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パワハラ上司に共通する特徴とは?上手な付き合い方といざという時の対処法

2020.07.08

通称「パワハラ防止法」が改正され、日本の法律に初めてパワハラが規定された。それに伴い、令和2年6月から大企業のパワーハラスメント対策が義務化。この法律の施行により、これまで以上にパワハラに対する深い理解と、知識が求められるようになった。

厚生労働省の「平成29年度個別労働紛争解決制度施行状況(平成30年6月27日報道発表資料)」によると、いじめ・嫌がらせに関する、民事上の個別労働紛争の相談件数は72,067件。増加の一途をたどっている。

ビジネスパーソンにとって、いつ自分が被害者になったり、パワハラの現場を目撃したりしてもおかしくない状況だ。そこで本記事では、特に上司からのパワハラにどのように対処すべきか紹介する。

パワハラ上司の特徴は?自覚なし?

そもそも、パワハラをする上司にはどのような特徴があるのだろうか。一概にこうとは言えないが、パワハラ上司には、「完璧主義者の仕事人間」が多いようだ。「結果がすべてであり、過程はどうでも良い」という考えを持っていることもある。

さらに、面倒なことにパワハラを行っている大半の人間が、自分の行動がパワハラだと自覚をしていない。彼らは自分の行うパワハラ行動を「指導」「教育」と認識しており、被害者である部下の心の痛みに気が付かないことも多い。むしろ、部下のことを思って叱咤激励していたと、「上司として当たり前」のこととさえ思っているかもしれない。

パワハラ上司はこんな言動をする

まずは、具体的にどのような行為が「パワハラ」に該当するのか、厚生労働省の定義を確認してみよう。

【参考】「パワハラ」の定義、きちんと説明できますか?

1.身体的な攻撃:蹴ったり、殴ったりといった体に危害を加える行為
2.精神的な攻撃:脅迫や名誉毀損、侮辱、暴言などにより精神的攻撃を加える行為
3.人間関係からの切り離し:隔離や仲間外れ、無視など個人を疎外する行為
4.過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能な業務、ノルマを押し付ける行為
5.過小な要求:業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、もしくは仕事を与えない行為
6.個の侵害:私的、プライベートな領域に過度に立ち入る行為

【参考】厚生労働省あかるい職場応援団 より

実際に起こるパワハラの被害は、これらの1〜6が組み合わせて行われることも多い。

【パワハラの一例】

・嘲笑したり、「お前なんて役に立たない」「給料泥棒」などと侮辱したりする。わざと孤立させる。
・意図的に過重労働に追い込み、更には業務上必要なコミュニケーション(電話やメール)を無視する。
・納期に間に合わなければ厳しく非難し、不当に職位や権限を奪って降格させる。など

厚生労働省の定義によると、パワハラは「業務上必要かつ相当な範囲を超えている場合」に限り成立する。被害にあっている方は、まずは6つの分類の中で、どれに当てはまるのかチェックしてほしい。

代表的な上司のパワハラ一例

厚生労働省が運営するサイト「明るい職場応援団」には、過去のパワハラでの裁判例が掲載されている。実際に裁判が行われ、被害者が損害賠償を得た裁判例を挙げてみよう。

平成26年4月11日に大阪地裁が判決を下した「大裕事件」。上司のパワーハラスメントが原因で休職したものとして、原告が「地位の確認」と「損害賠償」を請求した。機械製造販売業の企業に勤務していた原告は、会社から休職期間の満了により自然退職となった旨の通知を受ける。

しかしこれは、上司からパワハラを受けたことを原因とする「適応障害」により休職していたものであると原告が主張。会社に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、就労不能にあった期間の賃金の支払いを求めた。上司に対しては、不法行為に基づく損害賠償を求め、会社には使用者責任に基づく損害賠償を請求。

この裁判の判決では、上司によるパワハラが行われていた事実が一部認められ、パワハラと適応障害との因果関係も肯定された。その上で、原告の地位確認を認容し、全額の賃金請求を命じた。さらに、原告の請求額の一部について支払いを命じることとなった。

このケースでは、パワハラによって原告が適応障害を発症し、休職した事実が認められた。上司は暴言を吐き、精神的な攻撃を繰り返し、原告を適応障害へと追い込んだことが認められた格好だ。業務遂行上必要な、事実の指摘にとどまらず、「原告の能力が低い」など人格を否定するような内容だったという。

精神的な攻撃により、原告に与えた心理的負荷は極めて大きい。原告には、元々精神障害の既往歴はなく、パワハラと適応障害には因果関係があるとの医師からの意見書が提出された。このような外的な証拠も、この判決の判断基準になった可能性がある。

パワハラ上司との付き合い方と対処法

長く社会人生活を送っていると、異動などによりパワハラ上司の下につくことは十分に考えられる。そんな相手とは「極力関わらない」のが一番だが、仕事である以上そうもいかないケースがほとんどだろう。

では、パワハラ上司に遭遇した時はどのように対処すべきなのだろうか。すぐに相手の言動を変えることは容易ではない。そのため、自分自身の心のコントロールや、やり過ごし方に焦点を当てよう。

どんな風に接すればいい?

