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通常盤初回マト、テストプレス、激レア初回マトを聴き比べてわかった意外な事実

2019.11.09

ディープ・パープル/『ディープ・パープル・イン・ロック』。

 4番目はディープ・パープルの『ディープ・パープル・イン・ロック』。“通常盤”はマト2/1、“幻盤”はマト1/1だ。“幻盤”も“通常盤”も同じ印刷のレーベルが貼られ、“幻盤”は発売直後に回収されたと思われる。では、なぜ回収となったのか。試聴曲は「スピード・キング」だ。“通常盤”のリッチー・ブラックモアのギターは攻撃的で激しい。「これからはハード・ロックだぜ」というリッチーの意志が、ひしひしと伝わる。キーボードは大人しめだ。ただしこの曲、レンジが狭く録音がいいとは言えない。録音より、新生ディープ・パープルの熱とパワーで勝負だ。“幻盤”は“通常盤”とかなり趣が異なる。とにかくドラムの音が、不自然なほどにでかい。イアン・ペイス大王の御前に、リッチーやジョン・ロードを跪いているかのよう。音のバランスがあまりにも悪い。かといって、ドラムの音がいいわけでもない。5対3で“通常盤”の圧勝。ところが「チャイルド・イン・タイム」になると、録音も楽器のバランスもいい感じだ。なぜだろう?

レッド・ツェッペリン/『聖なる館』。

 5番目は再びレッド・ツェッペリンで『聖なる館』。“通常盤”はマト2/2、“幻盤”はマト1/1の“テストプレス”(レーベルに印刷なし)だ。この作品は奇妙で、イギリスではまずマト2/2が発売され、その後マト1/1が発売された。まずマト2を出して、その後ジミー・ペイジ(かな?)が没にしたマト1が出るという謎の経緯がある。“通常盤”と同じレーベル印刷のマト1/1も存在するが、今回は白レーベルの“テストプレス”試聴だ。曲は「永遠の詩」。“通常盤”はすべてにバランスがよく非の打ち所がない。僕の愛聴盤でありずっと最良録音と思っていたが、今回初めて「もの凄くいい」というレベルではないと思った。だが“幻盤”にはぶっ飛んだ。“通常盤”のバランスの良さにパワーが加わり圧巻の迫力! 目から鱗、“通常盤”に満足している場合じゃないと痛感した。3対5だ。“幻盤”恐るべし!! だが何故、ジミー・ペイジ(かな?)は気に入らなかったのだろう?

フリー/『ハートブレイカー』。

 6番目はフリーの『ハートブレイカー』。“通常盤”はマト2/2、“幻盤”はマト1/1の“テストプレス”(レーベルに印刷なし)だ。僕はポール・ロジャースの大ファンで、青春の時はフリーもバッド・カンパニーも聴きまくった。だがマト1党となってからは、録音はよくないという声を多く聞き、食指があまり動かない。さて“通常盤”は、ゆるい、狭い、メリハリが弱い、とネガティブな印象。だが“幻盤”には切れがあり、4対5でこっちを評価する。ところが、しっとり系の曲「カム・トゥゲザー・イン・ザ・モーニング」はやかましい。ましてやハードな「ハートブレイカー」になると、ひたすらやかましい。1曲だけではなく、アルバム全体のバランスを考えてマト1/1はNGとなったのだろうか。

 と、ここで思い当たる。『聖なる館』も2曲目のしっとり系「レイン・ソング」は、うるさい感があった。“静”と“動”の対比を特徴とするツェッペリンだけに、ジミー・ペイジ(かな?)は、アルバム全体としてマト1/1のバランスが不服だったのかもしれない。だがそれはそれ、“動”好きなツェッペリン党としては、マト1/1は“どう”しても手に入れたいところだ。

キング・クリムゾン/『クリムゾン・キングの宮殿』。

 7番目はキング・クリムゾンの『クリムゾン・キングの宮殿』。“通常盤”はマト2/2、“幻盤”はマト1/1だ。“幻盤”もレーベルは印刷されているので、やはり回収盤と考えられる。実はこの作品、約2年前にこの会で両面聴き比べの回があり参加した。そのレポートはこちらを。その時の参加者のどっちがよかったか投票ではマト2/2が小差で勝ち、僕も2/2に軍配を上げた。今回の聴き比べは「21世紀のスキッツォイド・マン」だけだが、参加者ほぼ全員が2/2に投票、僕も迷わず2/2をよしとした。“通常盤”はたまに市場に出て10万円強ほど、“幻盤”はまず市場に出ることはなく、もし出たら今では100万円級か? 聴いてしまったので1/1を欲しいとはまったく思わないが、聴かなければ永遠の試聴待望盤だったに違いない。

 約50年前から愛聴してきたロックの超稀少レコードをじっくりと聴き比べた3時間半、至福の時間だった。超コレクター氏、オリンポスさん、ありがとうございました。

文/斎藤好一(元DIME編集長)

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