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新聞の見出しなどで頻繁に目にするようになった『コロナ禍』ですが、その読み方や意味を知っていますか?「実は読み方が分からなかった」という人は、ぜひこの機会に正しい読み方を知っておきましょう。『禍』を使った熟語・ことわざなども紹介します。
コロナ禍はどう読むのが正しい?
『コロナ禍』を正しく読めていますか?意味があやふやなまま使っている人もいるでしょう。正しい読み方や意味、具体的な使い方について解説します。
読み方と意味
『禍』という漢字には、音読みと訓読みがあります。音読みは『か』で、訓読みは『まが』や『わざわ(い)』と読みます。コロナ禍の場合は音読みとなり、『コロナか』が正しい読み方です。
『わざわい』という読み方があるように、禍には災いや不幸せなどのネガティブな意味があります。予期していなかった悪い事柄や、喜ばしくない事柄に使われるのが主流です。
新型コロナウイルスは、まさに誰もが予期していなかった災いなので、『禍』の意味に合致しているといえるでしょう。
災い、との使い分け
『禍い』と『災い』は同じ読みですが、両者には明確な違いがあります。阻止できる災いか、できない災いかで使い分けられているのです。
災いは、地震や台風などの『阻止できない』災害に使われます。一方、禍いは、人の手や努力などによって『阻止できる災い』に使うのが一般的です。
新型コロナウイルスに関しては、予期のできなかったウイルスによる災害ではあります。しかしながら、感染拡大の経過や成り行きについては『一人ひとりの意識や行動次第』という面もあるため、阻止できる災いとして禍が使われているのでしょう。
具体的な使い方
新型コロナウイルスの感染拡大は、社会や経済などさまざまな方面に災いをもたらしています。そういった苦境や災難を一言で表現する言葉として、『コロナ禍』が使われています。
コロナの名前を用いたインパクトの強い言葉なので、新聞・雑誌の見出しやテレビ番組のタイトルとして使われることが多いです。
例えば、『コロナ禍で就職活動に苦悩する大学生』や『コロナ禍を生き抜く新しいビジネススタイル』『コロナ禍で失業者急増』といった使われ方をされています。
いつから使われるようになった?
今ではすっかりコロナ禍という言葉が定着しています。そもそもいつから使われ始めたのでしょうか?
2月半ばごろからネットや新聞でも広がる
コロナ禍が使われ始めたのは、2020年の2月半ばごろです。新型コロナウイルスの感染拡大が、社会生活に悪影響を及ぼし始めたころになります。
2月後半から一気に広がったのは、スポーツ誌と夕刊紙の影響です。それ以前からネットでは使用されていましたが、2月後半にあるスポーツ誌が1面トップの見出しに使用したことがきっかけとされています。これを機に他のスポーツ紙や夕刊紙もまねして使い始めたのです。
新聞の見出しは、限られた文字数でインパクトのある言葉が好まれます。今は見慣れている言葉ですが、初めて使われたときは目を引いたのでしょう。
3月には一般紙や全国紙・専門紙でも頻繁に使われるようになり、現在に至っています。
主に書き言葉として使用
コロナ禍は、書き言葉として使われるのが主流です。
ニュースなどの報道番組の中では読み上げられることがなく、「話し言葉としての使用を控える」というのが放送業界の方針のようです。発音が聞き取りにくいことや、使われるようになって間もないため、意味が伝わりにくいためとされています。
コロナ禍は、さまざまな苦境や問題を一言で表現できる便利な言葉です。しかし、便利であるが故に、事実や深刻さが語られずに済まされてしまうという懸念もあるようです。
禍を使った言葉と注意ポイント
意外と知られていない禍を使った熟語やことわざを紹介します。また、似た漢字と間違えて使っている人も少なくないため、注意しましょう。
熟語やことわざ
漢字の『禍』には災いという意味があるため、組み合わせる漢字によって災いの規模や状態を表せます。大規模な災害を表す『大禍(たいか)』、洪水などの水災害を表す『水禍(すいか)』、悲惨な災害を表す『惨禍(さんか)』などがその一例です。
また、有名なことわざには『禍を転じて福となす』という言葉があります。ピンチはチャンスといわれているように、災難をうまく活用してプラスに役立てるという意味です。
まさに、コロナ禍の今にぴったりのことわざではないでしょうか?座右の銘にして、この災難をどのようにプラスに生かしていけるのか、考えてみるのもよいかもしれません。
似た漢字に気を付けよう
禍と間違えて使っている人が多い漢字が、『渦(うず・か)』と『鍋(なべ)』です。禍はしめすへんですが、渦はさんずい、鍋はかねへんになります。
特に『渦』は読み方が同じであることや、今の状況がコロナウイルスの渦に巻き込まれているとイメージできることから、最も間違いやすい漢字かもしれません。
むしへんの『蝸(かたつむり・か・にな)』や、つちへんの『堝(るつぼ・か)』も似ているため、間違えないように気を付けましょう。
構成/編集部
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