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【リーダーはつらいよ】「上司として自分の知見でトラブルに対応できないことがコンプレックスでした」富士ゼロックス・鈴木祥子さん

2019.10.15

 上からは厳しい要求を突きつけられ、下の話を聞いて部下を育てて。課長の苦労は社内でなかなか理解してもらえない。愚痴は言えない中間管理職。世の中の課長さんたちは働く現場で何を考え、どんな術を講じているのだろうか。この企画は課長職に相当する中間管理職のつぶやきを紹介する。

 シリーズ第13回は富士ゼロックス株式会社 グラフィックコミュニケーションサービス事業本部 商品開発部 第二商品開発グループ グループ長 鈴木祥子さん(42)。GPM(ゼネラル・プログラム・マネージャー)という役割を担う鈴木さんの部下は27名。「27名の部下のうち4名を除いて全員が私より年上で、59才の部下もいます。20名ほどが技術系のメンバーで、それぞれエキスパートです。私は女性で、技術のバックグランドがない文系。そんな人がGPMの職に就くのは私で二人目」と、極めて珍しい。

課長職に匹敵するGPMの役割

 彼女のグループを簡単に説明すると、GPMの下に数名のプロジェクトチームリーダー(以下・PTL・商品化促進担当者)と、テクニカルプログラムマネージャー(以下・TPM・商品開発促進担当者)がいて、その下にそれぞれの社員が属している。

 商品開発部の仕事は、PTLとTPMがペアになり商品化を推進、商品の納期、コスト、品質を守り、市場導入後はトラブルの対応や商品の最終的な保守、修理までを担当する。GPMの鈴木はそれらすべての責任を負っている。商品の導入をはじめ、部署のプロジェクトをリードするのもGPMの役割である。

 現在、彼女の部署が主に扱っているのは17年秋に発売した6色のトナーを搭載し、多彩な色表現を薄紙から厚紙まで、様々な用紙やフィルムに1枚から印刷できるプリンターのインデッセプロダクションプレス。そして、昨年2月に発売した1分間に136枚の鮮明なモノクロプリントが可能なB9136ライトパブリッシャーだ。それぞれ標準価格が約5500万円と、約1500万円の商品で、共に主なターゲットは印刷業者である。

「イリデッセ プロダクション プレス」

「B9136ライトパブリッシャー」

「自信を持ってやりなさい」

 米国に留学していた鈴木が入社したのは98年。商品開発や技術に縁のない、マーケティングの部署で15年間仕事をした。途中3年間ほど上海に駐在し、アジア、パシフィック地域全般のマーケティングを担当、当時最新のカラープリンターの出荷量を伸ばした。

 マーケティングの活動の中で、商品開発に対する意見も多々持っていた。「PTLのポジションをやってみませんか」と、声をかけられたのは2012年だ。さらに責任の重い今のGPMのポストに就いたのは17年だった。技術が専門ではない自分が、年上の技術者たちと上司という立場で仕事する。

「自信を持ってやりなさい」それはGPMに就いた当初、いささか戸惑っていた彼女に大先輩がかけてくれた言葉だ。

「技術のわかる人だけが、この仕事をしているわけではない。課題を見つけ、それをクリアにして開発を推進していくのが仕事で、技術に関してはTPMが中心に担ってくれる」

 社内では過去に、GPMのポストで仕事をした女性が一人だけいた。「あなたもできるはずだ。頑張りなさい」という言葉は彼女の心に残っている。

 GPMとして鈴木が最初に取り組んだ大きな仕事は、業務用のデジタルモノクロプリンターだった。カラープリンターが全盛だが、モノクロのニーズも大きい。商品や業務用の機械のマニュアル、教材や副読本等にモノクロはコストが抑えられて使い勝手がいい。最新の業務用のモノクロの開発が社内で決定し、鈴木の部署が取り組むことになった。

 従来機より画像の質を上げ、様々な用紙に対応できる機器を開発したい。新商品もゼログラフィーという電子写真技術を使っているが、世の中はカラー印刷が主流だ。富士ゼロックスも5年ほど、業務用のモノクロプリンターの開発を手掛けてこなかった。その間にモノクロの機械に精通した技術者の何人かは、定年退職を迎えたり役員に昇進して現場を離れている。

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