ところでハスクバーナとはどんなバイクメーカーなの?
ハスクバーナはスウェーデンの会社だ。ヴィットピレン401は、タンクカバーとサイドカバーをシンプルな曲面で一体化した辺りにミニマル&クリーンな北欧的デザインの血筋が見て取れるものの、全体的にはクールかつダーク。IKEAというよりは、映画「ドラゴン・タトゥの女(原作者はスウェーデン人)」の世界観に似ている。万人受けはしないが、マニアには熱狂的に支持される手合いだ。
跨がってみると、思わずうーむと唸ってしまう。低くセットされたセパレートハンドル、835mmと高めのシート高、そして後方に配置されたステップによるポジショニングは、キツい前傾姿勢とキツい膝曲がりが強要される。これまた万人受けするとは言いがたい。
前のめりかつ窮屈なライディングポジションで、普通に乗ってしまうとフロントが過荷重気味。乗り手が高い位置にいることも相まって最初は不安感もある。だが、シートのできるだけ後ろに座ればしっくり来るポイントが。単気筒エンジンは決して超ハイパワーというわけではないので、慣れれば軽快に振り回せる。
だが、ヴィットピレン401の極端なデザインや極端なライディングポジションからは、ハスクバーナの思惑が見て取れる。ハスクバーナは今年で創立330年という途方もない歴史を有する北欧スウェーデンのメーカーだ。バイクを造り始めたのは116年前。以来、紆余曲折ありながらもバイクを造り続けている……のだが、日本ではあまりメジャーとは言えない。
ドイツ語、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語で書かれたコーションラベル。ヨーロピアンムードが漂う。
「そんなことないぜ!」と反論するあなたは、恐らくオフロードライダーだろう。ハスクバーナはエンデューロやモトクロスの世界では非常によく知られている。ハスクバーナジャパンのWebサイトにはエンデューロマシンが8モデル、モトクロッサーが12モデル、スーパーモタードが2モデルも掲載されている充実ぶりだ。
「紆余曲折」とさらりと書いたが、ハスクバーナという会社は投資対象として魅力的なのか、多くの企業体に買収されまくった経緯がある。1977年にスウェーデンのエレクトロラックスに買収され、1986年にイタリアのバイクメーカー・カジバに買収され、2007年にドイツのバイクメーカー・BMWに買収され、2013年にKTMの親会社であるピエラ・インダストリーAGに買収され、現在はKTM傘下にある。