これがボニー&クライド呑みだ!
20分経過した頃には6杯呑んで、ここらで最終的には8杯呑めばいいか? というゴールへの計画が見えてくる。
ツマミもまだタップリ残っていたが、8杯終了と同時にツマミを全部食べきるような、アルコールとツマミの配分も計算する。このツマミ配分ってのも、ツマミにあまり金を掛けないで酔いたいという、あまり褒められたもんじゃない貧乏性には、呑む時には常に重要な要素ではある。
そして! 計画通りに8杯めの途中で30手分が終了……。
千円で8杯……元は充分取れたな、と、なんの意味もない達成感を味わいながらも、心はどこか空虚であった。
なにしろこれだけのピッチで30分間呑むのは始めてだったけど、はっきりいって30分怒濤のように呑む続けると、最後は酒に飽きるのだ!
この30分で酒を飽きるという感覚も始めてだなァ~。
で、最初に思った30分千円は高いんじゃないか? って疑問だけど、実際に体験してみて答えがでた。
呑み放題って、ダッシュかけて呑める時間って最初の30分くらいなんだよね。最初はカパカパ呑めても徐々にペースダウンしてくる。
30分で8杯呑めたからって、呑み放題の時間を倍の1時間にしたところで、8杯の倍の16杯呑めるかっつうと呑めないもんね、きっと。
2時間飲み放題で32杯は絶対に呑めないと思う。
そう考えると、スタートダッシュで呑める最初の30分のみに焦点を合わせたような30分呑み放題にオツマミ付き千円っていうのはありだわ。
有名な立ち呑みチェーンの『BPY(仮名)』で呑む時なんか、酒三杯につまみ一品でだいたい千円だもんなぁ。それで充分安いというのが常識なんだから、その倍以上呑めて千円ってのは、こりゃあ確実に安い!!
あと最初に0次会想定か? なんて書いたけど、0次会にここで元取ろうと本気で呑むと、一次会からベロンベロンだろうな。
この飲み放題の最も特徴的な部分は千円という価格よりも“30分”という限られた時間である。よく“センベロ”なんて言葉を使う人がおりますが、そういう意味では、この呑み放題の本質は“センベロ”というよりも“30分ベロ”なんだよね。“30ベロ”の方がいいやすいか。
普通の呑みが長距離走だとすると超短距離走。それも健康的には破滅に向かって走る短距離走。なんだかボニーとクライドみたいじゃん!! “30ベロ”より、オレは“ボニー&クライド呑み”といいたいぞ、このタイプの呑み方。嫌いじゃないなァ、そんな生きざま!!
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。