1.自分の気持ちに余裕を持つ

まず大切なのが、気持ちに余裕を持ち「本当にパワハラに該当するのか」を冷静に判断すること。日々タイトなスケジュールで仕事をしていたり、納期に追われていたりするような状況では、自分自身の心の余裕が持てず、上司や周囲の言動に苛立ってしまうこともあるだろう。また、キャリアアップしていく上で、上司の期待から厳しい叱責を受けることもある。

すべてを「パワハラ」と決めつけず、同僚や先輩など、第三者に意見を求めてみるのもいいだろう。客観的にみても「パワハラだ」と判断されれば、次のアクションも行いやすくなるはずだ。

2.自分一人で何とかしようと対応しない

上司からパワハラを受けていると自信を失い、自ら発言することさえ恐怖に感じてしまうこともあるだろう。そのように精神的に追い詰められていると、的確な判断ができなくなくなり、さらに叱責を受ける「負のスパイラル」に陥るケースも。

自分一人で何とかしようとせず、周囲を頼ること、早めに早めに信頼できる相手に相談することが重要だ。まずは社内の人事部、コンプライアンス部門に相談することが望ましいが、「社内では相談したくない」という場合には、労働基準監督署「総合労働相談コーナー」や法テラスなどの機関を頼るのも良いだろう。

3.視線を外に向ける

残念ながら、世間にはいくら注意されてもパワハラを繰り返してしまう人が一定数いる。そのような上司の下についてしまった場合、短い時間での改善や異動は見込めない。「仕事だけの付き合い」と割り切ることは困難になり、我慢も限界に達しているなら体調を崩す前に、異動の希望を出すか新しい職場に目を向けるのも一つの方法だ。自分の身を守るために、慎重かつ早めに判断をしよう。

言い返すのはあり?

かなり勇気のいることだが、パワハラをしている張本人に「止めて下さい」という訴えるべきなのだろうか。ケースにもよるが、パワハラをしていると自覚のない上司に対しては有効かもしれない。ただし、言い返すのであれば、自体が悪化する前の初期段階で行うこと。

意図的にパワハラをしている上司は、こちらが反論することで火に油を注ぎかねない。パワハラ上司に反論したことで、パワハラがひどくなることも考えられる。その場の状況や相手との関係性を冷静に判断し、今自分自身を守るためにできる行動をしよう。

パワハラ上司に仕返ししたい!退職や異動させることはできる?

パワハラの被害を受けた人が、自らその加害者を退職・異動させることは容易ではない。日本の人事院の指針では、職場内秩序を乱す行為として、暴行では「停職・減給」、暴言では「減給・戒告」を処分対象としている。

何度も注意・指導を受けていたにもかかわらず、パワハラを繰り返した場合は、退職や異動をさせられる可能性も出てくるが、すぐに改善されることは難しいだろう。ただし、泣き寝入りせずに、複数の証拠を集めるなど、今自分にできることを考え行動してほしい。

処分(退職、異動)となるケース

パワハラについて解雇を正当と認めた裁判例のほとんどは、「会社側が加害者に対しパワハラをやめるように指導したにもかかわらず、パワハラを繰り返した」という事実がある。しかし、ほとんどの場合は厳重注意・退職勧告でとどまるケースが多いようだ。

ただし、恐喝や傷害に至るような重大なパワハラ行為であれば、事案の悪質性から重い処分を下される可能性も出てくる。

自分が異動、退職するケース

パワハラ上司に対処するため、自ら人事異動を希望するのも有効な手段だ。彼らは自分の地位に対してプライドがあり、周囲からの評価が下がることを嫌う人が多い。そんな上司と直接対決するのでなく、自ら身を引いてしまうのも必要な行動だ。

パワハラを理由に人事異動を希望する際、今の上司の現状を人事部へ伝え、理解してもらおう。希望が通らない場合で、今すぐ現状を変えたいなら転職も視野に入れよう。その場合、会社側にパワハラがあった事実を認めてもらい「会社都合退職」にしてもらうことが重要だ。退職理由を「一身上の都合による自己都合退職」としないようにする。

転職時に退職理由をパワハラと言うべき?

実際にパワハラを受けて退職した場合、転職活動の面接で辞めた理由がパワハラだと正直に言うべきだろうか。結論から言うと、パワハラが退職理由だったことを積極的に話す必要はない。

事実ではあるものの、採用する側の企業の面接官にはネガティブな印象を与えてしまいかねない。やむを得ずパワハラについて話さざるを得ない場合は、ただパワハラを受けたことをだけを話すのは避け、パワハラを解消するために自分が行った努力を説明し、それでも効果がなかったことをしっかりと伝えよう。

文/oki

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