酒と肴とジャズを愛する呑兵衛漫画家・ラズウェル細木さんによる漫画と共に、宝酒造がこだわる焼酎の魅力を全5回でお届けする「おたからショーチュー・タイム」。
第2回は1977年に発売されて以来、累計販売本数11億本(720ml換算)を超えるロングセラーブランド宝焼酎「純」をご紹介。
「純」には宮崎県・高鍋町にある黒壁蔵の“樽貯蔵熟成酒”約85種類から選び抜かれた11種類が13%使用されている。この絶妙な黄金比率によって、ほかにはないすっきりとした特徴を残しながらも、まろやかな口当たりと、芳醇な味わいがしっかり感じられる、と評価の高い人気の焼酎だ。現在はアルコール度数20度、25度、35度の3タイプが発売されている。
度数が違うと、アルコール感だけでなく、風味も違う。好みに合わせて選べるのもうれしい
「純」の開発が始まったのは1960年台後半。戦後の物資不足を背景に粗悪な焼酎が横行し焼酎のイメージは低下、その後に続いた高度成長期のビール・ウイスキーの台頭によって焼酎の消費量は減少。どん底といってもいい状態だった。
焼酎不遇時代を吹き飛ばし、焼酎を復権する。
「純」はそんな執念とも呼べる信念のもとに生まれた、宝酒造の甲類焼酎を代表する一本なのだ。
宝酒造は、目指す高品質な焼酎を生み出すため、大麦、トウモロコシなどさまざまな原料を試した。そのうえ、蒸留方法や貯蔵方法についても、ありとあらゆるものを試し、何度も試作が繰り返されたという。焼酎メーカーの誇りをかけたその開発期間は、じつに10年もの長きにわたった。
そんな試行錯誤の日々を繰り返す中で生まれたのが、宮崎県・高鍋町にある黒壁蔵の約2万樽に及ぶ“樽貯蔵熟成酒”なのだ。
この樽の中には、製造に携わった技術者たちの長年の叡智と技術が詰まっている
原料、発酵、蒸留、貯蔵、精製をさまざまに組み合わせた約85種類、約2万樽に及ぶ熟成酒は、味はもちろん口当たり、香り、後味などがそれぞれ微妙に異なる。これを「純」に使用するためにブレンドするのはブレンダーと呼ばれる技術者たちだ。
先人たちの残したレシピをもとに、11種類をブレンド。言葉で表すと簡単なようだが、製造年はもちろん、樽によっても微妙に品質が違ってくる貯蔵熟成酒を使用し、“いつもの「純」の味”にブレンドするには、熟練の技と研ぎ澄まされた感性があってはじめて成し得るのだ。
そのためには、約2万樽の貯蔵熟成酒の味や特質、ブレンドによる風味の変化まで知り尽くしていなければならない。
先人たちの残した貴重な“樽貯蔵熟成酒”と、求める味に仕上げるブレンド技術。このふたつがあってはじめて宝酒造の焼酎は、ほかにない味わい、香りを持たせることができる。その原点ともいえる「純」が40年以上にわたり愛され続けているのも当然なのかもしれない。
味や風味、香りの違いはもちろん、色の濃さまで違う
10年という開発期間の中では、世界的な価値観の変換も起こった。1974年、アメリカで起きたホワイトレボリューション(白色革命)と呼ばれる現象もそのひとつだ。無色透明なウォッカやジンをベースに、さまざまな飲料をミックスする飲み方が流行。
アメリカの国民酒であったバーボンウィスキーの消費量をウォッカが抜き、これを皮切りに無色透明なお酒が世界中を席巻した。
もちろんその波は日本にも上陸。満を持して発売された「純」は、初年度から70万ケースを売り上げる大ヒットを記録したのだ。
発売当時、人口の過半数を超えていた戦後生まれの若者たちに受け入れられるよう、味だけでなく、デザインやCMにもこだわった。
焼酎といえば一升瓶に入っていた時代に、クリスタルを思わせるスクエアボトルを採用し、商品ロゴをダイレクトプリント。CMには当時若者に絶大な人気を誇った、デビット・ボウイやシーナ・イーストンといった世界的アーティストが起用された。
こうした試みで、これまでの焼酎のイメージを一新することに成功した「純」。売り上げは右肩上がりに増え続け、1980年代には空前の焼酎ブームを巻き起すほどに成長した。
スタイリッシュなボトルとロゴのデザインが当時の若者たちの心をつかんだ
昨今、ますますニーズの細分化が進むなか、その“樽貯蔵熟成酒”とブレンド技術によって、細かなニーズにこたえる宝酒造。次回は、そんな宝酒造独自の技術によって生み出される、さまざまな商品を紹介しよう。
商品概要
宝焼酎『純』720ml
<20度>651円
<25度>748円
<35度>866円
※すべて消費税抜き
「純」ブランドサイト
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/
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マンガ/ラズウェル細木
1956年山形県出身の漫画家。
『酒のほそ道』『風流つまみ道場』など、酒とグルメを題材にしたマンガを多数手掛け、多くの読者に支持されている。ジャズにも造詣が深い。
文/内野智子