今回の試乗では、アクアラインを含む高速走行比率が多かったのだが、標準車にして高速直進性はもう抜群と言っていい。80km/h走行でもステアリングの座りは文句なく、ビシリと直進。カーブでのステアリングの反応こそ、15インチタイヤを履くカスタムターボほどではないにしても、抜群の安定感もあって、あらゆるシーンで安心感たっぷりの運転を楽しめそうだ。気になる実燃費は、高速70%、一般道30%、エアコンON、ECON ONで20.6km/Lと、ハイブリッドカーいらずとも言える好燃費だった。
新型N WGNの魅力はそうしたデザイン、居住性、荷物の積載性、走りだけではない。実は、先進安全支援機能=ホンダセンシングの最新バージョンを全グレード!に標準装備。自動ブレーキは夜間の歩行者検知機能を高め、横断自転車をも検知できるようになったのだ。また、その機能に含まれるACC(アダプティブクルーズコントロール)の作動域が、ホンダ軽初の渋滞追従型となり、0~135km/hにアップグレード。車線維持支援システムとの合わせ技で、半自動運転的なクルージングも可能になるというわけだ。ここだけの話、ACCの60km/hから80km/h程度の自動再加速性能は、ステップワゴンよりいいほどなのだから頼りになる。
また、ホンダアクセスが用意した純正インターナビの装着で、スマホ接続によるオペレーターサービスも利用できるのだから、なにかと心強い。
新型N WGNの標準車は、そのホンダセンシング、ACC付きでなんと127万円台からの価格設定。これまでN BOX一強のホンダNシリーズに新たな旋風を巻き起こすことは間違いないだろう。子育て世代やスライドドアが必要ならN BOX、そうでなければN WGNというすみ分けが、しっかりできているから選びやすくもある。なお、新型N WGNのカスタムターボモデルについては、別途、試乗レポートをお届けしたい。
ホンダN WGN
https://www.honda.co.jp/N-WGN/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。