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人を自分の意のままにしたがる「支配欲の強い人」からは離れた方がいい理由

2019.12.08

無力感を抱かせる

 極端なほどに劣等感が強く、自信がないがゆえに、あらゆる人との摩擦が絶えない。前述の20代社員の役員から2年前に聞いたのだが、この社員は他の社員との言い争いを繰り返すのだという。たとえば、ほかの社員がある会社の機関紙に書いたコラムにも「この内容はおかしい」と指摘するようだ。おそらく、相手を混乱させ、その姿を見て喜ぶタイプなのだろう。人材難である小さな会社ではこんな社員でも淘汰されることなく、長く勤務することができるし、管理職や役員になる場合すらある。

 このタイプは無力感を抱かせ、エネルギーを奪うことで自分の活力としようとしているのだろう。

 競争で打ち勝ち、自分の力でエネルギーを得ることができないのだとも言える。言い換えると、負け癖がついているがゆえに、自ら這い上がることができないのかもしれない。だからこそ、嫉妬の対象や脅威となるような人を機会あるごとにけなし、否定し、軽く扱い、無力感を抱かせるように仕向ける。相手を引きずり下ろし、自分を相対的に上げようとする。それほどに、相手を恐れているとも言えよう。

自分の領域に入られるのを極度に嫌がる

 他人を攻撃し、従わせ、支配をしようとするが、自分が何かを言われたり、指摘されたりすると得てして冷静さを失い、感情的になる。批判精神旺盛だが、批判を受けることには免疫ができていない。捉え方によっては、気が小さく、傷つきやすい心を持っているとも言える。しかし、決して繊細ではないし、ナイーブでもない。他人を支配したい欲望が相当に強いことに何ら変わりはない。

 実は、私も今回取り上げたようなタイプの上司に、30代前半から後半にかけて仕えたことがある。社内の噂では、子どもの頃から極端に甘やかされたお坊ちゃまなのだという。実際のところはわかりかねるが、常に自分の思うままに部下を動かそうとする欲望が強い人ではあった。経験論で言えば、こういう上司のもとからは離れたほうがいいと思う。いいように利用されるだけだ。支配することしか考えていないように、私には見えた。部署異動や転職が難しいならば、残留するしかないが、できるだけ接する機会を減らし、目の前の仕事に専念しよう。

 そして、決して1人になることなく、部員たちと一緒の行動を取るようにしたい。どうか、注意をしていただきたい。なお、今回、「他人を攻撃せずにはいられない」(片田珠美 PHP新書)を参考にした。ぜひ、読んでもらいたい。支配欲の強い人がそばにいたら、なおさらお勧めしたい。

文/吉田典史

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