最後に乗った「ベローチェQ4」で衝撃を受ける
電動化など、各社が躍起になっている、いわゆる“CASE”と呼ばれる新技術へのアプローチが聞こえてこないのも、この時代ちょっと不安になってくる。4台の他に、実は最後にもう1台「ジュリア」に乗った。「ベローチェQ4」というスポーティー版で、これだけ左ハンドルだった。
走る前から驚かされた。ステアリングホイールの握り具合から始まり、シートの掛け心地をはじめとするドライビングポジションがかなり違うのだ。エンジンも排気量は2.0L、4気筒と変わらないが、280馬力と高出力である上に、さらにレスポンシブルに感じた。箱根ターンパイクを、先ほど乗ったばかりの右ハンドルの「ジュリア」よりもさらにスポーティに駆け抜けたのだ。
「いいじゃないか!」
思わず、誰も乗っていないのに口にしてしまった。ハンドル裏側に生えている異例に大きなアルミ製パドルを引いてマニュアルシフトしながら、ターンパイクを上り降りしているとスポーツカーと変わらない運転の喜びが沸き起こってきた。こんなにダイレクトに運転が走りっぷりに反映される4ドアセダンは近頃珍しい。「ジュリア」は左ハンドルの「ベローチェQ4」で決まりだ。白眉そのもの。真骨頂そのもの。CASEなんて、もうどうでも良くなってくる。
聞けば、「ベローチェQ4」は「ジュリア」シリーズの中で、日本ではこれまで1割以下しか選ばれていないのだという。510馬力もの高出力V6ツインターボエンジンを搭載した、1139万円もする「クワドリフォリオ」というトップモデルでもないのに、あまり選ばれていないらしい。
実に、もったいない。
「ジュリア」の購入を検討している人は、ぜひ左ハンドルの「ベローチェQ4」に試乗することをお勧めしたい。もちろん、他の4ドアセダンを考えている人にもだ。
■関連情報
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https://www.alfaromeo-jp.com/models/giulia/veloce/
文/金子浩久(モータージャーナリスト)