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12月の声を聞くと、世の中はにわかにクリスマスの雰囲気に包まれます。クリスマスを祝うため、街やショップは華やかに飾られ、胸躍る季節です。そもそもクリスマスの起源とは、どのようなものなのでしょうか。その意味や過ごし方についてまとめました。
クリスマスの起源や由来を知ろう
クリスマスは、日本でも広く浸透している行事です。家族や恋人、親しい友人らと過ごし、プレゼント交換などを行うなど、毎年たくさんの人々が楽しみます。
サンタクロースが空から舞い降り、煙突を抜けてやってきて、プレゼントを靴下の中に入れてくれる、それは誰もが知っているクリスマスのイメージです。
でも「クリスマスの起源は?」と言われるとどうでしょう? その由来については、あまり知られていない部分もあるようです。
クリスマスの起源とは
「12月25日のクリスマスは何の日?」との問いに、イエス・キリストの誕生日と答える人が多いのではないでしょうか。しかし、正確には「イエスの誕生を祝う日」とされています。
キリスト教や聖書には、イエスが生まれた日が12月25日だとの明確な記述はありません。そのため、生まれた日ではなく、生誕を祝う日なのです。
キリスト教のカトリック教会において、イエスの誕生をみんなで祝うようになったことが現在のクリスマスの始まりだと言われています。
カトリック教会では、教徒が集まり祈る場を『ミサ』といいます。「キリストを祝うミサ」「キリストミサ」それが次第に「クリスマス」という呼び名となったという説も紹介しておきましょう。
イエスの降誕
イエスの降誕については聖書に詳しく記されていますが、クリスマスの起源を正しく理解しておくために内容を簡単に振り返っておきましょう。
もともと、イエスの母・マリアには、ヨセフという婚約者がいました。しかし、結婚する前、つまり乙女だった時点で神の業によりイエスを身ごもります。
ヨセフの両親、はては村人たちまでも、マリアの不貞を疑い激しくののしりました。そして、不潔なマリアに罰を与えるために捕まえようとしました。
しかし、ヨセフは、決して不貞はしていないというマリアの言葉を信じました。そして二人は、追手から逃れるために、ある馬小屋に身を隠します。
陣痛が始まったマリアは、その馬小屋で男の子を出産します。その子がイエスであり、後に数々の奇跡で人々を救い、神の子と呼ばれるようになるのです。
ミトラ教とゲルマンの冬至の祭り
12月25日は『イエスの降誕を祝う日』という認識は、世界的に定着しています。しかし、そのような祝日へと至ったアプローチは、宗派などによって異なります。
古代ローマでは、太陽を祈りの対象とするミトラ教が広く信仰されていました。ミトラ教では、冬至の日に太陽は死に、その翌日に復活すると信じられてきたのです。
太陽の復活、つまり『太陽の誕生日』を祝う行事が、クリスマスの起源ともいわれています。そして、それが次第にイエス・キリストの降誕を祝うことに移行していったようです。
また、クリスマスは『ユール』が起源だとも考えられています。これは、ゲルマン人などによる冬至を祝うお祭りのことです。北欧では今でもクリスマスをユールと呼ぶ地方があります。
クリスマスやイブはいつを指す?
『クリスマス』や『クリスマスイブ』は、誰もが知っている言葉でしょう。しかし、それぞれがいつを指しているか、正確に知っていますか?
イブの意味とは
イブの語源は、『even』だといわれています。これは、夕暮れ時を指す英語の『evening(イブニング)』の古語にあたります。
本来、イブという言葉は、『前夜』の意味を持っていませんでした。しかし、使われ方が次第に変化し、現在では『前夜』あるいは『前夜祭』の意味で用いられています。
それゆえ、クリスマスイブといえば、クリスマスにあたる12月25日の前夜、つまり12月24日の夕方以降を指します。
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イブとクリスマスの時間帯
『イブ』が『前夜』に該当するとしても、なぜ12月25日だけではなく、前日の24日から祝うのか気になるところです。
少し複雑な話になりますが、イブは『前夜』として祝っているのではなく、クリスマスその日が到来したことを祝っているのです。
キリスト教の前身はユダヤ教です。そしてユダヤ歴では、一日の区切りは24時(深夜0時)ではなく、日没だとしています。
つまり、日が沈んだ瞬間に、イエス・キリストの降誕をお祝いする日が始まります。そのため、日没と同時にお祝いを始めるのです。
日本と外国のイブやクリスマスの過ごし方
ご馳走やケーキを食べてプレゼント交換をする、クリスマスにはそんな光景を思い浮かべるのではないでしょうか。改めて、イブやクリスマスの過ごし方を、日本、そして外国について見てみましょう。
日本の場合
日本は、キリスト教を信仰する人が比較的少ない国です。それでもクリスマスは、古くから親しまれています。
日本のクリスマスには、宗教的な意味合いは色濃くありません。それよりも、家族や恋人と過ごすロマンティックな日という印象ではないでしょうか。
ケーキは不可欠なものですが、イメージするのはイチゴのデコレーションケーキのようなタイプです。また、メイン料理としてまず思い浮かべるのはチキンでしょう。
ちなみに、日本でもかつては、冬至を祝う風習が各地に見られました。元々、古代ヨーロッパで冬至を祝う行事が起源であったことが、日本でクリスマスが広く普及した理由でもあると言われています。
欧米の場合
キリスト教文化が浸透している欧米では、社会の中心に教会という存在があります。そのため、イエス・キリストの降誕を祝うクリスマスは、教会で過ごしたり、家族そろって祈る場として過ごすことが多いのです。
一般的な家庭では、メイン料理には七面鳥を選びます。カモやガチョウのローストなどもポピュラーで、それらを切り分け、家族や親族がそろって食事をするのです。
ケーキについては、フランスやアメリカなどでは『ブッシュ・ド・ノエル』が振る舞われます。木の切り株に見立てたロール状のケーキです。
ドイツでは『シュトーレン』という、ドライフルーツを混ぜ堅く焼いたお菓子が人気です。そのように、それぞれの国に特徴を見出すことができます。
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文/編集部