人生経験が豊富でお互いが自立している熟年カップルの再婚は、幸せをつかめると言われています。しかし、遺産相続やお墓の問題など、熟年だからこそ直面する問題があるのも事実。この記事では、熟年再婚の実情や、熟年カップルが幸せになるために気を付けたいポイントを紹介します。
熟年再婚のメリットと、熟年再婚だからこその難しさ
熟年再婚が幸せになれると言われている要因は、「子供の独り立ちや退職・体力の低下などで寂しさを感じやすくなるから」「人生経験が豊富なため、お互いが自立している」「相手に癒し以上の多くを求めない」などが挙げられます。
実際のところ、近年の熟年再婚率も上昇傾向にあります。
50代の再婚率はどのくらい?
まずは、熟年の方の再婚率を見ていきましょう。
「熟年」の明確な定義はありませんが、一般的に45~65歳と考えられています。本記事では、コア層である50代の数値を紹介します。
国立社会保障・人口問題研究所の調べによると、1990~2017年の再婚率の推移は以下の通り。
■50~54歳男性:1.24%(1990年)、1.68%(2000年)、1.80%(2010年)、1.85%(2017年)。2017年の再婚件数は7472件。
■55~59歳男性:0.86%(1990年)、1.30%(2000年)、1.23%(2010年)、1.33%(2017年)、2017年の再婚件数は4995件。
■50~54歳女性の再婚率は0.72%(1990年)、1.10%(2000年)、1.15%(2010年)、1.39%(2017年)、2017年の再婚件数は5536件。
■55~59歳女性は0.36%(1990年)、0.69%(2000年・2010年)、0.80%(2017年)、2017年の再婚件数は3017件。
【参考】国立社会保障・人口問題研究所『結婚・離婚・配偶関係別人口(2019年版)』
熟年再婚ならではの難しさとは?
熟年再婚は幸せになれると言われている一方で、熟年同士の再婚だからこそ直面する問題も。代表的なものが、「介護問題(老老介護)」「遺産相続」「お墓の問題」です。
お互いの親に介護が必要になる場合やパートナーに介護が必要になる可能性は、若い夫婦よりも熟年カップルのほうが高いため、介護に関してはまず考えておきたい問題です。いつその日が来てもお互いの意思にズレがないよう、あらかじめ話し合っておくことが大切です。
さらに、「遺産相続」「お墓の問題」も再婚前にクリアしておきたいポイント。
再婚するとパートナーとの間に相続権が発生するため、前のご家庭(前妻・子供)とトラブルになることがあります。備えあれば患いなしなので、お互いに遺言書を用意しておくと安心です。
また、パートナーが実家のお墓を継いでいる場合や、前妻と死別して位牌などを所有している場合、パートナーが亡くなったあとにそれらを自分で引き継ぐか、相手のお子さんに引き継いでもらうか考えておく必要があります。自分がパートナーの実家のお墓に入るかどうかも意思表示しておきましょう。
【関連記事】パートナーと死別してから再婚するまでに押さえておくべきこと
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子連れ再婚の難しさは「子供との関係づくり」にある
子連れ再婚においては、相手のお子さんといかに良好な関係を築くかが大切。
熟年再婚の場合、子供が大きくなっているケースが多いので、新しいパートナーと「新しいお父さん」「新しいお母さん」として接するのは難しいかもしれません。
そういった時は無理に親子関係を築こうとするのではなく、「お父さんのパートナー」「お母さんのパートナー」として、一定の距離感を持って接するというのもひとつの手でしょう。
【参考】子どもへの報告から必要な手続きまで!子連れ再婚で幸せになるためのヒント
50代同士の再婚でも子供に相談を
50代同士の再婚となると、成人したお子さんがいる方も多いはず。しかし、例え成人していたとしても、再婚時には一言相談するようにしましょう。
再婚は、当人同士の気持ちだけで進められるものではありません。特に熟年再婚の場合は、前述した遺産相続やお墓の問題もあるので、その点も考慮することが大切です。
熟年再婚、失敗!? 後悔しないために気をつけたいポイント
熟年再婚で生じ得る問題は先ほど説明した通りですが、再婚後に後悔しないために気をつけたい注意点はまだまだたくさんあります。これらは熟年再婚のみならず、初婚の方や若いカップルにも共通するポイントです。
熟年再婚で後悔しないためにお互いの価値観を確認
「お互いが自立していること」は熟年再婚の利点ではありますが、お互いの生活スタイルや価値観が確立しているからこそ、相手との相違に耐えられなくなってしまうことがあります。できれば再婚前に同棲するなどして、お互いの価値観について入念に確認しましょう。
仕事や子育てを終えたのちの再婚は、いわば第二の人生のはじまりです。2人で一緒に楽しめることを見つけたり、どのような家庭を築きたいのかを考えることも大切です。
なお、若い頃に仕事に邁進していた方の中には、家事が苦手という人も。だからといって再婚相手に家事を任せすぎず、家のことは2人で協力して行なうようにしましょう。
シニアとの「歳の差再婚」で起こり得る後悔とは
歳の差カップルの場合、加齢による相手の衰えを実感して理想と現実のギャップに耐えられなくなってしまうケースがあります。さらに、介護疲れや価値観の相違(子供が欲しいかどうかなど)も再婚後に後悔してしまう原因として挙げられます。
熟年再婚前に年金制度について知っておくと安心
結婚において避けては通れないお金の問題。
熟年再婚を考えている方は、「加給年金制度」をはじめとする年金制度についても調べておくと良いでしょう。
加給年金制度は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳に到達した時点で、その方に生計を維持されている配偶者または子がいる場合に加算されるというもの。
こういった年金制度を利用するととても便利ですが、届け出が必要な場合がほとんど。詳しくは日本年金機構の公式サイトなどで確認しましょう。
熟年再婚の前に「遺族年金」についても確認を
カップルのいずれか、あるいは双方が前のパートナーと死別している場合の再婚で注意したいのが「遺族年金」。パートナーが亡くなった時に配偶者や子供に年金が支払われるという制度ですが、再婚すると受給できなくなります。
【参考】遺族年金(日本年金機構)
熟年再婚したカップルにおすすめのお祝いは?
高級夫婦箸やバスタオル、ペアグラス、カップ、湯呑み、お花といった結婚祝いの定番アイテムは、熟年カップル宛てのプレゼントとしても人気が高いです。また、「夫婦で時を刻む」という想いを込めて置き時計を贈る人もいます。
熟年再婚の場合、結婚式を行わないカップルも多いため、名入りのものをプレゼントすると記念になるので喜ばれるでしょう。
また、熟年の方は好みがはっきりしているので、カタログギフトやペアお食事券をプレゼントするというのもおすすめです。
※データは2019年7月末時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
文/bommiy