DIME MAGAZINE
オフロードバイクメーカーの超個性的なオンロードバイク
さて、長い歴史があり、オフロードバイクで知られ、KTM傘下にあるハスクバーナは、今、オンロードへの進出にかなり気合いを入れている。KTMのリソースをうまく活用しつつ、どうにかハスクバーナらしいオンロードの世界観を創り上げようと躍起になっている。個性を全面に打ち出し、他にはない「らしさ」を生みだそうと懸命なのだ。その熱意が、ヴィットピレン401をクセの強いバイクにしている。
でも、これでいいのだ。きっとこのバイクをカッコいいと感じる人たちは確実にいて、熱烈に愛されるだろう。「クセが強い」とは、そういうことだ。万人受けはしなくとも、一部のファンにマニアックに支持されればいい。少なくともハスクバーナはそういう選択をしたのだ。
ところで、ヴィットピレン401の乗り味は、いたってフツーだった。ポジションこそ特異なので最初は勘どころが掴みにくく「クセ強いな……」と思うが、できるだけ後方に座るように意識すれば、ごくフツーのスポーツバイク然としたハンドリングを示す。デキのいいKTM390DUKE譲りのフレームだから、さもありなんと言ったところ。エンジンも390DUKEベースで、373cc単気筒とは思えないほどのスムーズさ。低回転域から高回転域までストレスがない。外観では突っ張っているものの、内面は割と良い子だ。
エンジンとフレームはKTM390デュークと共用。普通二輪免許で乗れる373cc単気筒エンジンは滑らかな回転上昇で44psを発揮。スチール製トレリスフレームにはパウダーコート塗装が施されている。
φ43mm倒立式フロントフォークはWP製。ブロンズアルマイトスポークホイールは17インチを採用している。フロントブレーキディスクはφ320mmの大径シングルタイプで、前後キャリパーはブレンボのOEMであるバイブレ製。ボッシュ製ABSを装備する。ABSは走行状況やライダーのスキルに応じて解除可能。
見た目は「ドラゴン・タトゥーの女」、中身はIKEA。徹底してスウェーデンのバイクではある。
取材・文／高橋剛（たかはし ごう）
4輪レース専門誌編集部、広告代理店勤務などを経て、2000年よりフリーライターに。バイク専門誌や釣り雑誌を中心に活動している。好奇心の範囲はバイク、クルマ、釣り、家電、アウトドア、動物など幅広すぎて収拾がつかない日々
撮影／長谷川徹（はせがわ とおる）
広告代理店勤務のカメラマンとして5年間活動し、フリーランスに。雑誌、WEB、カタログなど多彩な媒体で活躍。二輪、四輪レースを始め、バイク、クルマ、人物、ブツとジャンルを問わずキレのよい写真を提供し続けている
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