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退職金にはどんな税金がかかる?覚えておきたい税金の種類と計算、納付方法、還付の可能性

2023.01.01

退職金にかかる3種類の税金について紹介し、退職金の受け取り方によって異なる2種類の税金制度についても解説します。さらに2種類それぞれの税金の計算方法を具体的な数字を使って説明し、退職金にかかる税金の納付方法もお伝えしましょう。

退職金にはどんな税金がかかるのか?

まずは退職金にどのような税金がかかるかをお伝えし、次に退職金特有の税負担を軽くする措置について紹介します。さらに、退職金に税金がかからない条件についても解説しましょう。

所得税・復興特別所得税・住民税がかかる

退職金には『所得税』と『住民税』がかかります。さらに2037年末までは『復興特別所得税』もかかるので覚えておきましょう。所得税の課税方法には総合課税と分離課税があり、退職金は分離課税の対象となる『退職所得』に該当します。

住民税には均等割と所得割があります。均等割とは、所得額にかかわらず納税者が税額を均等に負担する仕組みのことで、所得割とは、実際に納税する年の前年の所得金額によって税額が決定される仕組みのことです。

住民税の計算においても退職所得は分離課税の対象となり、他の所得とは区別して税金が課されます。

税負担が軽くなる措置がとられている

退職金は長年の勤務に報いる意味合いのある一時的な給与なので、税負担を軽減する措置がとられています。具体的には、退職所得に対する『退職所得控除』と『分離課税』が軽減措置として適用されるのです。

退職金が該当する退職所得には退職所得控除が適用されるので、控除額の分だけ支払う税額も小さくなるという特徴があります。実際に課税対象となるのは、退職所得額から退職所得控除額を引いた残りの金額に1/2をかけた金額のみです。

課税対象額が大きくなるほど税率も上がるのが所得税の基本的な特徴ですが、退職金は他の所得とは合算されない分離課税が適用されるため、退職金にかかる税負担は軽くなります。

参考:退職金と税|国税庁

税金がかからない場合もある

所得税(復興特別所得税を含む)と住民税はいずれも、『課税退職所得金額』に所定の税率をかけて税額を算出します。課税退職所得金額は『(退職金の収入額-退職所得控除額)× 1/2』で導き出すことが可能です。退職所得控除額は、所定の計算式に勤続年数を当てはめることで算出されます。

退職金の収入額よりも退職所得控除額が大きい状態、つまり課税退職所得金額が0円以下の場合は、所得税(復興特別所得税を含む)も住民税も0円になり税金がかかりません。

退職金の受け取り方は2種類

通帳と現金

(出典) photo-ac.com

退職金の受け取り方には『一括で受け取る方法』と『分割で受け取る方法』の2種類があります。メリット・デメリットを含めそれぞれの違いを解説しましょう。

退職所得として一括で受け取る

一括で受け取った退職金を『退職一時金』と呼びます。退職金を一括で受け取ったとしても、老後の生活における経済面が完全に保証されるというわけではありませんが、少なくともまとまったお金を手にすることは可能です。住宅ローンなどの各種ローンが残っている場合には、ある程度の大きな金額をそれらの返済にあてられるでしょう。

また、退職一時金は『退職所得』に該当します。退職所得は『退職所得控除』の適用や『分離課税』として扱われるなど、税制面での優遇措置があるのが特徴です。

参考:No.2725 退職所得となるもの|国税庁

年金方式で分割で受け取る

退職金を分割して年金方式で受け取る場合は、公的年金などと合算されて『雑所得』として扱われます。したがって、退職所得に適用される『退職所得控除』の適用や『分離課税』といった税制面での優遇は受けられません。

一方で、退職後も一定期間は安定収入を得られるのが、分割で受け取るメリットです。まとまったお金を手にすると浪費の心配がある、退職金を老後の生活費にあてようと考えている場合には、年金方式での受け取りが良いでしょう。

一括と分割はどちらが良いのか?

退職金を一括で受け取るか分割で受け取るかによって、税制面以外に違いがあります。お伝えした両者のメリット・デメリット以外にも、一括で受け取ってローンを返済すれば支払利息の負担がなくなるメリットがある一方で、お金の管理に注意が必要になるというデメリットもあります。

分割で受け取る場合には、お金の管理がしやすいメリットがある一方で、課税期間が長くなるのがデメリットです。このようにそれぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

退職所得として受け取った場合の税金の計算

電卓で計算する

(出典) photo-ac.com

退職金を退職所得として受け取った場合の各税金の計算手順を解説しましょう。さらにモデルケースを使い、実際に『所得税』『復興特別所得税』『住民税』の税金額を算出します。

税額算出に欠かせない課税退職所得金額の計算方法

所得税・住民税ともに『課税退職所得金額』に所定の税率をかけて算出します。税額を把握するためには、課税退職所得金額の把握が欠かせません。

課税退職所得金額の算出方法は、『(退職金の収入額-退職所得控除額)× 1/2』です。退職所得控除額の算出方法は、勤続年数が20年以下の場合と20年超の場合の2種類があります。

