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人事異動の内示を受けた時にその理由を確認することはできる?拒否することはできる?

2020.04.30

人事異動の内示を伝えられ、理由が分からずに悩んでいる人もいるのではないでしょうか。実施されること自体の目的が分かれば、ある程度の不安は解消されるでしょう。理由の聞き方や拒否に関しても詳しく解説します。

人事異動の目的とは

ほとんどのケースで一方的に実施される人事異動とは、どのような目的があるのでしょうか。以下で主なものを詳しく見ていきましょう。

能力開発や人材育成

人事異動により配属先が変わった社員にとっては、業務の内容や人間関係も大きく変わることになります。

新しい環境に身を置いた結果、これまで習得した経験のない知識やスキルを学び、能力を大きく向上させる可能性が高まるでしょう。

ベテラン社員などの人事異動には、人材育成の意味合いも多分に含まれます。配属先の後輩や部下に自分の知識や経験を伝えることで、部署全体の底上げにもつながります。

異動した人が異動先で成長したり、異動した人によりその部署の人材が成長したりすることを期待できるという意味で、人事異動は企業にとって大きな施策といえるでしょう。

業務改善や企業戦略

従業員に適した部署を見つけられることも、人事異動が持つ大きな目的の一つです。現在所属している部署で目立った成果が見られなくても、異動先の部署で生まれ変わったように大活躍し始めるケースはめずらしくありません。

適材適所の人員配置が成功することで、企業側も気付かなかった優秀な人材を見つけられるため、双方にとってメリットがあります。

計画的な人事異動を繰り返すことで、経営方針の転換期や新事業の立ち上げ時などに必要な、能力のある人材を選抜しやすくなります。

モチベーション維持や不正防止

やる気がみられない従業員は、人事異動の対象になりやすい傾向があります。本人が向上しないだけでなく、部署全体に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。

長い間同じ業務を続けていると、仕事に対する慣れや飽きが発生し、モチベーションの低下を引き起こしやすくなるでしょう。このような人が増えるのを防ぐ目的でも、人事異動が実施されます。

不正の防止につながることも、人事異動の目的の一つです。同じ業務を続けていると、外部の目が届きにくくなり、さまざまな不正が起こりえます。

経理上の不正が発覚すれば、多額の損害金が発生することもあるため、同部署での勤務期間に上限を設けている企業もあるほどです。

理由を聞くことはできる?

なぜ自分がその部署に異動することになったのか、企業側に理由を求めたくなる人も多いでしょう。確認の可否について解説します。

説明を求めることは可能

人事異動が行われる際は、異動命令である辞令が正式に交付される前に、非公開で辞令の旨を伝える内示が個別に出される場合があります。

内示が出れば異動はほぼ確定ですが、内示を受けた段階で会社側に異動理由の説明を求めれば、企業によっては理由を教えてくれることもあるかもしれません。

異動理由を知りたい場合は、自分の仕事ぶりを最も近くで見てきた直属の上司に相談すれば、教えてくれる可能性は高くなるでしょう。

ただし開示の義務はない

異動理由を質問された企業には、従業員に理由を伝える義務はありません。

人事異動は企業側のさまざまな思惑により行われることであり、説明を受けたところで企業側の本心から語られるわけではないことも、頭に入れておく必要があります。

ただし、不当な理由などにより行われた異動であれば、企業側が後から訴訟を提起されるケースも考えられるでしょう。

理由を伝えること自体に法的な義務はなくても、その異動が適切に行われるものであることは、従業員に証明する必要があるといえます。

人事異動の拒否はできる?

人事異動は会社や組織の主導で行われるため、出された辞令には原則として従う必要があります。不服を感じた際に拒否できるかについては、以下で確認しておきましょう。

原則拒否はできない

人事異動の際に出される辞令とは、企業や組織が従業員に対し異動を決定し、業務命令として交付するものです。原則として拒否はできません。

できるだけ長い期間雇用を継続させる終身雇用制が、企業文化として定着している日本では、企業が従業員を容易に解雇できないルールが定められています。

このように、長期雇用を前提としていることから、企業や組織の人事権が強い傾向にあります。

法律により、従業員に対して一定の配慮はしなければならないものの、正当な理由なしに撤回を求めることは原則不可能です。

拒否できる主な例

就業規定の中に、人事異動がありうる旨の記載がない場合や、異動の対象にはならないことを採用時の条件としている場合は、辞令を拒否できます。

業務を進める上での必要性がなかったり、報復人事・退職強要など不当な動機が認められたりするような場合も、権利の乱用を指摘できるでしょう。

異動により、子どもの養育や家族の介護が困難になるようなケースでは、育児・介護休業法第26条により一定の配慮を欠いた人事異動として拒否できます。

出典:育児・介護休業法

 

構成/編集部

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