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知ってる?万葉集にも詠まれる植物「馬酔木」の読み方と名前の由来

2020.10.10

馬酔木とは何か知っていますか?馬酔木は、1年中グリーンが楽しめることから庭木や生け垣に使われることもある身近な植物です。歴史はとても古く、万葉集にも登場するほど昔から親しまれています。ユニークな名前の由来もあるため、併せて紹介しましょう。

馬酔木とは?

古くから親しまれている馬酔木は、現在も変わらず人気がある植物です。具体的にどのような特徴があるのでしょうか?

日本固有の植物で、読み方は「あせび」

馬酔木は『あせび』、もしくは『あしび』と読みます。どちらの読み方でも、本来の漢字の音や訓とは異なるため、本来の漢字の読み方を知っているだけでは読めない、当て字の名前です。

ツツジ科・アセビ属の馬酔木は、日本固有種ため、生育する地域は日本に限定されています。中国にも似た種類の植物がありますが、日本の馬酔木と同じ種類かは分かっていません。

白やピンクの釣鐘状の花を咲かせる

現在でも馬酔木が人気なのは、大きくなっても3m程度の低木であること、そして1年中緑色の葉が観賞できる常緑樹であることにも関係があるでしょう。扱いやすく見た目も緑色が美しいため、家や公園の植栽にぴったりなのです。

3月終わりから咲くかわいらしい花も魅力といえます。白やピンクのスズランのような花がたくさん集まって咲き、辺りによい香りを届けてくれるのです。

秋には実がなり始め、10月ごろには熟した実がたくさんついている様子も楽しめます。

馬酔木の名前の由来

かわいらしい花や美しいグリーンが魅力的な馬酔木は、どのような理由で『あせび』と呼ばれるようになったのでしょうか?名前の由来を知ることで、馬酔木のもう一つの特徴が分かります。

「悪し実」がなまった説が有力

馬酔木は『あせび』と読みますが、その由来は『悪し実(あしみ)』といわれています。あしみという読み方がなまり、あせびと読むようになったのです。ちなみに、悪し実とは、毒のある実のことです。

近年、山の樹木は、シカなどの野生動物に食べられる食害による被害が増えています。山にはさまざまな樹木があり、その中には馬酔木も含まれます。

しかし、周りの木が食べられていても、馬酔木だけは食べられることなく残っているそうです。悪し実から転じたという名前の通り、野生動物にも避けられるほど、毒性のある植物なのです。

馬酔木の毒性

食害に遭わないほどの馬酔木の毒は『アセボトキシン(asebotoxin)』という成分です。樹皮や根皮に最も多く含まれていますが、葉・花・果実など全ての部位に含まれています。

誤って動物が食べると中毒症状を起こし、量が多いと助からないほどの強さの毒性です。この毒性を生かし、昔は畑に寄り付く害虫を駆除するために使われていました。

一方、ヒョウモンエダシャクという、馬酔木の毒を利用して身を守るガもいます。幼虫のときに馬酔木を食べて体内に毒を溜め込むことで、外敵から身を守るのです。

参考:アセビ |「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

当て字の由来は「馬が酔う」ことから

当て字である漢字も、馬酔木の強い毒性と関係があります。誤って馬酔木を食べたウマが、ふらふらと酔っ払っているような状態になることから、馬酔木という漢字が当てられたのです。

ウマ・シカ・ウシなどが馬酔木を避ける様子から、ウマクワズ・シカクワズ・ウシクワズといった呼び名もあります。

和歌や俳句にも登場

日本に古くからある馬酔木は、和歌に詠み込まれたり、季語として俳句の中に登場したりします。毒性を暮らしに役立てる植物であるのと同時に、葉の色の変化や花・実などにより季節を感じる植物でもあったのです。

万葉集の10首に登場

万葉集は全20巻に及ぶ歌集で、約4500首の和歌が収められています。庶民から天皇まで、さまざまな身分の人の和歌を集めているのが特徴です。

その万葉集では、馬酔木を含む歌が10首詠まれています。例えば、万葉集の作成に関わった大伴家持や、天武天皇の後継者争いの中で処刑された大津皇子の姉・大伯皇女などが、馬酔木を和歌に詠み込んでいるのです。

大伴家持の『池水に 影さへ見えて 咲きにほふ 馬酔木の花を 袖に扱入(こきい)れな』は、美しい馬酔木を手折り持ち帰る様子を詠んでいます。

一方、大伯皇女の『磯のうへに 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が ありと言はなくに』は、馬酔木を手折ることもできないほど、弟の死を悲しむ様子が読み取れる和歌です。

晩春の季語として使用

馬酔木は『晩春』の季語です。季語のバリエーションに、あしびのはな・花馬酔木などもあります。

晩春とは、春を三つに分けたうちの最後の季節をいいます。春の終わりであり、夏が始まる直前の季節です。

四季を6等分し、1年間を24の期間に分ける二十四節気では、晩春は清明と穀雨にあたります。清明は、4月5日から4月20日ごろの、桜が咲き始め清々しい空気感に包まれる頃合いです。一方、穀雨は4月20日から5月5日ごろまでの、温かい雨で穀物の芽が育つ時季といわれています。

馬酔木は、晩春に花の見頃を迎えます。かわいらしくよい香りだけれど毒を持つ馬酔木から、インスピレーションが浮かぶかもしれません。

構成/編集部

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