自分の席に座った後、シートベルトを着用するのだが、進行方向に向いているシートは通常のシートベルトとなるが、逆向きシートの場合は3点式のシートベルトとなり、自動車のシートベルトに近い感じとなる。出発準備が整い、いよいよプッシュバック(けん引車によって自力走行できる場所までの移動)が始まった。通常はバックになるが、逆向きシートに座っているので前進していたのが不思議な気分であり、逆向きシートに乗っていることを実感させられた。けん引車が外され、滑走路へ向けての移動が始まったが、逆向きシートの違和感はなく、電車のボックス型の逆向きに座っているのと感覚は変わらないというのが率直な感想だ。そしていよいよ離陸。スピードが加速するにつれ、今までにない感覚があった。G(重力)を感じ、少し前のめりになりながら離陸。客室乗務員(CA)は基本的に逆向きに座っているので、CA気分を味わっている気分になった。そして飛行機は滑走を離れて離陸した。離陸の際にわずかな時間、前のめりが続くのかと思いきや、1分も経たないうちに上昇はしているが、体の感覚は通常通りになっていた。それ以降は着陸まで全く逆向きであることを感じることはなかった。
フライト中は、今までにないほどパーソナルな時間を過ごすことができた。まず離陸後の食事の際には、食事用のシートポジションにすることで座位が上げられるようになり、食事に適したポジションでゆっくり機内食を堪能できた。今回の「THE Room」の目玉は、扉付きのシートであるが、食事中は2つある扉のうち1つだけ閉めておくのがベストだった。プライベート空間を確保しつつも客室乗務員がサービスしやすいからだ。逆に食事以外の時間は完全に閉めることで完全なプライベート空間が完成する。
座席の位置は電動でボタン操作をすることで好きな位置に合わせられる
扉を完全に閉めることでプライベート空間が完成する(内覧会時に撮影)
食事を終えた後、完全フルフラットベッド状態にしてみた。座っている部分の横幅は、従来機の2倍で、フルフラットにした場合のベッドスペースの広さは従来機の1.3倍の広さが確保されている。フルフラット状態にした後、マットレスを敷くのだが、この時点でベッドでありながら、自宅のリビングのソファに座っている気分になった。ソファベッドとは異なるが、ベッドとソファが一体化しているという感じだ。従来は睡眠する時だけフルフラット状態にして、映画を楽しんだり、パソコンで仕事をしたり、ゆっくり本を読みたいときなどは座席状態に戻していたが、「THE Room」では、足を伸ばすことはもちろん、あぐら状態でリラックスした時間を過ごすことができた。これは画期的なことであり、機内での過ごし方が大きく変わったことを実際に利用して実感した。