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お客さんとのつながりがなければ生まれないポスト・コロナ時代の企業収益

2020.08.24

「売る」ことが目的でないDMが、なぜ売上を生んだのか

このコロナ情勢下、業種や商品によっては特需もあるが、多くの店・会社は売上を大きく落としている。しかしそんな情勢下だからこそ、お客さんの心を大きく動かし、癒やし、結果として来店や購入などの行動を生んだ話がある。

岐阜県のある酒店でのこと。コロナ情勢下でお客さんに送ったダイレクトメール(以下、DM)が、通常の6倍の反応だった。とはいえ今回、時勢もあり、店主はことさらに集客を図ったわけではない。普段からお客さんに送っているDMを、いつもと違う趣旨で作成し、送っただけだ。

具体的には、例えば宛名面の下のスペース。普段なら何気ないあいさつ文を書くが、今回は、お客さんも不安だったり気持ちがなんとなく暗くなっているだろう、ならば、そういう気持ちに寄り添った文章を書こうと考え、「新型コロナウイルスの騒動で世の中心配ばかりです……。どうかお互いお体に気をつけて頑張りましょうね」との書き出しから、いつもより一層柔らかな文章をつづった。他には、いつもなら商品訴求がメインのレターも、「こんなときだからこそ、心豊かに楽しく、あったかい時間を過ごしたいです。その一助になれば……」の文章から始め、商品の紹介につなげていった。

すると、投函するやいなや、お客さんは反応した。来店客が増え、しかもそのDMを持って来る。その数、通常の6倍。結果、このDMで提案した商品群に関しては、日本酒131%、ワイン122%、リキュール346%と大幅な伸びとなった。

メガネ・補聴器にもサプリメントにも、同じことが起きた

今ご紹介した酒店での結果には巣ごもり需要増があったのではないか、と考える向きもあろう。では次の、福岡県のあるメガネと補聴器の店の場合はどうだろう。

同店では、この4月~5月、特定の顧客へ3回のお手紙(ハガキ)を出した。まず、緊急事態宣言が出てすぐ、不安になっているだろうことへの心配のお手紙を100 通。次いで宣言が出て1か月後、「1か月間良く頑張りました。あと少し。私達も一緒に乗り越えます」のお手紙を200 通。さらには解除後、「とにかく元気でいて下さい。メガネも、補聴器も元気に。調整・クリーニングもお待ちしています」のお手紙を200 通の計3通だ。

お読みいただいて分かるように、趣旨は「売る」ことではない。しかしこのハガキを受け取った方々にはまず大いに喜ばれ、そのなかの少なからぬ方は来店し、その一部の方は購入もし、3通目のハガキを出した直後の1か月間だけでも、ハガキ代の約24倍もの売上を生んだのである。

もうひとつ、サプリメントの製造・通信販売会社からのこんな報告もある。

同社は、オンラインでビジネスが完結する通販会社ではあるが、このコロナ情勢下、長く利用いただいているお客さんに、あえてアナログな自家製ハガキを郵送した。

宛名面は、「新型コロナウイルスの影響で日々強まる自粛ムード」とコロナの話題から入り、「こんなときこそ楽しんでいただきたいと思い、昨年から薬剤師がたしなんでおります己書(おのれしょ)でカレンダーを作成してみました。(中略)ふとした瞬間にお地蔵様とともに“にこっ”としていただけると幸いです」と綴られたもの。

裏面は、その己書によるほのぼのしたお地蔵さんの絵が描かれ、カレンダーにもなっている。これをお出ししたところ、お客さんからの「お気遣いのハガキに感動!!お地蔵様の絵に癒されました」という返信をはじめ、多くの方からの感謝の声があった。そしてここでもまた、この活動が売上を生んだ。

この月、定期購入に切り替える客数が過去最高となったのだ。同社のような商品の通販では定期購入者を増やすことが重要だが、今回はそのための促進キャンペーンは行っていない。また当然ながら、あのハガキもそこを狙ったものではない。にも関わらず、である。

「つながり」は、今もこの先も収益をもたらす源泉となる

こういう時勢だからこそ、お客さんとつながり、その心に寄り添い、つながりを強化する――それは、結局、お店や会社に富をもたらすものだ。私の元には4月以降、先の3つの例のような活動を通じてつながりを強化した結果、お客さんに大いに喜ばれ、売ろうとしていないにも関わらず売上も上がったという例が、業種を問わず多く届いている。

そして、ここでいう「富」とはそのような直接的な収益増だけを指すのではない。彼らがお客さんの気持ちをおもんぱかった通り、お客さんの気持ちは不安だったり暗くなったりしている。そこに寄り添ってもらえたことから生まれる嬉しさ、今回のようなやり取りを通じてお客さんが持つであろう、信頼、愛着、感謝の念。それらがもたらすものは、お金に換算できない価値あるものだ。

「つながり」は、平時もそうだが、このような時勢には一層大切だ。それは今だけでなく、後々の収益の源泉ともなるのである。


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文/小阪裕司
こさか・ゆうじ。オラクルひと・しくみ研究所 代表/博士(情報学)。山口大学人文学部卒業。1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「感性」と「行動」を軸としたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県から約1500社が参加。2011年工学院大学大学院博士後期課程修了、博士(情報学)取得。著書は『価値創造の思考法』など計39冊。 公式サイトhttps://kosakayuji.com/

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