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『夏至』という言葉は知っていても、夏至がいつでどんな日なのか知らない人もいるのではないでしょうか?四季がある日本では、四季折々の風習や行事があります。日本における夏至の定義や由来・風習などを知り、季節の移り変わりを楽しみましょう。
夏至はいつ?どんな日?
『夏に至る』と書いて夏至というように、夏至を過ぎると本格的な夏になります。まずは日本において夏至がいつでどんな日なのか見ていきましょう。
1年でもっとも太陽の位置が高い日
夏至に限らず春分・秋分・冬至は、天体の動きと深い関係があります。地球は太陽の周りを一定の速度で公転しており、位置により太陽に照らされている時間の長さが異なります。
また、日照時間だけでなく、太陽の高度も変わります。夏至は地球の地軸が太陽側に傾くため、太陽の高度がもっとも高くなるのです。そのため、夏至の正午前後に地面に見える自分の影は、1年でもっとも短くなります。
このように1年を通して地球と太陽の位置関係が変わることが、四季の変化につながっているのです。
日照時間がもっとも長くなる
前述の通り地球と太陽の動きにより、日照時間と太陽高度が変わります。夏至は1年でもっとも太陽の位置が高くなるため、日照時間が一番長い日です。
冬至は逆に太陽高度が低くなり、日照時間が一番短い日です。春分と秋分は地球の地軸が太陽と平行になるため、昼と夜の長さが同じになります。
夏至はちょうど梅雨時期のため、日照時間が長く感じられないこともありますが、冬至の日照時間と比べると東京で約5時間ほどの差があります。
なお、1年でもっとも日照時間が長い夏至は、日の出の時間も一番早いと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。
毎年6月21日〜22日
夏至は、毎年同じ日と決まっているわけではありません。実際に2019年の夏至は6月22日でしたが、2024年は6月21日です。
これは地球が365.26日で公転しており、1年が365日とする暦との間にズレが生じるためです。
日本での夏至の由来と始まり
日本の夏至は、そもそもどのようにして始まったのでしょうか?夏至の由来について紹介します。
夏至は二十四節気の一つ
明治5年まで日本では、中国から伝わった『太陰太陽暦』が使われていました。江戸時代に天文学の知見が広がり、暦と実際の天体の動きのズレが指摘され、そのズレを解消するために暦の変更が何度が行われます。
そこで使われるようになった暦が、カレンダーなどで目にすることもある『二十四節気(にじゅうしせっき)』です。二十四節気では、1年の太陽の動きを15度ごとに24等分に分けています。
夏至をはじめ春分・秋分・冬至は、24個に分けられた季節の一つなのです。
季節の移り変わりを感じられる
二十四節気は広く知られている四季よりも、より細かく季節が分けられています。そのため、季節の移り変わりをより深く感じられるのが魅力です。
例えば、春は立春(りっしゅん)・雨水(うすい)・啓蟄(けいちつ)・春分・清明(せいめい)・穀雨(こくう)があります。梅の花が咲き始める立春から、春の雨が降り始め種まきなど農作物の準備をする穀雨という具合です。
夏は、5月初旬の新緑を楽しめる立夏(りっか)から、日照時間がもっとも長い夏至を過ぎ、夏の暑さが本格化する大暑(たいしょ)までになります。
また、春分の日や秋分の日といった祝日や季節のイベントの開催など、二十四節気は現代の私たちの生活と深い関わりがあります。
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農業と密接な関係を持つ
二十四節気は、毎年同じ時期に同じ季節が巡ってくるため、古くから農業にも用いられてきました。農作業をする上で大切な目安になっているのです。
田植えは『夏至の後に始め、半夏生の前に終わらせる』というのが基本です。『半夏生』は、夏至から数えて11日目のことです。この期間を過ぎると、秋の収穫に悪影響がでるといわれてきました。
このように農家にとって半夏生は特別な日であるため、神棚にお供え物をしたり、田の神に感謝する行事が行われたり、各地でさまざまな風習が残っています。
夏至の風習や食べ物はある?
夏至は、春分・秋分・冬至とともに広く知られています。しかし、夏至の風習や食べ物について知っている人は少ないのではないでしょうか?
特別な習慣は残っていない
全国的に広く残っている夏至の風習や食べ物はありません。その理由については、夏至から半夏生までは田植えの時期で忙しかったからというのが一般的な見解です。
ただし、各地方では田植えの終わりを祝う行事や豊作を願う行事が行われており、それが風習として残っています。例えば、関西地方ではタコの足のように稲が根付くようにとタコを食べる習慣があります。
また、福井県では『半夏生鯖(はんげしょうさば)』と呼ばれる焼き鯖を食べ、奈良県では小麦とモチ米、きな粉を使った『半夏生餅(はんげしょうもち)』が食べられています。
二見興玉神社の夏至祭が有名
夏至には、世界各地でさまざまな行事が行われています。日本では三重県の二見興玉神社で行われる『夏至祭』が有名です。
二見興玉神社のある二見浦は、伊勢神宮参拝の前に、その浜で禊(みそぎ)をしてからお参りするという『浜参宮(はまさんぐう)』という習わしがある場所で、太陽がもっとも高くなる夏至に、二見浦正面にある夫婦岩の間から昇る朝日を浴びて身を清めるのです。
二つの岩がまるで夫婦が寄り添っているように見える夫婦岩は有名で、夏至前後の約1カ月間のみ夫婦岩の間から朝日が昇ります。