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6月23日は沖縄県民にとって特別な休日「慰霊の日」覚えておきたいその歴史と関連行事

2020.06.20

沖縄には、『慰霊の日』という休日があります。沖縄県民にとっては、なじみの深い休日ですが、どんな日なのか知らない人もいるのではないでしょうか?慰霊の日は、近代から現代日本に至る歴史と深い関わりがあります。慰霊の日の歴史的背景や関連行事について紹介します。

慰霊の日とは

慰霊の日は、沖縄県民で知らない人はいないといっても過言ではないほど、浸透している休日です。しかし、その一方で全国的には「いつでどんな日のか知らない」という人もいるでしょう。まずは、慰霊の日がどんな日なのか見ていきましょう。

沖縄の組織的戦闘が終結したことにちなむ

6月23日の慰霊の日は、沖縄県が定めた沖縄戦犠牲者への哀悼の意と世界平和を願う日です。第二次世界大戦末期の沖縄戦において、日本軍による組織的戦闘が終結したことにちなんだ記念日になります。

沖縄戦は、第二次世界大戦で米軍を中心とする連合国軍が日本本土に攻め入るための基地として沖縄諸島を占領しようと試みたことが始まりでした。日本軍は、連合国軍による日本本土への侵入を阻止するために、持久戦で時間を稼ぐ戦法を取りました。そのため、沖縄では住民も含め18万人を超える犠牲者が出たのです。

6月23日は、1945年に現地の司令官だっだ牛島満中将が自決したとされる日です。沖縄県は、この日を日本軍による組織的戦闘が終結した日と捉え、平和を考える日にする記念日にしたのです。

沖縄県の条例で休日と定められている

慰霊の日が日本の休日ではない理由は、沖縄県独自の休日であるためです。これには、歴史的背景が深く関わっています。

第二次世界大戦で日本軍が全面降伏した後は、アメリカが日本を占領しました。1952年のサンフランシスコ条約により日本の主権は承認されましたが、沖縄は引き続きアメリカの統治下に置かれたのです。72年の本土復帰までは統治機関として琉球政府が設置されたので、61年に慰霊の日を独自に設定することができました。

72年の日本復帰と同時に琉球政府は消滅し、『沖縄県』として日本の法律が適用になり、慰霊の日など沖縄県独自の休日が除外されることになりました。しかし、沖縄県の条例により、慰霊の日を再び正式な沖縄県の休日にすることが認められ、現在に至っています。

慰霊の日の歴史

慰霊の日は、初めからすんなりと定着したわけではありませんでした。慰霊の日が定着するまでの歴史的背景や経緯を紹介します。

米統治下、休日として制定

前述した通り、沖縄は日本本土が復帰した後も、長い間アメリカの統治下にありました。そのため、日本の法律とは別に独自の休日を設けていたのです。

慰霊の日は、アメリカ統治下に定められた琉球政府独自の休日の1つで、前述のように1961年に制定されました。現在の沖縄県平和祈念財団が、琉球政府に戦没者慰霊の日を定めることを要求したことが始まりとされています。しかし、もともとは6月23日ではなく、6月22日が慰霊の日として制定されていました。

なお、慰霊の日以外の沖縄独自の休日には、琉球政府創立記念日や平和の日などがありました。

6月23日に変更された理由

慰霊の日が、6月22日に制定されてから4年後に、6月23日に変更になりました。祝祭日に関する立法の改正に当たり、慰霊の日についても再調査が行われたためです。再調査では、牛島満中将司令官が自決した日についてのズレが明らかになりました。

沖縄で編集された多くの書籍では、自決した日が22日とされているのに対し、東京などで編集された書籍では23日となっていました。最終的に、沖縄戦で高級参謀だった人物に確認し、23日が正しい日であると判断したため変更になったのです。

かつては休日廃止の声もあった

1988年に慰霊の日の休日廃止の動きがあり、大きな関心を集めました。これは、日本政府が、地方自治法の改正をしたためです。地方自治法の改正は、地方独自の休日を法定休日として国の休日に合わせることを義務付けるというものでした。そのため、沖縄独自の休日である慰霊の日が認められなくなる可能性が出てきたのです。

