「もともとおばあちゃん家から送られてくる野菜が本当においしくて、東京で働いている時のパワーの源だったんです。その畑を守るために猟師になりました」
Nozomiさんの前職は、営業職。2018年に東京都から茨城県へ移住し、害獣駆除を行なう猟師へと転身した。現在はヨガ教室を運営しながら、農業と猟師の仕事に従事している。
「移住した年の秋、猪に落花生畑が荒らされたのが本当にショックで。それから地域のために自分ができることを真剣に考えました」
猟師の仕事は、まず猪が生息する山へ入り、獣道や猪が体をこすりつけた後がある木や倒木の周辺など、猪通る可能性の高い場所にくくり罠を設置する。猪が罠にかかった時は、その場でとどめを刺し、作業場に運び、解体して精肉にするというのが基本的な流れだ。
「高齢の農家さんは、狩りはもちろん、電気柵などで害獣対策することができず、農地が荒れ放題になるケースもあります。だから、罠を仕掛けたり、獲物を持ち帰ったりすると、近所のおばあちゃんたちは涙を浮かべながら感謝してくれるんです。猟師になって本当に良かったと思っています」
Nozomiさんは、祖母の畑を守る孫3人でYouTuberとしても活躍している(詳しい情報は「Nozomi’s狩チャンネル」で)。
「猟師に関する情報って、Webでも見つけにくいんです。だから、罠の作り方や狩猟免許の申請の仕方など、自分が苦労したことをYouTubeで配信しています。今、国の認可を受けた猪肉処理施設の立ち上げを計画していて、いずれは猪肉を加工販売して地元の名産にしたいですね!」
Q.休日はどう過ごしていますか?
根っからのアウトドア好きで、テントを張って星を眺めたり、山歩きをして山菜を採ったりしてリフレッシュしています。料理も好きで、自分で捕った猪をローストやぼたん鍋などにすると最高においしい! 友人たちにも振る舞っています。
Q.仕事をする上で欠かせない道具や習慣はありますか?
猟友会のオレンジ色のベストとキャップ、ナイフ、くくり罠の装置、罠を仕掛ける時に穴を掘るために使うスコップなどです。このくくり罠は、魚釣りの仕掛けと同じように自作する猟師が多いです。私も最初は罠作りに苦戦して、試行錯誤しながら今の形に辿り着きました。
Q.これは職業病だなと感じる行為や癖はありますか?
他の農家さんの畑を見ると「作物は何かな?」「猪の被害は大丈夫かな?」とチェックしてしまうこと。あとクルマに乗っている時に猪が生息していそうな山を見つけると、獣道を探したくなります(笑)。
Q.好きな本やマンガ、映画を教えてください。
この仕事をするようになって、狩猟をテーマに扱ったものばかり手に取るようになりました(笑)。最近読んでよかった本は、武重謙さんの『山のクジラを獲りたくて―単独忍び猟記』。漫画では『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』や『罠ガール』『クマ撃ちの女』。おもしろいですね。もともとRPGをモチーフにした『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』や、有名な『ONE PIECE』なども好きでよく読んでいて、仲間が集って、主人公が強くなっていく、そんな冒険ものに憧れがあるんです。
Q.犬派? 猫派?
選べない(笑)! どっちも飼っていたし、生き物全般好きで、最近は爬虫類にも興味があります。以前、ゼリー状の素材の観察キットでアリを飼育していて、仕事で疲れた時に癒されていました(笑)。
Q.好きな男性のタイプを芸能人で例えると?
芸能人ではないですが、テレビ朝日のディレクターのナスDさん(笑)。すごい冒険に連れてってくれそう。
Q.最近買ったモノで一番のお気に入りは?
今回撮影した写真で着用しているワークマンの赤いジャケットです。山の中でも目立つ鮮やかな色で、デザインも機能性もいいのに、価格は3000円くらい。とてもリーズナブルで、ワークマンは大好きです。
Q.やってみたいこと、行きたい場所、欲しいモノはありますか?
新しいクルマが欲しい! スズキの『ジムニー』はカッコいいし、ホンダの『N-BOX』は使い勝手がよさそう。アウトドアで車中泊できるように、カスタムにもこだわりたいですね。
取材・文/佐藤太志 撮影/西村智晴 ヘアメイク/佐藤美香