小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

マト1か?マト4か?名作「クリムゾン・キングの宮殿」のレコード盤聴き比べ

2019.09.23

僕がまだ20代だった『FMレコパル』在籍時以来、40年近くロックとオーディオの師である音楽プロデューサー・岩田由記夫さんと僕で、「レコードの達人」というイベントを2か月に1度開催している。さる8月10日の試聴メニューのひとつが、キング・クリムゾンの歴史的名作『クリムゾン・キングの宮殿』聴き比べだった。

『クリムゾン・キングの宮殿』。

このアルバム、A面マト2B面マト2=A2B2が“マト1”(マト1についてはこちらの記事を参照https://dime.jp/genre/484074/)で、市場価格は10万円ほどだ。A面マト2ながらB面は“マト1”とは呼べないマト4の、A2B4なら2万円ほどとかなり安い。この価格差はもちろんB面のマトが違うからで、マト2がマト4より音がいいのは、マト1収集家の間では“常識”だ。

2015年、まだマト1初心者だった僕は「eBay」でA2B4を15540円で購入、音の良さに満足していた。当時A2B2は都内の中古レコード店で6~8万円ほど、とても手が出ない。「eBay」にも少なからぬ出品があったが、落札価格は日本市価と同程度かやや安いくらいと、高嶺の花だった。

マト2を示すB2の刻印。

マト4を示すB4の刻印。

だがある時「eBay」で、開始価格が安い出品を見つけた。レコードの状態評価はジャケット/盤の順で、EX+/EX+と極上(評価記号については後述)だ。上限金額(忘れてしまった)を決めてダメ元で入札したら38452円で落札でき、“お買い得感”をたっぷりと味わった覚えがある。実物の状態は評価通り上々、ジャケットは綺麗で、ピンクI(アイ)と呼ばれるレーベルはA2B4より遙かに美しく、音もさすがは両面“マト1”、A2B4とは違うと大満足したものだ。

左がB2、右がB4。B4がB2より色が薄いのは、長年の“焼け”が原因かもしれない。

というわけでA2B2とA2B4を所有する僕は、「レコードの達人」でB2とB4を聴き比べて、マト1がいかにいい音かを参加者の方々と実感しようと思い立った。実はそれまでB2>B4は自明すぎて聴き比べたことはない。だがさすがにイベントを前に、聴き比べないわけにはいかないと聴き比べて愕然とした。

代表曲「クリムゾン・キングの宮殿」、直感的にマト4の方が音がいい。イントロの唸るようなベースの響きが遥かに深く、“ロック感”が強いのだ。何度聴いても、そう聴こえる。そんなバカな!? そこでどちらもA2の「21世紀のスキッツォイド・マン」を聴き比べる。やはり、A2B4の方がいいような気がする。A2B2は聴き込まれていて、盤の状態が悪いのか? 聴き比べるまでは、思ってもみなかった。見た目は真っ黒・艶々で傷もほとんどなく、まさにEX+なのに……。

かくなるうえは“マト1”をもう1枚手に入れて検証しようと、久しぶりに「eBay」でA2B2を探した。あの頃は探す度に10枚近い出品があったと記憶するが、今回は2枚だけだ。1枚は即決価格GBP580(約75000円)、もう1枚は同GBP399(約51000円)。前者の評価はVG++/EX-、後者はEX/EX+~NMだ(VGはVery Good、EXはExcellent、NMはNear Mintの略で、この順に評価は上がる。盤は未試聴、見た目だけの評価であることも多い)。GBP399のほうが安くて評価も高いが、評価は出品者本人によるので客観的ではない。参考程度と思った方が、購入してからの後悔は軽減される。

歴史的名盤は複数枚所有。上左からA2B2、A2B4、USマト1/CP工場、下左からUSマト1/PR工場、発売当初の日本盤、2010年リマスター重量盤。

そしてどちらにも、「Best Offer」表示があった。「Best Offer」とは購入希望者が出品者に、「この値段なら買うので、値下げして」とリクエストを出せるシステムだ。諾否は、出品者次第。客観的に考えて、「半額で!」に応じる出品者はいまいが、「5%安く!」に「NO」という出品者もいないだろう。僕は経験上、レコードの場合は10%ならまず「OK」、20%では微妙と捉えている。

即決価格が安く状態の自己評価も高い、GBP399に「Best Offer」してみることにした。出品者に対する購入者2752人からの評価は100%ポジティブなので、EX/EX+~NMに大嘘はないはずだ。

問題は、いくらで「Best Offer」するか。どうしても欲しければ10%が無難ながら、今回は半ば“衝動的買い増し”だ。“NOならNOである意味LUCKY”と割り切り、約20%オフ=GBP350でオファーした。すると、間を置かず「OK」。やった! 約45000円! 4年前に買った値段、約38000円と大きな差はない!(なお価格交渉は5回まで可能なので、極論すればまずは50%オフを提示→NO、40%オフ→NO、ならば30%オフ→NO……と探る手もある)

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。