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土用の丑の日(どようのうしのひ)には、ウナギを食べる風習があります。しかし、土用の丑の日がどんな日なのか知らない人もいるでしょう。土用の丑の日の意味やウナギを食べる理由・土用の日にまつわる風習などを知り、古くから続く季節の行事を楽しみましょう。
土用の丑の日の意味とは?
土用の丑の日と言われても、日常生活で使用しない言葉のため、意味が分からない人も多いでしょう。土用の丑の日の意味は、『土用』と『丑』のそれぞれの由来を知ると分かりやすいです。
「土用」は季節が変わる約18日間のこと
土用は、中国発祥の『五行説』が由来です。五行説は、全ての事柄が木・火・土・金・水の五つの要素に当てはめられるという思想です。
しかし、季節は春・夏・秋・冬の四つのため、五行を振り分けると、木=春(青)、夏=火(赤)、秋=金(白)、冬=水(黒)となり、『土』が余ってしまい、土の要素は全ての季節に存在するものとされました。そして、それぞれの季節の変わり目を土用と呼ぶようになったのです。
季節の変わり目である立春・立夏・立秋・立冬を迎える前の約18日間が、土用に当たります。つまり、現在は夏の土用のみが広く浸透していますが、本来は全ての季節に存在しているのです。
「丑」は十二支の一つ
丑は、干支で知られる『十二支』と関係しています。丑は、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支の中の丑のことです。
十二支は干支のイメージから、「今年は丑年、来年は寅年」といった風に、1年単位で変わる物と思われがちです。しかし実際には、1日単位でも決められています。つまり、土用の丑の日というのは、『約18日間の土用期間にある丑の日』という意味です。
なお、土用の日数と十二支の数は同じではありません。約18日の土用に対し、丑の日は12日周期でやってくるため、土用期間に丑の日が2回巡ってくる場合もあります。2回ある場合は、『一の丑』『二の丑』と呼び分けています。
夏の土用の丑の日が有名な理由は?
夏以外にも土用の丑の日は存在します。夏の土用の丑の日だけが広く浸透したのは、季節に関係しているとされています。どんな理由があるのでしょうか?
体調を崩しやすい時期だから
土用は季節の変わり目のため、体調を崩しやすい時期です。中でも夏は、暑さによる夏バテや食欲不振などにより、体調を崩しやすくなります。
また、今とは生活様式が異なり、冷蔵保存設備もなかったので雑菌なども繁殖しやすく、疫病が流行りやすい時期でもありました。そういった背景から、夏の土用が重要視されるようになったとされています。
夏の土用に、栄養があり精の付くウナギを食べて、夏バテを防止しようという風習が習慣化したのです。
2020年の夏は7月と8月の2回
土用の日程は毎年異なるため、必然的に土用の丑の日も変わります。
2024年の土用の丑の日は1月26日、4月19日、5月1日、7月24日、8月5日、10月28日の6回です。
夏の土用の丑の日は、7月24日、8月5日の2回あります。これは、前述の通り、土用が約18日間なのに対し、丑の日は12日周期で訪れるためです。
この日には、スーパーなどでもウナギが販売されているので、風習にのっとってウナギを食べ、暑さの乗り切りましょう。
ちなみに、2024年の季節別の土用期間は以下のとおりです。
● 冬土用:2024年1月18日~2月3日
● 春土用:2024年4月16日~5月4日
● 夏土用:2024年7月19日~8月6日
● 秋土用:2024年10月20日~11月6日
ウナギを食べるのはなぜ?
数ある食べ物の中で、なぜウナギなのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか?はっきりとした由来は分かっていませんが、主に三つの説があります。それぞれの由来について紹介します。
夏を乗り切るために
真夏にある夏の土用の丑の日は、暑さによる夏バテなどで体調を崩しやすくなります。そのため、栄養のある食べ物を食べて、体調管理をしようという考えが始まりという説があります。
ウナギが精の付く食べ物というのは、奈良時代から知られていたとされています。ウナギには、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンDといったビタミン群をはじめ、亜鉛、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。そのため、疲労回復や食欲増進など、夏バテの防止になるとされ、ウナギが食べられるようになったといわれています。
「う」が付く食べ物だから
ウナギは、丑の日の『う』が付く食べ物だからという説もあります。もともとは、体調を崩しやすい土用には、夏バテ防止になる栄養のある食べ物を食べたほうがよいという考えに基づいています。
「土用の丑の日に、うの付く食べ物を食べると夏バテしない」という民間信仰が次第に広がり、定着したとされています。ウナギは古くから精の付く栄養のある食べ物だと知られていたため、ウナギが選ばれたという説です。
なお、土用の丑の日に梅干し・うどん・牛肉・馬肉・瓜などを食べる地域もあります。
平賀源内が広めたという説も
江戸時代を代表する学者の平賀源内が広めたという説もあります。ウナギ屋が夏場にウナギが売れないことを平賀源内に相談したことがきっかけとされています。
ウナギの旬は冬であることや、暑い時期に脂が乗ったウナギが好まれないこともあり、夏場になるとウナギが売れにくい状況でした。困ったウナギ屋が平賀源内に相談したところ、店頭に「今日はウナギの日です」という張り紙で宣伝するようにアドバイスされたのです。
当時「うのつく食べ物を食べると夏バテしない」という迷信が広まっていたこともあり、大盛況したのです。それが、土用の丑の日にウナギを食べる風習として定着したとされています。