僕は寒さに強い。高3まで住んでいた故郷、栃木県宇都宮市の冬がとことん寒いからだ。しかるに僕の出身高校には、ストーブがなかった。当時既にエアコンがあった、わけではない。だから大学生になって東京で初めて冬を迎えた時、みんながコートを着ているのが不思議でならなかった。こんなに暖かいのに……。60歳を過ぎた今でも、雪の日でもない限りコートを着ない。そのかわりカイロを忍ばせている、わけではない。
だが、エアコンには弱い。真夏はTシャツ1枚で出かけるが、地下鉄の冷房からして肌寒い。デパートや映画館、レストランなど、エアコンが効いているところに行く場合は、必ず薄手の上物を持参する。
逆に言えば、真夏の暑さには強い。去年は一度も、今年も8月1日までは、窓や戸は全開ながら、寝るときにエアコンをつけなかった。去年は起きると汗だくだったが、今年はそうでもなく、今夏の夜は涼しいと思っていたくらいだ。
ところが7月末、さるテレビ番組で“熱帯夜はエアコンを入れて薄手の羽毛布団をかけ、頭寒足熱で眠るのが健康にいい”という専門家の話を聞き、その夜からエアコン・オンにした。なにせ10月で63歳、一昔前なら立派な老人の域なので、健康第一だ。
エアコンのモードは「ドライ」。「ドライ」の設定温度が何度かは、家のリモコンに温度表示が出ないので不明だ。だが僕は基本的に昼間の冷房温度は26.5度にし、寒くなると「ドライ」にして“暖まる”ので、27度以上だと思う。
睡眠中にエアコンを入れると、さすがに汗もかかず快適に眠れた(熟睡度は変わらない)。だが導入4日目の8月5日朝、目が覚めると喉に軽い痛みがある。エアコンが原因と即断した。その夜からエアコン・オフの熱帯夜睡眠に戻り、喉は悪化することなくすぐに回復した。