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会社員であれば会社の指示により、年に1度は定期健康診断を受けているでしょう。定期健診は法律で実施が義務付けられているので、費用は会社負担です。「会社負担なら人間ドックにしてしまおう」と考える人もいるかも知れませんが、会社負担にも限度があります。健康診断における会社負担の検査内容について解説します。
健康診断の費用は会社負担が基本
健康診断では「お金を払った記憶はない」という会社員は少なくないでしょう。
医療保険の適用外である健康診断は、実施医療機関に全額料金を支払う必要があります。つまり、自分に支払った記憶がないということは、誰かが代わりに負担してくれているということになります。
一義的に会社員の健康診断費用を支払っているのは会社です。自分で検査の追加を依頼して差額を払うというケースもありますが、基本の定期検査コースであれば、全額会社負担が原則です。
一般健康診断の検査内容
健康診断は、病気の自覚症状のあるなしにかかわらず、健康状態を確認し、体の部位や器官に異常がないか、病気の兆候が現れていないかを調べるものです。
健診の種類の一つ『一般健康診断』は、一般健診や定期健診とも呼ばれます。主な検査項目は、身体計測・血液検査・胸部X線・尿検査などです。
検査項目は必要最低限に絞られ、簡単に済むものが多いので、全てを受診しても1時間ほどで終わります。法定健診として会社が実施する以外にも、自治体が主催する基礎健診もあります。
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費用は会社が支払う
会社勤めの人は、『労働安全衛生法』に基づき、年に1回の健康診断の受診が義務付けられています。前述したように健康診断は、保険適用外の自由診療のため、費用は医療機関によってばらつきがありますが、会社員であれば健康診断費用は全額会社負担です。
ちなみに、自営業やフリーランスなどの個人事業主は全額自己負担です。受けたい場合は個人で健康診断を申し込む必要があり、制度上、経費計上は認められません。
参考:労働安全衛生法 第7章 健康の保持増進のための措置(第64条-第71条)|安全衛生情報センター
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実施方法は会社により異なる
会社負担の健康診断であっても、受診する方法は複数のパターンがあります。
大規模な事業所であれば、自社に医師や巡回する健康診断バスを呼んで一度に集団で検査を受ける場合があるでしょう。この場合、従業員は出社時に受診できるので手間が掛かりませんが、日程が限られるため、体調によっては受診できなくなる恐れもあります。
もう一つのパターンは、会社が指定する医療機関に従業員が行き受診する方法です。自社従業員がまとめて受診できるように団体で予約を入れている場合が多く、スムーズに受診できるのがメリットですが、医療機関まで行く必要があるのがネックとなります。
別のパターンでは、従業員に医療機関の選定から任せて、検診結果の提出と引き換えに従業員に立て替えてもらった費用を払うという方法です。評判のいい医療機関を選べたり、勤務や休日の調整をしたりすることができる一方で、自分で予約や項目の組み立てなどをするわずらわしさがあります。
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オプション検査の費用の負担は?
「最近、友達が乳がんになったから私も調べたい」という希望があるかも知れません。気になるところがあるなら、健康診断を受診するタイミングで、オプションを選択して受診することができます。オプション検査の内容や費用について解説しましょう。
オプション検査とは
健康診断での基本的な検査に加えて、上述のがん検診のようにオプションで選択できる検査項目があります。
男性であれば、前立腺がんが分かるPSA検査、女性なら乳腺超音波検査やマンモグラフィーを選ぶことができます。また、男女共通のものとして胸部CTや脳MRI、大腸内視鏡検査なども追加する人が多い検査です。
有名人や家族・友達が病気になったことをきっかけに、自分も検査を受けるというケースは少なくありません。病気の兆候がなければ安心することができますし、自覚症状が顕著でないうちに発見できれば、早期治療につなげていくことができます。
オプション検査は自己負担が基本
健康診断は基本的に会社負担ですが、オプション検査については検査項目ごとに会社の判断に委ねられます。
例えば負担金額は、胸部CTだと5000円ほど、脳MRIだと1万2000円ほどで、決して安くはありません。勤め先の健康保険組合や総務などにあらかじめ問い合わせるか、定期健診の指示が出た時にオプション検査をしたい旨を伝えてみましょう。
企業によっては従業員の人間ドック受診まで負担してくれるケースがあるほか、全額とはいかないまでも、費用の一部を負担してくれることもあります。
健康診断は保険適用外
前述の通り、健康診断自体はあくまで自由診療であり、医療保険の適用外です。
そのため、オプションも含めた健診料金は医療機関側で自由に設定できます。最新の機器をとりそろえて、より詳細な検査ができるとなれば、それに見合って費用も高くなってしまいます。
まだ年齢が若く、がんや脳疾患などのリスクが低ければ、高い費用を払ってオプションを追加する必要はないかも知れません。
他方、年齢を重ね、体型の変化や心身の変調を感じるようになってきたのであれば、40歳、50歳という節目ごとに気になる項目を受診して健康状態の把握に努めるという選択もあるでしょう。
再検査費用は会社が負担してくれる?
健康診断の検査結果が出て、再検査や精密検査が必要というケースも考えられます。再検査費用は会社が負担してくれるのでしょうか。再検査費用について解説します。
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会社によって対応が異なる
再検査費用の負担については、会社によって判断が分かれます。必ず会社が負担しなければいけないという義務はないためです。
基本的には、追加の再検査費用は自己負担の会社が多いです。しかし、従業員の福利厚生の一環として、会社指定の病院で受診する場合のみ、会社負担にしてくれるところも増えてきています。
ちなみに、再検査・精密検査では、病気の可能性がある「治療」の範囲に含まれるため保険適用となり、自己負担額はぐっと圧縮されます。
健康管理は従業員の義務。再検査を受けよう
会社員が定期的に健康診断を受けることは、労働安全衛生法で義務付けられていますが、従業員本人もまた自分の健康を保つための努力をする責任があると言えます。
病気によっては遺伝や体質などの影響を受けているので、必ずしも本人の力で全てをコントロールできるわけではありません。
しかし、暴飲暴食をしたり不摂生な生活を送り、業務に支障をきたしたりするのは、服務規程に反する行為とも受け止められかねないので、自己管理をする必要があります。
健康診断で再検査が必要という結果が出たら、速やかに医師の診断を受けましょう。早期発見・早期治療が、健康状態を健やかに保つ最善の道です。
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構成/編集部