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【リーダーはつらいよ】「私たちの商売は“一杯の牛丼を食してくださるお客様”によって成り立っている」吉野家ホールディングス・山岸裕子さん

2019.11.21

 上からの指示に、下からの訴え、部下は育てなければならないし、数字を含めて目標を達成するにはどうするか。課長の苦労は絶えない。愚痴は言えない中間管理職。世の中の課長さんは働く現場で何を考え、どんな術を講じているのか。課長職のつぶやきを紹介する。

 シリーズ第15回は牛丼の吉野家である。吉野家ホールディングス 株式会社中日本吉野家 エリアマネジャー 山岸裕子さん(43)。石川県金沢市近郊の金沢地区、8店舗を管轄する。直属の部下は8店舗の店長。彼女の“牛丼人生”を織り交ぜながら、中間管理職としての悲喜こもごもの話が展開していく。

肝心要のこと

 石川県小松市出身の山岸、商業高校を卒業後、専門学校は中退、何処かの会社の事務職に就き、20代半ばには結婚と漠然と思い描いていた。就職先が見つかるまでと、近所の吉野家にアルバイトをはじめると、それが8年間も続く。

「学生の頃は自分から交際を広げようというタイプではなかったので、アルバイト仲間や社員の人や、お店でいろんな人と知り合えて、楽しかったです」

 勤めた吉野家はフランチャイズ店で、フランチャイズ会社の社員も1年間経験。体調を壊して辞めるが、結婚の話も遠のいた時期だった。「メソメソしとらんと、人手が足りんのや、手伝ってくれんか」彼女にそう声をかけたのは、アルバイトの頃の店長で、中日本吉野家のエリアマネジャーの男性だった。2010年に今の会社に入社、店長、地域のモデル店となるリーダーを経て、3年前に金沢地区のエリアマネジャーに昇格した。

 最もストレスを感じるのは目標の数字の達成だが、山岸は数字のことを部下にうるさく言わないよう心がけている。大切なのは数字を達成するためのプロセスだ。店長を育成し、サービスの質を高めることが、売上げに結びつくと彼女は考えている。

 パート・アルバイト従業員を吉野家ではキャストと呼ぶが、例えばキャストからの不満、あるいは客からのクレームに対して、「忙しいんですから、しょうがないじゃないですか」みたいな言い方を店長にされると、彼女はいささかムッとする。

 部下の言葉は“一杯の牛丼を食してくださるお客様”で、自分たちの商売は成り立っているという、肝心要のことを忘れていると感じるからだ。

“肉盛り実技グランドチャンピオン大会”

 とはいえ、店長はしんどくて大変なポジションである。店長の経験が長い彼女は痛いほどそれがわかっている。店舗の運営をはじめ、アルバイトの教育、日々の勤務のシフト作り。人手不足がなかなか解消しなかったり。本部からの通知は数多いし、次々に入れ替わる新メニューに対応するのも一苦労だ。

 その中でも、知恵を絞って工夫する店長はいる。歳は下だが社歴は彼女よりも長く、複数店の店長を兼任する男性は、新しく担当した店舗の略図を素早く作った。その図を見れば新人キャストでも、新メニューのノボリやポスターを出す場所が一目でわかる。他のスタッフにはなかった発想だ。

 ちなみに吉野家では毎年、全国の腕自慢のスタッフによる、“肉盛り実技グランドチャンピオン大会”が催される。店で使う47個の穴が開いたオタマに牛丼のアタマを乗せ、手首を返してご飯の上に盛る。牛丼の並盛りなら肉やタマネギ、タレの量、盛り付ける時の高さも規定があり、絶妙なテクニックが要求される。略図作りの部下はこの大会に何回も出場し、好成績を収めている。

 牛丼作りは山岸よりうまい。テクニックを極めた職人肌の部下だが、もう少しキャストに声がけがあってもいいんじゃないかと、彼女は感じている。例えば「聞いたよ、昨日帰りに自転車で転んだんだって。怪我はなかった?大丈夫?」とか、そんな一言が大切なのだ。声がけが少ないと孤立感を抱き、キャストが辞めていく原因にもなる。

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