そんな新型カローラツーリング ハイブリッドW×Bの走行性能は、極めて質の高い乗り味を披露。乗り心地は、215/45R17サイズの大径タイヤのおかげで、段差などではやや硬く感じるものの、終始、フラットで快適そのもの。サスペンションは路面の変化をみごとにいなして、しっかり感と心地よさを両立した上質な乗り心地を堪能させてくれるのだ。
フットワークはだから、自在感あるスポーティーテイスト。直進感の良さもさることながら、カーブや高速レーンチェンジ、山道での操る気持ち良さ、安定感の高さは、失礼だが、これがカローラなのか!と思わせるほどだった。
1・8Lエンジン+2モーターのパワーユニット(エンジン98ps、14.5kg-m/モーター 72ps、16.6kg-m、システム最高出力122ps)はプリウスと大きく変わらず、しかし最新制御で一段とスムーズかつ伸びやかな加速力を発揮してくれる。ドライブモードのパワーモードなら、メーターが赤く染まるのと同時に、レスポンスが一段と高まる加速力を見せつけてくれる痛快さがある。決して、回して気持ちいい部類のエンジンではないが、動力性能的には“スポーティーワゴン”と呼んでいいレベルにあると言っていいだろう。
電動パーキングブレーキにホールドモードがあるのもうれしいポイント。一時停止中にブレーキを踏み続けなくて済むから楽だ。
ハイブリッドだから車内は素晴らしく静か・・・でもない。確かにパワーユニットとしては静かで、100km/hていどの巡航でもEVモードに入り、モーター走行が可能なのだが、17インチタイヤのスポーティーなキャラクターからか、ロードノイズの侵入は、静かに滑らかに走ってくれる16インチタイヤより、かなり大きめ。良路ではハイブリッドカーらしい静かさに満足できるのだが、路面が荒れると、車内はけっこう騒々しくなってしまうというわけだ。
よって、ハイブリッドモデルを選び、電動車らしい全体的な静かさまでもを求めるのであれば、装備はやや落ちるものの、乗り心地面にも優れる、16インチタイヤ+アルミホイールとなるハイブリッドSグレードをお薦めする。もちろん、1.8Lガソリンエンジン搭載モデルも、惚れ惚れするぐらいできがいい。
あるいは、MT好きなら、よりスポーティーな1・8Lガソリン+6MTのW×Bという選択肢もある。
いずれにしても、新型カローラツーリングのスタイリッシュさ、走りの質感の高さ、先進運転支援機能の充実ぶりは、過去のカローラとは別物の世界観にある。一度、試乗してみると、カローラ、カローラツーリングに対する見方、考え方が激変すること間違いなしである。実際に、ボクがそうなのだから。ちなみに、高速80%、市街地20%の今回の試乗での実燃費は、なんと25.3km/hと素晴しかった!!
トヨタ・カローラツーリング
https://toyota.jp/corollatouring/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。