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一流企業やメガベンチャーの社員が総じて優秀な理由

2020.10.30

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、一流企業やメガベンチャー企業(以降、メガベンチャーとする)の社員がなぜ優秀であるのかを考えたい。この場合の一流企業は各業界の上位3番程以内で、メガベンチャーは全業界で上位30番程以内とする。基準はここ10年の売上、経常利益、正社員数、実績、社会的な信用、知名度、ブランドなどの総合計。

私はこれらの企業の社員は仕事力、例えば、自社の商品、サービスの知識、あるいはビジネスマネー(特にメールや電話のやりとり)のレベルは総じて高いと思う。仕事への姿勢はおおむねよい。処理能力も高い。スピードは速く、個々の社員が担当する量も比較的多い。明らかに他の多くの大企業や中堅企業、中小企業やベンチャー企業よりも、これらのレベルははるかに上を行く。つまりは、別世界だ。

一流企業やメガベンチャーを10年程勤務した後、退職し、他の会社に移るケースはあるが、活躍するケースが目立つ。その他大勢の大企業や中堅企業、中小企業やベンチャー企業の退職者よりはその意味での存在感はある。

今回は「なぜ、一流企業やメガベンチャーの社員が優秀なのか?」といった問題意識のもと、私の取材で得た素材や情報をもとに考えてみよう。

1.「密度の濃い競争の空間」

最も大きな理由が、採用力だ。すでに本連載「なぜ、新卒のエントリー者数が増えるほど会社は強くなるのか?」「一流企業やメガベンチャーは、なぜ新卒採用にこだわるのか?」で紹介してきた通り、一流企業やメガベンチャーは毎年、本エントリー者数が総合職の場合、少なくとも5000人を超える。この中から、自社にとってメリットのある人材を20~60人程選んでいる。

書類選考、適性検査、筆記試験、3∼5回の面接を通じて学歴、基礎学力、専門分野、性格、適性、自社の社風や文化、歴史、社員たちとの親和性を広い視野で慎重にセレクトをする。内定者は結果として、一定以上の入学難易度の大学・学部を卒業した学生が7~9割を占める。これを「学歴フィルター」と捉える人はいるが、実際は相当に慎重に選んだ結果と見るべきだ。難易度が高くとも、雇い入れてメリットがないと思える学生には内定を与えていない可能性が高い。そもそも、学歴だけで判断しようとしないがゆえに、母集団形成をしているとも言えよう。

自社にとってメリットのあると期待できる人材を選ぶがゆえに、20~30代の定着率が相対的に同業の中堅企業、中小企業、ベンチャー企業よりは高くなる。少なくとも、採用力の弱い多くの中小企業やベンチャー企業よりは特に20代の定着率は確実に高い。自社にマッチし、潜在的な能力の高い学生を雇い、定着率が高い環境を作ると、そこは「密度の濃い競争の空間」となる。

例えば、30歳前後までは同世代がなかなか辞めない中、互いに競い合い、仕事を覚えていく。そのプロセスでは、足の引っ張り合いやねたみ、やっかみもあるのかもしれない。これは確かに問題なのだろうが、ある意味で避けては通れない宿命だ。例えて言えば、成績が優秀な学生が集う進学塾で勉強し、競い合い、時に嫉妬し合うようなものだろう。

会社員の育成は「密度の濃い競争の空間」がない限り、通常はできない。1人で「がんばるぞ!」と力んでも、おのずと限界がある。そもそも、会社員の仕事は会社の仕組みの中で出来上がる。社員の中に入り、社風や体質に染まらないと高い仕事力は身につかないようになっている。

ここが、大学や高校、中学受験とは異なるところだ。一方で、多くの中小企業やベンチャー企業では、「密度の濃い競争の空間」を作ることは不可能に近い。辞めていく人が多いために、密度が濃くはならない。むしろ、社員間の激しい競争に欠しい一面がある。

 通常は採用力が高いと、入社する人材の質が高くなり、定着率は高くなる。「密度の濃い競争の空間」が出来上がり、競争が浸透し、育成をする態勢が整うのだ。反対に、採用力が低いと総じて定着率が低くなる。「密度の濃い競争の空間」が時間内でなかなか作れない。大切なことなので、下記にまとめておきたい。

 採用力が高い→定着率が高くなる→「密度の濃い競争の空間」となる

 採用力が低い→定着率が低くなる→「密度の濃い競争の空間」とはならない

 さらに言えば、こうなる。

 一流企業・メガベンチャー:「密度の濃い競争の空間」

 中小企業・ベンチャー企業:「密度の濃い競争の空間」とは言い難い

2.激しい競争意識

「密度の濃い競争の空間」が出来上がると、社員間(特に同世代)の競争意識が高くなる。個々の社員の仕事への姿勢は、総じて良くなる。「あんな社員に負けたくない」「なんとか、みんなに追いつきたい」…。こんな意識もある程度は持つだろう。

そして毎年、潜在能力の高い新入社員が続々と入社する。その中には、数年上の社員を20代後半までに追い抜かす者もいるに違いない。そこで新たな競争意識が芽生え、競い合う。そこには、勝者と敗者がいる。負けた者は劣等感を持ちつつも、新たな競争をせざるを得ない。

これが、様々な部署で行われると社内全体の競争意識はますます強くなる。負けた者をはじき飛ばしてしまうかもしれないが、ある意味で強い組織を作るためには必要悪みたいなものだ。

取材者のまなざしで見ると、一流企業・メガベンチャーの20~30代前半までの社員は総じて仕事への姿勢がよく、勤勉なタイプが多い。処理能力、つまり、時間内で文書やメールを読んで正しく、深く理解したり、メールや電話で正確に打ち返す力のレベルが高い。面談をしても、理解する力が高いと感じる。一方で、中小企業・ベンチャー企業の同世代の社員の処理能力は少なくとも5~6ランクは低く感じる。

3. 管理職の部下育成力

次のようにも言える。

「密度の濃い競争の空間」:一定のレベル以上の管理職

「密度の濃い競争の空間」とは言い難い状態:一定のレベル以下の管理職

 密度の濃い競争の空間で鍛えられた中で選抜があり、30代前半から後半にかけて管理職が選ばれる。社内の研修で、管理職としての心構えや部下育成などマネジメントの基礎を学ぶ。こういう中で、課長や部長、マネージャーが部下を育てる。それでも、問題のある管理職はいるだろうし、パワハラやセクハラは完全には消えないだろう。もちろん、このような行為は常に否定されるべきだ。だが、「密度の濃い競争の空間」がほとんどない中小企業・ベンチャー企業の管理職よりは、総じてレベルは高い。

こういう環境下で、20~30代の社員が育成されている。しかも、毎月の基本給や賞与などの労働条件、福利厚生やオフィス環境は中小企業・ベンチャー企業よりははるかに恵まれている。一部に例外はあるだろうが、総論として一流企業・メガベンチャーは労働条件や就労環境の面で圧倒していると見て間違いはない。仕事への姿勢は、おのずとますます良くなる。

取材者のまなざしで見ると、中小企業・ベンチャー企業の管理職の半数以上は部下育成をする意欲や考えすら持ち合わせていないように見える。例えば、部下を「ライバル」と見なし、潰したり、常に自分中心の態勢にすることしか考えていない傾向すらある。そもそも、管理職の研修すらなく、登用試験や厳格な昇格基準すらない企業のほうが実は多い。

4.好循環サイクル

一流企業・メガベンチャーには優秀な社員が生まれやすく、中小企業・ベンチャー企業ではそうとは言えない社員が多くなる流れや仕組みがある。次に挙げたものが、優秀な社員をつくる流れだ。

採用力が高い→定着率が高くなる→「密度の濃い競争の空間」→一定のレベル以上の管理職が増える→部下育成が行われる→優秀な社員が生まれる

 優秀な社員が生まれると、今度はその中から人事部の採用グループ担当者が選ばれる。そして競争意欲があり、課題意識旺盛の姿勢で採用力を高くする。つまり、好循環サイクルが生まれる。中小企業・ベンチャー企業には、このサイクルがほとんどないように私には見える。ここに、中小企業・ベンチャー企業にとって克服しがたい壁があるのだ。

読者には、事実に基づき、広い視野で冷静に慎重に就職や転職を考えてほしい。一流企業・メガベンチャーに入社できるならば、迷うことなくその道を選ぶべきだ。私には、多くの中小企業・ベンチャー企業とは完全な別世界に見える。入社をしておいて損はない。

本連載では、読者諸氏には事実に基づき、就職や転職を考えてほしいと願っている。そのような思いで、以下を書いてきた。よろしければ、ご覧いただきたい。

・「大企業の社員がたくさん辞めている」という噂は本当か?
なぜ、新卒のエントリー者数が増えるほど会社は強くなるのか?
一流企業やメガベンチャーは、なぜ新卒採用にこだわるのか?
なぜ、一流企業やメガベンチャーは「通年採用」に消極的なのか?
なぜ、一流企業やメガベンチャーの新卒採用は優れているのか?
なぜ、社員1名を採用するのに応募者1名だけではダメなのか?

文/吉田典史

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