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社員数100人以下、創業15年以上に勤める会社員が「井の中の蛙」になってしまう理由

2019.07.15

■連載/あるあるビジネス処方箋

 新卒(大卒)の就職活動シーズンの今、中小企業の実態を改めて考えてみたい。ここ数回、「中小企業の中の中小企業」として、社員数100人以下で、創業15年以上の会社を私の取材を通じた観察をもとに検証してきた。

 今回は、なぜ、このクラスの会社に井の中の蛙のような社員が目立つのかを取り上げたい。この場合の「井の中の蛙」とは、自分を買いかぶり、わずかの経験でその分野のエキスパートと信じ込む姿だ。私の観察では大企業や中堅企業、メガベンチャー企業ではごく少数だが、社員数100人以下で、創業15年以上の会社では大量にいる。その背景を探りたい。このような会社に入社する意味があるのかも、考えたい。

1、視野が狭い

 井の中の蛙になるのは、視野が極端に狭いからだ。自らを知る機会が大企業や中堅企業、メガベンチャー企業と比べると圧倒的に少ない。例えば、年に1∼2回の全社規模の人事異動がほとんどない。本来、異動が多いと、社内の労働市場において自分の価値をつきつけられる。ところが、その機会がゼロに近い。人事評価のフィードバックも非常に少ない。評価者から、「このレべル」と言われる場がない。これでは自分を知ることはまずできないだろう。

 そもそも、社内で競い合う相手が極めて少ない。同世代の社員は、特に30代前半までに次々と辞めていく。意識が高く、潜在的な能力や学歴が高い人からいなくなる傾向がある。年間を通じて中途採用を繰り返すが、定着率は概して低い。新卒採用を時々するものの、多くは定着しない。結局、20∼30代の社員はライバルがいたとしても、数人か、多くとも5人程だろう。30代でほぼ全員が管理職になる。役員になる倍率も2∼3倍で、社長になるのも大企業や中堅企業のように難しくはない。社長になると、大企業よりは長期政権になる可能性が高い。ライバルがいないのだ。

 こういう環境では、自分を振り返る機会は限りなくゼロに近い。謙虚に自らを省みるほうにこそ問題があるのではないか、と私は思う。おのずと自分を過信し、買いかぶる人が現れる可能性が高くなる。社内で競争相手がほとんどいないのは、自分を脅かす人が極めて少ないことを意味する。何をしていても結局は許されるのだから、買いかぶるのは必然なのだ。

2、「ニッチ市場」で一定の実績を残している

 社員数が100人以下でありながらも、15年以上、経営が成り立つのは、市場において、ある程度の評価を受けるサービスや製品、商品を継続してプロデュースできるからだ。その市場は大企業や中堅企業、メガベンチャー企業が進出していない、もしくは今後もしない可能性が高い、いわゆる「ニッチ市場」のはずだ。言い換えると、大きな市場に進出し、大企業との競争に勝ち、15年以上生き残ることはまずできないのだろう。

 ニッチ市場は、通常は顧客の数やクライアント、競合社が少ない。優位なポジションをつかむと、社員数100人以下の会社でも長い間、「業界上位」に君臨できるケースがある。このような環境で15年以上生き残ると、巨大な市場で生き残ってきた錯覚に陥る場合があるようだ。本来、社長や役員が社内のおごりや慢心を指摘し、謙虚さを取り戻さないといけない。

 ところが、このレベルの社長や役員はそこまでの意識や経営センスを兼ね備えていない。もともとは、大企業や中堅企業の経営層に比べて様々な意味で見劣りする。競争社会で勝ち上がってきた人たちではないのだ。だから、ニッチ市場にいながら、巨大な市場で生き残ってきた錯覚はますますひどくなり、井の中の蛙になりやすくなる。「井の中の蛙大海を知らず」とは、この人たちのためにあるような言葉なのだ。

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