ライオンの飼育は2パターンが理想だが…
百獣の王ライオンの飼育も、それなりの問題がある。近年では最大で24頭飼育していたが現在は14頭。そのうち群れで展示できるのは7頭。来年のリニューアルオープンの時には、もう少し頭数を増やしたいと飼育員や関係者は考えている。だが、ライオンの頭数を増やすのは容易でない現実がある。
「国内のライオンの血統は、ほとんど管理されていません。アムールトラと違い国際血統登録もありません」(佐々木飼育員)
14年に九州自然動物園から来園したスパークとジャンプも、九州では繁殖の実績があり、種オスとして期待されていた。だが、スパークの子供は虚弱で育たなかった。
「群れとは別に種オスを飼育し、避妊処置をしたオスを群れの中に置いて、群れを管理する。この2パターンが理想ですが」(大賀飼育員)
現在、多摩動物公園には種オスのライオンは不在である。国際間取引が厳しい状況下だ。外国から新しい血統のライオンが、入園するという情報は今のところない。
「将来的に増やしていくには、どうしたらいいのか、飼育員やライオンの関係者で話し合っているところです。リニューアルオープンの時は、他の動物園からライオンを受け入れることも視野に入れています。できる限り調べて国の内外を問わず、今いるライオンのメスと、血縁関係が薄いオスの個体を入れたいです」(大賀飼育員)
ライオン舎のリニューアルオープンと、多摩動物公園の名物、ライオンバスの運行再開は来年である。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama