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社内で「あの人、ラインに乗ってるね」といわれる人物の共通項

2019.09.03

■連載/あるあるビジネス処方箋 

前回、「配置転換」を取り上げたが、今回は人事異動と表裏一体とも言える昇格を始めとした「人事の処遇」をテーマにしたい。特に「ラインに乗っている人」を中心に私の考えを述べよう。この場合の「ライン」とは、私が取材をする人事コンサルタントらが時折、口にする言葉である。「軌道に乗っている」と言う人もいる。明確な定義はないのだが、次のようなことを意味しているのだと私は思う。

・20代後半から30代前半の時点で、特に処理能力が高いために「仕事が安定している」と上司から評価される。

・30代前半から後半にかけて、明らかに予算や関連する人数が大きなプロジェクトの担当になる。同世代の中では目立つ存在となり、部長、本部長、役員たちの耳にその活躍の様子が入る。

・30代半ばから40代前半にかけて、部下を持つ管理職(通常は課長)に昇格。昇格後も同世代と比べて高い実績を残す。会社が力を注ぎ込むプロジェクトなどのリーダーにもなる。

・40代半ばから50代前半で、部長、執行役員や本部長などになる。その後、役員になるか、グループ会社の社長や役員になる場合もある。

 これらのキャリア形成は俗に言う「出世コース」と言えるのかもしれないが、それよりは該当する社員の範囲がやや広く数も多いのではないかと思う。いずれにしろ、部下がいない管理職や40∼50代で、一般職(非管理職)の社員とは大きく異なるはずだ。中小企業では人事の仕組みが整っていないためにラインを作ることが難しいが、中堅・大企業の多くでは何らかの形でラインを設けているものだ。そうしないと、この規模の会社はスムーズに機能しない。

 「配置転換」を切り口に観察すると、「ラインに乗っている人」のキャリアが周囲にも見えてくるはずだ。例えば、私が2015年に人事労務の雑誌で取材した社員の略歴を紹介しよう。特定できるかもしれないので、一部を加工したことをご理解いただきたい。当時38歳で、大手メーカーに事務職として勤務していた。「東大卒」ということもあるのか、同世代の多くの社員が歩んでいないキャリアに私には見えた。

■1977年、名古屋市生まれ。96年、高校卒。同年、東京大学工学部入学。2000年卒業。同年、東京大学大学院に入学。02年、修了。同年、A社に入社。営業企画部に配属。06年、本社へ異動となり、IR部に配属。2010年、海外研修(1年間)。11年、人事部へ異動。12年、中央省庁へ出向(2年間)。14年、総合企画部門へ異動。15年、課長に38歳で昇格。

私がまず着眼したのが、02年に営業企画部に配属されたことだ。同期生(事務職)の8割以上は営業部に配属だが、男性は営業企画部だった。主に営業に関する戦略を練るようだ。いわゆる、顧客訪問をする部署ではない。

次に目をつけたのは、4年後に本社に異動したことだ。同期生では、4年で本社に戻るのは相当に少ないという。その後、2010年に海外研修、12年、中央省庁へ出向、15年に38歳で課長になる。これらのキャリア形成は、大半の同期生と明らかに異なるようだ。

このようなステップを踏むためには、社内の誰かが動いている可能性が高い。「誰かが動く」ことを、私が取材する人事コンサルタントは「人事の妙」「人事の手が見える」「引っ張り」と言う。上司である課長や部長、本部長、担当役員が、「あの社員をうちの部署で課長にさせ、このプロジェクトをまかせてみたい」などと人事部や人事権を持つ役員に働きかけるようだ。いわゆる、「抜擢人事」や「ハンティング」とも言える。そして、人事異動をさせる。

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