しかし、この地方独自の休日廃止を盛り込んだ条例案に対し、激しい抗議の声が上がりました。しばらく両者の意見は対立したままでしたが、91年に決着しました。改正地方自治法により『(略)住民がこぞつて記念することが定着している日で(略)、広く国民の理解を得られるようなものは、(略)休日として定めることができる』(第4条の2)と認められたのです。

出典:地方自治法|電子政府の総合窓口

慰霊の日に行われることとは

沖縄では慰霊の日に、どんなことが行われているのでしょうか?慰霊の日の代表的な行事について紹介します。

沖縄全戦没者追悼式

慰霊の日には、さまざまな行事が行われています。毎年行われている最も代表的な行事が『沖縄全戦没者追悼式』です。これは、沖縄戦の犠牲者を偲び、世界平和への祈りを捧げる行事です。

沖縄全戦没者追悼式は、沖縄戦の激戦地となった糸満市摩文仁にある『平和祈念公園』で行われ、毎年多くの人が足を運んでいます。平和祈念公園には、『平和祈念像』や沖縄戦犠牲者の氏名が刻まれた『平和の礎』があります。

また、沖縄戦の写真や遺品などが数多く展示されている『沖縄県平和祈念資料館』も有名です。

慰霊の日の関連行事

慰霊の日には、沖縄全戦没者追悼式以外にも、多くの関連した行事があります。沖縄県民以外にも他県や他国から訪れる人も少なくありません。具体的にどんな行事があるのか紹介します。

式典、舞踏などが行われる前夜祭

慰霊の日の前日の夕方には、『前夜祭』があります。毎年、戦没者遺族や関連団体を中心に多くの人が参加しています。

前夜祭は、沖縄全戦没者追悼式が開催される平和祈念公園内の『沖縄平和祈念堂』で開催されます。沖縄平和祈念堂は、1978年に宗教や人種などの壁を超えた世界平和の聖地として作られました。

前夜祭は2部構成になっており、まず式典が行われます。鎮魂の火の献火と平和の鐘の献鐘、黙とう・献花と続きます。次に琉球古典音楽会各派による琉球古典音楽の献奏や琉球舞踊家による琉球舞踊の奉納があります。

平和の光の柱や灯籠流しなど

慰霊の日の前日と当日には、平和祈念公園内がライトアップされます。中でも『平和』と大きくライトアップされた文字が有名です。

また、夜空に向かって照らされる、5本のサーチライトによる『平和の光の柱』も神秘的で人気のイベントです。5本のサーチライトは、日本のみならず、アメリカ・イギリス・朝鮮半島・台湾の5カ国の犠牲者を表しています。

さらに、平和祈念公園内の池に灯籠を流す『灯籠流し』も行われています。灯籠キットが用意されており、メッセージを書いた後に灯籠を組み立て、灯籠流しを体験できます。

平和祈願慰霊大行進

慰霊の日には、『平和祈願慰霊大行進』というイベントもあります。これは、沖縄戦の激戦地となった南部地域を歩き慰霊するのが目的です。沖縄県遺族連合会が主催しており、遺族の参加者が多いですが、一般の人も自由に参加できます。

平和祈願慰霊大行進のゴールは、沖縄全戦没者追悼式が開催される平和祈念公園です。ちょうど追悼式が始まるタイミングにゴールできるように、スケジュールが組まれています。

大行進では、9キロ近くの道のりを2時間半かけて歩きます。この時期の沖縄は、既に真夏のような暑さになることも珍しくありません。コース内の数カ所に給水所が用意されていたり、果物などが無料配布されていたりしますが、参加する場合は熱中症などに気を付けましょう。

資料館、記念堂の無料公開

平和祈念公園には、『沖縄県平和祈念資料館』があります。資料館には、沖縄戦の悲惨さを伝える写真や遺品などが数多く展示されています。

慰霊の日には、平和の尊さを伝えるために、資料館の全ての展示物が無料で見られます。また、沖縄戦に関するビデオの上映や、県内の子どもたちの作文や図画なども展示されています。

また、慰霊の日には、有名な『沖縄平和祈念像』が安置され、沖縄戦戦没者追悼や平和願望の象徴である『沖縄平和祈念堂』の参観料も無料になります。

構成/編集部

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