『聖なる館』の再発盤にA1B1があった!?
ところが2ヶ月ほど前、僕をマト1の迷宮に導いてくれた会社の後輩・K君から驚くべきことを聞いた。『聖なる館』の再発盤に、A1B1があるというのだ(レーベルにワーナーのロゴありが再発盤)。
UK盤、再発のレーベル。2時位置にあるワーナーのロゴ“W”が再発の証。
・驚きその1 流出モノではなく、レコード会社がオフィシャルに出したレコードなのに、NGとされたはずのA1B1が存在する!
・驚きその2 そのカッティングエンジニアがやはり名匠の誉れ高いジョージ・ペカムで、その証である刻印、A面にはPORKY、B面にはPECKOが入っている!
・驚きその3 eBayでA1B1を探し続けたK君、どうにもA1B1の出品は見つからず、A1B3とA4B1を購入、2枚にてA1B1を聴いている!
・驚きその4 K君曰わく“A2B2より、A1B1のほうがいい音だと思う”!
かくなれば、なんとしてでもA1B1を手に入れたい。中古レコード販売サイトDiscogsを見ると、かなり状態の悪いものが1点あるだけ。eBayにもA1B1の出品はなく、K君所蔵レコード同様、片面がA1かB1のものがわずかに出品されているのみ。そこでebayの検索に“Houses of the holy UK A1B1 Led Zeppelin”と入れて、出品の網を張り、気長に待つことにした。
すると神様の思し召しか、なんと1週間ほどでヒット、しかも開始価格は10ポンドだ。とはいえ、あくまでも開始、はたしていくらで落ちることやら。とりあえず100ポンドくらいは覚悟した。ところがよく見ると発送はイギリス国内のみ、つまり1000ポンドを用意しようと、日本からは入札できないのだ。だが不思議なことが起きる。出品後1週間経っても2週間経っても、入札がない??? もしかして“A1B1はA2B2より音がいい”は、世界中のツェッペリン党マト1オタクに知られていない?
ダメ元でセラーに、“40ポンドで落札するから、日本に送ってもらえませんか?”とコンタクトを取った。すると数分で、“OK”の返事が。何事もやってみるものだ。そして落札から約3週間、ついに到着した。まずは検盤。“よし、A1B1だ”。だが、“あれ、刻印はPORKY/PECKOではなく、両面RL???”。首をかしげながら、“世紀のレア盤を手に入れた?”といきりたつも、レーベル上に妙に目立つ文字がある。“STEMRA”とは?
“STEMRA”で検索するとJASRACのサイトがヒットし、オランダをさすことがわかる。“オランダ盤?”。さらにジャケット等をくまなく見ると、どうもドイツでプレスされたオランダ盤らしい。つまり僕が欲したA1B1とは全くの別物。eBayの商品説明には、イギリス盤とあるのに……。意気消沈しながら、とりあえず試聴する。詳しくは述べないが、UK盤のA2B2と同じメタルマザーを使った盤、つまりUKマト1=A2B2と同音質の可能性があるからだ。案の定、ほとんど同じ音だった。