売り上げダウンより環境問題
2019年7月に行われた参議院選挙では、社員全員を選挙に行けるように、22店舗を全て臨時休業にしたんです。社員一人一人がこの人と思う候補者に投票しなさいと。全店を閉める、しかも日曜日に。私が以前勤めていた会社なら、絶対にそんなことはしない。
ファイナンスの仕事に携わる私でなくても、日曜日に全店休業したら、売り上げダウンのインパクトが大きいことは想像できます。でもこの会社のミッションは“地球を救うこと”で、利益追求が優先順位の一番にはならない。
この会社の社員はサーフィン、カヤック、マウンテンバイク、岩を登るクライム等をやっているのが当たり前です。「次、どこの山に、どこの海に行く?」そんな会話で盛り上がります。「アウトドアスポーツをやっているからこそ、地球の変化を身体で感じる。私たちが地球を守ることを伝えていかなきゃ」という話が社内でよく交わされますが。
その点、入社当時はちょっと……
環境問題への思いが強くなると、人にその思いを伝えたくなるものだ。「まず相手の考えを受け止め理解し、それから語ることが大事だね」とは、上司のアドバイスである。
アウトドアスポーツをやって当たり前の社風、アウトドアスポーツをやってこそ、環境問題がわかるという論理にはインドア派の鄭さん、いささか戸惑った。後編はそのあたりの話から始まる。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama