返還の対象となる借金は？過払い金の有無を計算する方法

過払い金とは、「払い過ぎた借金の利息」のことを指す。払い過ぎだけに、請求すれば戻ってくるお金だが、そもそも過払い金があるのかわからなければ、請求のしようがない。最初から専門家に依頼するのもいいが、その前に自分で確かめたい。

この記事では、過払い金の有無を確認する方法と、その金額の計算をテーマに解説する。

【参考】過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼すると費用はいくらかかる？

過払い金はどうすればわかる？ 計算方法を紹介！

過払い金は、実は自分で計算できる。それほど難しくないので、以下にその方法を紹介しよう。

過払い金の計算式はこれ！

そもそも過払い金とは、「利息制限法」が定める上限金利を超えた金利で借りた借金を返済していた時に生じるものだ。よって、これを算出するには、まず利息制限法で定められた金利で利息の計算をやり直す。そして、超過分の利息を順次、元本の返済に充当していく。この計算のやり直しのことを「引き直し計算」という。

引き直し計算をすると、ある時点で借金が完済されていたはずなのに、その後も返済を続けていた事態になることがある。この、払い過ぎた利息こそが過払い金なのだ。

仕組みとしてはそう複雑ではないが、上記の計算を毎月ごとに電卓を使って再計算して、過払い金を導き出すのは現実的ではない。そこで頼りになるのが、引き直し計算専用のソフトだ。

簡易的な計算ならこれで十分？ 過払い金計算機

いくつかの法律事務所では、「過払い金計算機」というツールを公開している。これは借り入れ金額や返済期間を入力すると、過払い金の目安となる金額が表示されるというもの。ザっとどれくらいの金額が返ってくるのかを知りたい時などには、役に立つだろう。

ただし、この計算はあくまでも簡易的なもの。実際に請求可能な金額とはズレることもあるので注意したい。

過払い金の計算、現在はエクセルで行うのが主流！

より正確な過払い金の有無・金額を知りたい場合は、計算ソフトを使うのが一般的だ。計算ソフトには無料で使えるもの、有料のものなど各種存在する。

よく使われる過払い金計算ソフトはどんなもの？

この記事では、エクセルを用いた人気の過払い金計算ソフトを2つ紹介する。

1つは外山式と呼ばれるソフト。もう1つは名古屋式と呼ばれるソフトだ。外山式は、司法書士の外山敦之氏によるもので、アドリテム司法書士法人のホームページで公開されている。名古屋式は、名古屋消費者信用問題研究会によるもの。こちらも、同ホームページで公開されている。

【参考】アドリテム司法書士法人HP

名古屋消費者信用問題研究会HP

無料で使える！ 過払い金の計算ソフト

上で紹介した外山式、名古屋式の計算ソフトは無料で使える。パソコンとエクセルさえあれば、ダウンロードして直ぐに使えるので、ぜひ試してみて欲しい。

引き直し計算の代行サービスがある！

計算ソフトは無料で使えるが、返済日や返済額などを1つ1つ入力するのはかなり面倒だ。計算ソフトを使う自信がない、入力する時間がない人には、入力を代行してくれるサービスがおすすめだ。

代行サービスは有料だが、過払い金が発生した際の請求手続を依頼することを前提に、無料あるいは格安の料金で引き受けてくれる法律事務所もある。引き直し計算が面倒な人は、検討してみてもいいだろう。

過払い金返還の対象となる借金はどれ？

上述したように過払い金が発生するのは、利息制限法が定める上限を超えた利息で借金をしていた場合だ。法定内の利息を払った借金は対象外となる。

過払い金返還はどんな人ならできる？ 対象者を知る

利息制限法に違反する金利で借金をして返済を終えた人はもちろん、現在返済中の人も対象になる。

ただし、時効になっていれば請求できないし、返済中の人の場合は、過払い金を清算してなお借金が残ればブラックリストに載ってしまう。この場合は、あえて請求を控えるのも1つの手なので、専門家に相談しよう。

【参考】時効は10年！ 過払い金請求をするなら今しかない!?

過払い金返還請求の対象となる会社はどんなところ？

過払い金の返還請求の対象となる会社は、消費者金融がメインだ。そのほかに、利息制限法の範囲を超えていた場合は、信販会社（クレジットカード会社）であっても対象になるケースがある。

クレジットカードのキャッシング枠も過払い金請求の対象に！

クレジットカードの場合、ショッピング枠は購入した商品の代金を立替払いしているだけなので、過払い金請求の対象とはならない。一方、キャッシング枠は、利息制限法の金利を超過していれば、過払い金請求の対象になる。

カードローンも過払い金請求の対象になる！

カードローンも同様に、ショッピングローンの場合は対象にならないが、キャッシング枠で現金を引き出した場合は対象になる。

過払い金請求の対象期間を覚えておこう

繰り返しになるが、過払い金は利息制限法の制限を越えた利息について発生する。

会社によっても異なるが、貸金業者の多くは、2007年以降に利息制限法に違反しない範囲で貸付をするように契約内容を変えている。これ以降の貸付は、過払い金請求の対象にならないケースが多い。

過払い金請求の対象外となる借金ってどんなもの？

契約時期や契約内容によっては、利息制限法に違反せず、過払い金請求の対象外となる場合もある。

銀行のカードローンは過払い金請求の対象外！

〈テキスト〉
上記の代表的な例は、銀行のカードローン。2007年以前から、利息制限法の範囲内の金利が設定されていたので、過払い金返還請求の対象にならないのだ。

過払い金をシミュレーションで計算できる？

過払い金の計算は上述のとおりだが、その結果がそのまま返還額になるとは限らない。実際は相手があってのことなので、交渉によってある程度、金額が上下することがある。

借金返済中に過払い金の返還を請求した際の注意点

返済途中であっても、過払い金が発生していれば、過払い金請求の対象になる。

ただし、このケースは「債務整理」という手続きになり、過払い金によって借金が全額返済できれば、残りが返還されるという仕組みだ。

借金が完済できなかった場合は、信用情報機関に記録が残る（いわゆるブラックリストに載る状態）ことがある。

過払い金請求することにリスクってあるの？

過払い金請求は、払い過ぎた利息を返してもらうだけなので、基本的にはリスクはない。

ただし、上述したように、返済途中で過払い金を請求する場合は、ブラックリストに載る可能性がある。この点がリスクになるので、慎重かつ自己責任にて請求行動をとってもらいたい。

返還途中の過払い金請求、すなわち債務整理は、最終的に債務が残らなければブラックリストには載らずに済む。この記事で紹介した計算方法を使って確認してみよう。

【参考】知らぬ間にブラックリストに!?クレジットカードが作れない!?「過払い金請求」に潜むリスクとは

過払い金は、もともと払う必要がなかったものだけに、返還を求めるのは正当な権利だ。とはいえ、その請求にあたっては、専門的な知識が必要となる。過払い金の対象になる借金がありそうな人は、まずは今回ご紹介した方法を使って、過払い金の有無について計算してみよう。そのうえで、弁護士や司法書士に相談してから行動するようにしていただきたい。

※データは2019年7月下旬時点での編集部調べ。
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文・ねこリセット