。ブロックやミュート機能を活用すれば、嫌な文章に目を通す必要はありません。
相手へ指摘する
あまりにもしつこい人や、自尊心を傷つけられるような発言が多い人には、少し指摘するのも効果的です。ただし、言い返すのではなく、あくまでもけん制するイメージです。
マウントを取る人はプライドが高いことが多いため、強く指摘したり言い返したりすると、余計に白熱してしまう可能性があります。
そのため、冗談交じりで「マウント取らないでくださいよ」や「そんなこといわれると傷つきますよ」と指摘してあげると、相手もマウンティングがバレたと少し驚くでしょう。
年齢が近い人や仲がよい人でも、無意識にマウントを取る人もいます。そのような人にやんわりと指摘してあげると、自分の言動を見直してもらえるきっかけになるかもしれません。
付き合いを避けるのもアリ
ストレスを感じないように、できる限り付き合いを避ける選択肢もあります。マウンティングはその人の性格であり、めったに変わることはありません。
急にマウントを取らなくなることにはほとんど期待が持てないので、付き合う頻度を少なくする努力をした方が賢明です。
マウンティングに対しても薄い返事をする程度の反応しか示さなければ、その人の優越感が満たされず、ターゲットから外される可能性もあるでしょう。
マウントを取る人は極端な考え方を持っていることもあり、何を求めているのか分かりやすい部分もあります。この記事を参考にしつつ、うまく付き合っていきましょう。
構成/編集部
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