DIME MAGAZINE
イイ店って何か？ その答え発見!!
そして『アメリカンチェリーとクルミとフレッシュチーズ』がやってきた。サクランボとクルミがクリーム状に練られたような真っ白いチーズに和えてある。
で、その中からチーズにまみれたサクランボをすくって一口食べて気付いた！ あ～これはレモンサワーじゃなくてスパークリングワインだ！
チーズがちょっと甘みのある、多分マスカルポーネ。それとサクランボの組み合わせた味は、これまたちょっと甘みのある樽生スパークリングの為にある味じゃん！ レモンサワーに変えたの失敗だったじゃ～んと気付いた時にはレモンサワーはただ一気に飲み干し、すぐさま、
「また元に戻るんですけど、樽生のスパークリングワインをください…」
と注文。そして一緒に喰う……即座に思った。最高！
しかし、これもまだ完全な選択ではないことにこの直後気付くのだった！
それは、クルミの部分を食べた時に気付いた。クルミの渋い香ばしさとチーズのクリーミーさのハーモニーがとんでもなく旨くてね、もうこれは200円のスパークリングワインじゃもったいない気すらしたんですよ。
このクルミとチーズとピッタリ合う酒が他にあるはずだろ～！ って色々と味覚の記憶を思い出して、まぁすぐ思い出したんだけど、樽香効いたシャルドネがピッタリに違いない！
で、ワインリスト見たらカルフォルニアのがあるワケよ。値段見たらグラスが600円、デキャンタ2000円、ボトル300円……まだクルミはけっこう残ってるし、この料理とシャルドネのマリアージュが完璧なのはもうシミレーションできている。頼まないと絶対後で後悔する。もういっちまえデキャンタ!!
普段のオレの一人呑みでは考えられない大盤振る舞いだけど、そうだよ、非常事態宣言が解除されたら散財しようって決めてたんだ、オレ!!
ってことで、200円のワインに釣られ、結局2000円のワインを頼んでしまいました。
でもこれなんだろうね、いい呑み屋って。最初はその気もなかったのに、料理の旨さにに釣られてついつい飲み物頼んじゃう、飲み物の旨さに釣られて食べ物頼んじゃう、お金のことも忘れて。この相乗効果を思わずしちゃう店ってのがイイ店なんだろうなァ～。
で、デキャンタなんですが、すでにグラスで１～２杯呑んだボトルからデャンタに定量って感じでまずは注いでくれたんですね。そしたらグラス一杯には満たないくらい余っちゃったんですよ。すると店主は、その余った部分もデキャンタの上辺ギリギリまで注いでくれ、それでもまだちょっと残ってたんで、それはグラスに注いでくれるという大サービス！
イイ店ってのはこういうところの気前もイイ!!
それからそのデキャンタと料理で本当に至福の時をすごさせていただきました。今つこの原稿を書きながら、その時のことを思い出しつつ、また頭を下げております。
文／カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。
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