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スピーカーの音質を、より向上させるためにスピーカーケーブルを変えてみませんか?ケーブルの素材・構造・シールドによっても、スピーカーの音質は大きく変化します。スピーカーケーブルの種類やつなぎ方とともに、おすすめの商品を紹介します。
スピーカーケーブルを変える理由
「スピーカーケーブル」は、『アンプとスピーカーをつなぐケーブル』のことです。音質にこだわって、音楽を本格的に楽しみたい人の中には、あらかじめ付属しているものではなく、新たに購入して変える人も多く見られます。
スピーカーケーブルを変えることで、どのような変化が起きるのでしょうか?『スピーカーケーブルを変える主な理由2点』を紹介します。
音質を変えるため
スピーカーケーブルを変える目的の一つが『音質向上』です。スピーカーケーブルを変えるだけで、なぜ音質が向上できるのでしょうか?
スピーカーケーブルはアンプからスピーカーへと信号を伝送する役割を担いますが、実は伝送する際、どうしても『信号のロス』が発生します。ケーブルを交換することにより、このロスを減らすことができるため、音質のクオリティを上げられるというわけです。
ロスを抑えるためには、『電気抵抗が少なく、より多くの信号を伝送できるケーブル』が必要になります。
そのため、付属のケーブルでは物足りなさを感じる人や、音にこだわる人は、スピーカーケーブルを変えて音質向上させています。
また、ケーブルの素材などの違いによっても、音質が変わるため、自分好みの商品を見つけましょう。
長さを延長させるため
もう一つの目的が『長さ』です。スピーカーは、左右の間隔をあけることで空間再現力が高まり、立体感のあるリアルな音が楽しめます。
比較的安いスピーカーに付属しているスピーカーケーブルは、あまり長くありません。そのため、スピーカー間の距離を保つために、長さが足りない場合もあります。
スピーカーケーブルの構造や素材の種類
スピーカーケーブルの構造や使われている素材はさまざまで、特徴も異なります。ここでは、初心者でも知っておきたい基本的な知識と代表的なタイプをそれぞれ紹介します。
スピーカーケーブルの構造
スピーカーケーブルの構造は大きく分けると『スターガット型・平行型・ツイスト型』の3種類です。
スターガット型は、『2組のプラスとマイナスの導線が交差するように配置』されています。ケーブルから導線を出す必要があるため、初心者には扱いにくいかもしれません。
平行型は、『プラスとマイナスの2本の導線が並んで』います。最もスタンダードなタイプなので、初心者におすすめです。外部の絶縁体の材質との組み合わせ次第で音質向上が望めます。
ツイスト型は、『2本の導線をねじって配置』されており、ノイズに強く振動に弱い性質があります。
スピーカーケーブルの素材
スピーカーケーブルに使用される素材には、以下のようなものがあります。
- TPC(タフピッチ銅):最もスタンダードな銅線、純度99.5%程度
- OFC(無酸素銅):TPCに混入している不純物を除去、純度99.995%
- Hi-OFC(ハイクラスOFC):電子の流れをスムーズにしたOFC
- LC-OFC(線形結晶無酸素銅):OFCの結晶が線方向に大きい
- PC-OCC(単結晶状高純度無酸素銅):結晶粒界が理論上ゼロ、純度99.996%
- 6N-OFC・7N-OFC(超高純度無酸素銅):6Nなら99.9999%、7Nなら99.99999%、最高は8N
- Ag(銀線):導体として理想と言われる銀を使用
- ハイブリッド導体:銅と銀などを組み合わせたもの
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スピーカーケーブルの選び方
目的や利用シーンに合ったものを選ぶことも重要なポイントです。せっかく購入しても、スピーカーに適合しえていないものや長さが足りなければ、使い物になりません。スピーカーケーブルの選び方4点を紹介します。
接続機器や端子に合わせて選ぶ
接続機器の端子に合ったものを選びましょう。スピーカーケーブルの端子には、『バナナプラグ・フォーンプラグ・スピコンプラグ』のほか、『端子なしやY字プラグ』などがあります。
バナナプラグ端子は、抜き差しだけで簡単に接続でき、接続するとプラグが360°接触するため、音質が安定しています。フォーンプラグは、ノイズが少なく劣化しにくいのが特徴です。サイズ展開も豊富にあり、音質も安定しています。
アンプなどの機器とスピーカーとの接続で使用される機会が多いのが、『スピコンプラグ』です。酸化しにくく、大出力にも耐えられます。さらにハイクオリティな音質なので、愛用しているプロも多いです。
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ケーブルの太さで選ぶ
スピーカーケーブルの太さで選ぶ方法もあります。スピーカーケーブルの太さは、太いほどに高音域に弱く、細いほどに音質に雑味が出てしまうため、注意しましょう。
ケーブルの太さはゲージ(AWG)で表されます。数値が大きいほどにケーブルは細くなります。特にこだわりがない場合には、基本であるスピーカーケーブルの太さ12~16ゲージを目安にすれば問題ありません。
用途に合わせた長さで選ぶ
用途に合わせた長さで選ぶのも一つの方法です。スピーカーケーブルの長さは、短い方が音の信号を伝送しやすく、より音質が高くなります。
ただし、短すぎると、端子が抜けやすくなったり、ケーブルに負担がかかったりなどのトラブルの原因にもなりかねません。
使い勝手が悪くならないように、スピーカーケーブルで接続機器とスピーカーをつないだときに、少しゆとりがある程度に抑えておきましょう。
素材や構造で選ぶ
最もポピュラーな銅は、『低音に強く、高音に弱い』特性があります。やわらかい低音が好みの人に最適です。また、銅の中でも「Hi-OFC」はクリアな音質、「Low-OFC」はダイナミックな音質など、種類によって違いがあります。
銀は、銅よりも低音は弱いですが、クリアな高音が楽しめます。そのため、低音より高音の音質にこだわる人に向いているでしょう。
銅と銀の複合型は、高音域が弱いという銅のデメリットを、銀を組み合わせることでバランスのいい音質に仕上げています。
また、スターガット型は、重厚感あるサウンドが楽しめます。音質よりも取り扱いやすさを重視する人には「平行型」、ノイズに強くクリアな高音を楽しみたい人には「ツイスト型」がおすすめです。