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職場の従業員や同僚に異動する人が増えてくると、果たして自分はどうなのか不安になることもあるでしょう。人事異動の概要や時期・周期などについて理解を深め、辞令を受けた場合に拒否できるのかどうかについても知っておきましょう。
人事異動について知ろう
「同じ環境で長く働き続けるより、新しいことに挑戦した方がより成長できる」という考え方に基づいて実施されるのが人事異動です。
辞令と内示の違いもあわせて、人事異動の基礎を紹介します。
人事異動は企業活動改善のため
人事異動は、社内の人材をより適切なポジションに配置し直すことにより、企業活動を上向かせるという目的で行われます。
終身雇用の意識が根強い日本企業では、同じ人材が同じ企業で長く働くことを良しとする一方で、人が動かないことによるデメリットも生まれがちです。
人材の配置転換により、それまでの飽きや怠けをリセットし、新しい環境や人間関係の中でやる気を取り戻すことが求められます。
飽きや怠けの解消だけでなく、環境をリフレッシュさせ新しい能力の開花を期待することも、人事異動が持つ目的の一つです。
辞令と内示の違い
辞令とは、人事異動・転勤・新規採用などを、企業や経営者が決定し従業員に知らせる文書です。
辞令を交付することで、役職への着任を本人に通知します。掲示板や社内報などで、ほかの従業員に広く知らせる意味も持つ文書です。
従業員によっては、辞令が交付される前に、その旨を非公式に伝える内示が出されることがあります。内示を出された従業員は、そのことを周囲に漏らしてはいけません。
内示は辞令までの準備期間を与える意味合いが強いため、辞令交付から1週間~1カ月程度前に出されることが一般的です。
人事異動の内示を受けた時にその理由を確認することはできる?拒否することはできる?
人事異動の時期や周期
人事異動の一般的なタイミングやサイクルはどのようになっているのでしょうか。業種の例を交えて紹介します。
年度末の3月や決算時期が多い
人事異動が実施される時期は、企業により異なります。決算時期に合わせて行うケースが一般的です。そのため、多くの企業の決算時期にあたる3月によく実施されています。
ただし、国税庁が公表している統計情報「決算期月別法人数」によると、企業の決算時期は全ての月でまんべんなく行われていることがわかります。
また、半期決算の時期に人事異動が実施されることもあるでしょう。いずれにしても、自社の人事異動の時期を知りたい場合は、決算時期を確認すればわかる可能性があります。
出典:国税庁 決算期月別法人数
アパレルは2月など固有事情も
職種や業界によっては、決算時期に合わせるのではなく、固有の事情に合わせて人事異動の時期が決まっているケースもあります。
たとえば、アパレル業界では、多くの企業で2月と8月に人事異動が行われます。春夏物と秋冬物のセールが一段落つく頃であることがその理由です。
鉄道業界では、7月に人事異動を行う企業が少なくありません。年度末前後の時期は引っ越しの時期と重なることもあり、新年度の混雑がある程度落ち着いた7月が選ばれているようです。
ジョブローテーションや公務員は3年周期が多い
人事異動が実施される周期は、職種や業界、企業の規模や方針などによりさまざまです。半年や1年周期で行われることもあれば、10年以上実施されないこともあります。
従業員の積極的な能力開発のために幅広い業務経験をさせる『ジョブローテーション』を採用している企業の多くは、1~3年周期で人事異動を実施しています。
公務員の周期もおおよそ3年です。役所などは多くの部署があり業務内容もさまざまであるため、プロを育てるというよりは、幅広い知識を得ることを目的としているのでしょう。
辞令の拒否は可能か
企業から交付される辞令は、ほとんどの場合、従業員側の意向を反映していません。このような意味合いを持つ辞令は拒否できないのか、以下に解説します。
原則的に拒否は不可
辞令は、企業や経営者が人事を決定し、従業員に交付する公的な命令文書です。企業からの業務命令であることから、原則として拒否できません。
終身雇用の概念が根強く残る日本では、企業が簡単に従業員を解雇できない規制が敷かれています。長期雇用の観点から企業が従業員に対して持つ人事権が強い傾向にあるのです。
拒否が可能なケース
企業が定める就業規定に、人事異動に関する記載がない場合や、人事異動の対象とならないことが採用時の条件となっていた場合は、辞令を拒否できます。
人事異動に業務上の必要性が認められなかったり、報復人事など不当な動機や目的が考えられたりするような場合も、辞令を拒否できるでしょう。
異動により発生する不利益が受け入れ可能な範囲を逸脱している場合や、法律で定められた従業員への一定の配慮を欠いたケースでも、異議を唱えられます。
人事異動と関連する法律
人事異動を拒否できる根拠となりうる法律はいくつかあります。代表的なものが、労働契約法第14条です。
概要は、「企業が従業員に出向を命令する際、出向の命令が権利を濫用したものと認められる場合には、その命令は無効となる」という内容であり、権利を乱用する人事異動の命令は無効であることが明記されています。
ただし、人事異動に関する法律には解釈しにくいものが多いため、労使間のトラブルを引き起こす原因となっているのも実情です。
出典:労働契約法
構成/編集部