<勤続年数が20年以下の場合>
退職所得控除額=40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)

<勤続年数が20年超の場合>
退職所得控除額=800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

所得税・復興特別所得税・住民税の計算方法

所得税額の算出方法は、『課税退職所得金額 × 所得税の税率 − 控除額』です。税率・控除額ともに課税退職所得金額に応じて七つに区分されています。

最も低い区分(課税退職所得金額:1,000円~194万9,000円)では、税率:5.0%・控除額:0円となり、最も高い区分(同:4,000万以上)では、税率:45.0%・控除額:479万6,000円です。

一方、復興特別所得税額と住民税額の税率は一定となり、復興特別所得税額は『所得税額 × 2.1%』、住民税額は『課税退職所得金額 × 10.0%』で算出します。

参考:退職金と税|国税庁

具体的な数字を使って各税額を算出

『勤続年数:15年・退職金の収入金額:1,000万円』の場合の各税額を算出します。
まず、退職所得控除額・課税退職所得金額から算出しましょう。

  • 退職所得控除額:40万円 × 15年(勤続年数)=600万円
  • 課税退職所得金額:(退職金の収入金額1,000万円 − 退職所得控除額600万円)× 1/2=200万円

課税退職所得金額が200万円の場合、税率:10.0%・控除額:9万7,500円です。
これらの数値が算出できたら、所得税額・復興特別所得税額・住民税額の計算に入ります。

  • 所得税額:200万円(課税退職所得金額)× 10.0%(税率)− 9万7,500円(控除額)=10万2,500円
  • 復興特別所得税額:10万2,500円(所得税額)× 2.1%(税率)=2,152円(※1円未満の端数は切り捨て)
  • 住民税額:200万円(課税退職所得金額)× 10.0%(住民税率)=20万円

結果をまとめると、所得税額:10万2,500円・復興特別所得税額:2,152円・住民税額:20万円となります。

年金方式で受け取った場合の税金の計算

お札と印鑑と通帳

(出典) photo-ac.com

退職金を年金方式で受け取った場合の税金の計算方法は、一括で受け取った場合とは異なるため注意が必要です。年金方式の場合の税金計算方法を解説します。

公的年金と合わせて税金を計算する

老齢基礎年金や老齢厚生年金と同様に、年金方式で受け取った退職金の所得区分は『雑所得』です。所得税・住民税を計算するときには、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受け取り金額も合算します。

雑所得の計算式は『年金の収入 − 公的年金等控除額』となり、公的年金等控除額は65歳未満と65歳以上に分かれた上で、それぞれ六つに区分されます。

65歳未満の最も低い区分(年金の収入金額:60万円以下)の控除額は0円、最も高い区分(同:1,000万以上)の控除額は195万5,000円です。65歳以上の最も低い区分(同:110万円以下)の控除額は0円、最も高い区分(同:1,000万以上)の控除額は195万5,000円です。

この計算式で得られた雑所得に、所定の税率をかけて所得税・住民税が算出されます。

参考:No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁

退職金にかかる税金の納付方法

確定申告書類と電卓

(出典) photo-ac.com

退職金にかかる税金は、所定の申告書を提出すれば会社が源泉徴収してくれます。申告書を提出しなかったらどうなるのかについてや、確定申告による税金の還付についても併せて解説しましょう。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出して源泉徴収される

退職金を一括で受け取る場合に、『退職所得の受給に関する申告書(以下、退職所得申告書)』を会社に提出すると、退職所得の税金計算方法に則り、算出した税金を会社が源泉徴収します。つまり、退職者自身が確定申告などの手続きをして納税する必要はありません。

『退職所得申告書』は、国税庁のホームページからダウンロードすることで入手できますし、会社から申告書が配布される場合もあります。所得税法で記入すべき内容は決まっており、国税庁のホームページで記入例を確認できます。

参考:No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったらどうなる?

『退職所得の受給に関する申告書(以下、退職所得申告書)』を提出しないと、退職所得に適用される『退職所得控除の適用』『分離課税として扱われる』などの税制面での優遇措置が受けられません。

退職所得申告書が未提出な場合は、退職金の収入金額に20.42%をかけた金額を一律で源泉徴収し、退職所得申告書を提出した場合に比べて税金を多く払うことになります。

ただし、退職所得申告書を提出しなかったことにより余計に支払った税金は、確定申告することで還付を受けられる可能性があります。

確定申告により税金の還付が受けられる場合も

『退職所得の受給に関する申告書』を提出していない場合でも、確定申告すれば税金の還付が受けられることは少なくありません。例えば、年の途中で退職し年末調整を受けていない場合は、確定申告により源泉徴収で支払い過ぎた税金が還付される場合があるのです。

確定申告時には、退職後に支払った国民健康保険料・介護保険料などが『社会保険料控除』に適用されます。さらに、要件を満たした民間の生命保険料が『生命保険料控除』に、地震保険料が『地震保険料控除』に適用されます。

こうした控除が適用されれば、確定申告により税金が還付される可能性がより高まるでしょう。なお、各控除を申告する際は控除証明書の添付が必要です。

構成/編集部

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