職種別の退職金の平均
全ての職業は、管理・事務・技術職と、それ以外の現業職に大別できます。それぞれにおける退職金の平均額について解説します。
管理・事務・技術職
管理職とは、組織の管理業務に従事する者です。国会議員、公務員管理職、地方公共団体の局長・部長・課長、法人や団体の役員などがあてはまります。
事務職とは、事務または事務用機械の操作仕事に従事する者です。一般・会計・営業・販売事務員、銀行の窓口事務員、案内係、フロント業、メーター検針員などを指します。
技術職とは、研究者・開発者・技術者など、高い専門水準において、知識を応用した技術的な仕事に従事する者です。医療・法律・芸術などの仕事に従事する者も含まれます。
前出した厚生労働省のデータによると、高卒で35年以上継続勤務した管理・事務・技術職が、定年退職した際に支給された退職一時金の平均額は1497万円です。
現業職
現業職とは、技能分野の業務に従事する者です。民間企業においては、生産・販売・通信・運輸・保守・サービスなど、主に現場で働く人を指します。
また、国や地方自治体の現業職としては、電車・バス・公用車の運転手、整備士、清掃作業員、学校給食の調理員、学校の用務員、ごみ収集・道路補修作業員、守衛などがあてはまります。
前出の厚生労働省の調査によると、高卒で勤続35年以上の現業職が、定年退職した際に受け取った退職一時金の平均額は1080万円です。
他の条件が同じであれば、現業職に比べ管理・事務・技術職の方が、より多くの退職金を受け取れることが分かります。
実際の自分の退職金は?
企業から実際に自分が受け取れる退職金に関し、確認する方法などを紹介します。金額の算出方法や支払い方などは企業ごとに異なるため、しっかりとチェックしておくことが重要です。
退職金の取り決め方法
給付金額の取り決めに関しては、『確定給付』と『確定拠出』のどちらかが、企業ごとに採用されています。
確定給付とは、勤続年数や給与テーブルなどに基づき、退職金の給付額をあらかじめ確定させておく制度です。退職一時金はこの制度に含まれます。
長く働けるという安心感から、従業員のモチベーションを上げやすいメリットがある一方で、資産運用のリスクは企業が負うことになります。
確定拠出とは、退職金の金額を定めず、毎月積み立てる金額を決めておく制度です。資金の運用は従業員が行い、企業は運用リスクを負いません。近年は、確定拠出年金型を採用する中小企業が増えています。
退職金の会社への確認方法
自社の退職金制度を調べるには、就業規定を確認しましょう。退職給付制度を採用している企業なら、就業規定の中に『退職金規程』の記載があるはずです。
常勤の従業員を10名以上雇用している企業は、就業規定を作成し、労働基準監督署へ提出することが、労働基準法で義務付けられています。
就業規定は企業により改定されることがあるため、入社時に目を通している場合でも、最新バージョンをこまめにチェックしましょう。
企業によっては、就業規定を作成していない場合や、従業員が確認できる状態にない場合があります。また、就業規定に退職金規定の記載がないことも考えられます。
そのようなときには、総務や人事などの担当部署に問い合わせてみましょう。
退職金の計算方法
勤続年数に比例する『定額制』、退職時の基本給に勤続年数で変動する支給率と退職事由係数を掛け合わせた『基本給連動型』、役職・等級などによる基礎金額に支給率と退職事由係数を掛け合わせた『ポイント制』が、主な退職金の算出方法です。
これまでは基本給連動型と定額制が主流でしたが、近年は人々の働き方の多様化と時代の流れとともに、ポイント制へ移行している企業が増えています。
まとまった金額を受け取ることになる退職一時金には所得税がかかりますが、通常の給与や賞与と比べ税制面で優遇されており、納める税金は最小限で済みます。
勤続年数20年以下の場合は「勤続年数×40万円」、勤続年数20年超の場合は「(勤続年数-20年)×70万円+800万円」が、控除額の計算方法です。
退職金にはどんな税金がかかる?覚えておきたい税金の種類と計算、納付方法、還付の可能性
文/編集部