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【リーダーはつらいよ】「人は育てなくても育つもの。ただし野放しはダメ」ローソン・坂本眞規子さん

2019.07.31

細かいヒットを重ねていきなさい

やりたいようにやらせるといっても、野放しではない。特に店舗勤務を終了し、商品部を志望してMDになったばかりのスタッフには細かく指導する。新人は「私が好きな洋菓子店で、こんな物が売れているから、それと同じモノを作ってみたい」という気持ちが強い。でも、自分の想いだけで商品化できるほど甘くはない。製品、価格、流通、販売促進に沿うようにして話を詰めていく。

「女性がデザートとして食べられる菓子パンを作りたいんです」
「大きさはどうするの?」
「小さくても満足感がある仕立てにしたい」
「フワフワしているモノは、量を食べないと満足感が得られない」
「女性に人気のあるチーズケーキ風はどうでしょう」
「チーズケーキ風でギュッとした商品にするなら、ふつうの菓子パンじゃないよね」

大手製パンメーカーには蒸しパンの製法で、パンをフワッとさせずに仕上げる技術がある。女性はモチモチとか、シットリという食感が好きだ。「ジュワッととろける感じにしたい」と、新米MDは北海道産のクリームチーズにこだわった。

「くちどけ濃厚チーズ」の発売は一昨年夏。定価は150円。コンビニの菓子パンの価格帯は100〜150円だ。関東限定販売だったが、話題になった商品だった。

かくいう彼女自身も、MDになった当初は「これはあの洋菓子店で売れています。こっちはあのベーカリーで売れていますから、作らせてください」と、上司に提案をしたことがある。「気持ちはわかるけど、イチかバチかを狙ったら、コンビニの商売にはならないよ」当時の上司には、そう諭された。

「バスチー」や「はみでるメンチカツバーガー」や「くちどけ濃厚チーズ」等、ホームラン級のヒット商品の開発は1年に1回程度でいい。今の部署はデザート、サンドイッチ、菓子パン等の調理パンを合わせ年間、およそ400アイテムの新製品を作る。自分の想いより、なぜ売れたのか、そしてなぜ売れなかったのか。新商品を一つずつ分析し、論理をつなげるようにして、細かいヒットを重ねていきなさいと。上司にはそう教えられてきた。

週に10アイテムほど出す新商品を全部、店舗のオーナーに勧めることはできない。そこで、重点的に売りたいものを決め、「今週の自信作です!」とか、店舗を指導するスーパーバイザーの人たちにアピールをする。

スーパーバイザーへのトークは自信があっても、未だにいわゆる“ほう・れん・そう”には、弱いところがあると坂本は感じている。先日も「お盆明けは昨年以上に売っていきたい。一種類で10個ぐらい売れる調理パンを入れてくれ」という指示をすっかり忘れていて、運営本部から大目玉をくらった。

その点、直属の上司であるデイリー部の女性部長のコミュニケーション能力には、感心させられる。この上司は少しでも不明な点があると、発信した人の元に足を運び、相手の意図は何かを把握する習慣があるのだ。だから上司の指示には不明瞭な点が一切ない。

これからの時代、AIの加速に伴いコンビニの業態は大きく変わる。彼女はそれを支えていくスタッフの一員でありたいと思っている。変化にどう自分自身を合わせていけるか。コミュニケーション能力は問われているが、会社員人生の後半が楽しみではある。

坂本眞規子、43才。夫と2人暮らし。大ヒットしたプレミアムロールケーキの生産に携わっていた時期もある。彼女の部署が開発した「バスチー」は、「プレミアムロールケーキ」以来の大ヒットと評せられるが、夫は「プレミアムロールケーキ」も「バスチー」も食べたことがないそうだ。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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